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第五百六十八話『のぼせる前に、話を』

「ふう、やっぱり、何度浸かってもここは良いお湯だね」


「そうだな。……なんというか、体の奥にある悪いものまで溶けてくような気がするよ」


 湯船につかってわずかに声の緩んだゼラのリアクションに、俺も同意しながら体をより深くへと沈めていく。もっと早くここに来ていれば、俺の凝り固まった考えも少しは変わったのかもしれない――だなんて、そこまで考えるのは流石に行きすぎな気もするけどな。


 だがしかし、ここが王都でも有数のリラックスポイントなことは事実だ。異世界に来てから『裸の付き合い』なんてものの重要性を知ることになるとは思わなかったが、やはり先人の知恵は偉大なようだ。


「こうやってヒロトと湯船につかるのも三回目か。なんだかんだ、この街には慣れてきたかい?」


 もう床で滑ることもなさそうだしさ、とゼラは俺に笑いかける。その表情はとても朗らかで、何か一線を引いているなんて考えもつかないくらいだ。


 だけど、俺はゼラの一面がこれだけじゃないことを知っている。店主さんも、俺が知らないであろうゼラの姿を知っている。ゼラは多分まだ何かを隠していて、それを聞かない事には俺たちは前に進むことも、俺の目的が達成されることもない。……暴かれることをゼラが望んでいないんじゃないかとか言われたら、それに対しては何も言い返せないのだけど。


 かと言ってこのまま雑談に花を咲かせていても、ただ俺がのぼせるまでのカウントダウンが早まってしまうだけだ。だからこそ、俺は今ここで覚悟を決める必要があるわけで――


「……いや、まだまだ分かんないことだらけだ。この街のことも、ロアのことも。……そんで、お前のこともさ」


――だから、その言葉が切り込むための第一歩だった。

今回短くてごめんなさい! 今まで話をされる側だったヒロトが話を切り出す側に回ったことにより、物語はここから大きく動いていきます。一皮むけようと足掻くヒロトが何をつかみ取るのか、楽しみにしていただければ幸いです!

――では、また明日の午後六時にお会いしましょう!

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