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第五百一話『当然生まれる人だかり』

 ――王都の中でも、ゼラとミズネはやはり圧倒的な実力を誇っているようだ。とあるパーティと共同で挑むことになった今日の討伐任務でも大いに目立った二人は、当然他パーティからも注目を浴びることになるわけで――


「ねえねえ、その魔術どこで学んだの⁉ 私にも教えてもらう事とかってできる……?」


「ゼラとはあまりにスタイルが違うけど、同じくらいの討伐ペースを記録するなんてな……氷の剣が遠くの魔物を全部刺し貫いたときはその眼を疑ったよ」


「ふふ、お眼鏡に敵えたなら光栄だよ。なにより、皆怪我無く終えられたことが一番良かった」


 謙虚なそのリアクションに、ミズネを取り囲むようにしていた群衆からどよめきが起こる。クエスト中は勇ましく立ち回っていたのもあって、そのギャップに驚かされたのだろう。新しいヒーローが登場したかのようなざわめきは、戦場をともにしていない冒険者の間にも広がっているようだった。


「ボクたちのエースは王都でも最強クラス、か。同じ仲間として鼻が高いね」


「そうね。あんなに慕われる人と一緒に居られるのは本当に幸運だわ」


 そんな群衆の盛り上がりを、俺たちは少し離れたところから見つめている。ゼラも一応ミズネの隣に並んではいるのだが、ロアは俺たちの横でその集まりを見つめていた。


「まあ、あの方の魔術はゼラと同質ですからね。そこら辺の魔術師が見たら卒倒するレベルの魔術をあそこまで悠々と操り、それでいながら消耗する様子を見せない。一人ですべてを終わらせるその姿は、あまりにも眩しいものと言えるでしょう」


 本当にミズネから光が発されているかのように目の上に手をかざしながら、ロアはミズネのことをそう評する。魔物の前に一人で立ちはだかり打破して見せるその姿は、確かに憧れの対象としてはこれ以上ないくらいにはっきりしたものだった。


 新しい魔剣を手にしたこともあって、魔術の精度も一段と上がってるような感じだったしな……。斬撃用の武器としても優秀な魔剣の様だが、どうやら魔杖としても飛び抜けた性能を持ち合わせているようだった。


 斬撃と一緒に遠くの魔物が凍り付くさまは後ろから見てても鳥肌が立ったもんな……。あの買い物のときは謙遜した様子を見せていたが、アレを一番うまく扱えるのはこの世界全体でみてもミズネなんじゃないだろうか。


「見た目的にも映えるし、冒険者からしたらロマンある姿だもんね……それが昨日名乗りを上げた外からの来訪者のものともなれば、救世主扱いもなんとなく納得できる話だな」


「それでいて美人だし、物腰も柔らかいって来てるんだもんね。昨日も言い寄られてたし、この街の人たちはカガネに比べて積極的なのかしら」


「王都の冒険者はこの街に永住するつもりの方が多いですからね。その分、生涯を共にする伴侶を探そうとする人は多いのでしょう」


 ネリンの呟きに、ロアが非常に端的な見解を返す。そう言われてみればカガネは始まりの街だし、そういう出会いを求める理由も中々ないもんなのか……?


「というか、助けに行かなくていいのですか? ミズネさん、かなり困っている様子ですが」


 俺が考え込んでいると、ロアが人ごみを指さして首をかしげる。そこには、確かに困ったように手を振ってるミズネの姿があった。


 そう言えば、容姿がどうこうとかでちやほやされるのは苦手だって言ってたっけな……かなりの大騒ぎになって来てるし、そろそろ割って入るべきか。


 隣で立っている二人に目配せすると、小さな頷きがすばやく帰って来る。意図がすぐに伝わることをありがたく思いながら、俺たちはたくさんの人に囲まれたミズネに向かって足早に歩いていった。

魔剣を手にしたミズネの戦闘シーンに関しては大事な場面で初お披露目できればいいなあ、とぼんやり考えております。ここからは少し溜めの期間になるとは思いますが、少しずつ変化していくヒロトたちの周囲の様子を楽しんでいただければと思います!

――では、また明日の午後六時にお会いしましょう!

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