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閲覧ありがとうございます。

「すまないね…うちはもう満室だよ」

申し訳なさそうに女将は俺に非常な結末を告げる。



「ぐっ…ここもダメか…」

悔しそうに呻く俺に対し、女将はため息をついて



「はぁ…あんた田舎者だね?この大会はかなり大きいからね。先に宿を見つけるのが常識だよ。あんたも並んだ口だろ?あの長蛇の列に並ぶ暇があったら先に宿を探さないとね」

非常な現実を告げられて、意気消沈の中新たな宿を探す。



古そうな宿から、貴族が泊まりそうな宿。色々見て回ったがどれも全滅。

「まさかここまで埋まっているとは…」

毎年宿に飢える人々がいるのであれば、宿の分母を増やせば良いのにと思いながら、先に断られた宿の主人に聞いた宿を目指す。



その宿は一見宿には見えない風貌だったが、教えられた所はここなので否応なしに扉を開けて、受付に向かう。受付には少し若めの女の子がいた。恐らく親の手伝いなのだろう。



そんな事はどうでも良いので、急いで空きの部屋があるか確認する

「「ここに空いている部屋はあるか(しら)?」」



俺の声と同時に隣からも声がした。

「「あっ!?」」



横に目を向けると、俺と同じように憔悴した女がいた。

朱色の髪をポニーテイルに纏め、少し気の強さを感じる目つき。身長は俺より頭一つ分小さい位でスラッとしたスタイル。手には槍の様な長めの獲物を持っている。



彼女もこちらを見て何かを切り出そうとした矢先。受付の女の子が

「空いているよ。」



「「ホントか!なら泊まらしてくれ!」」

またも言葉が被ってしまったが、女の子はニタニタしながら



「けどあと一部屋なの」

プラプラと部屋の鍵をちらつかせる受付の子。…どこかしらこの状況を楽しんでいる様に見える。



少し恨めしそうに見ていると、槍を持った娘が

「はぁ…だそうよお兄さん。ここは私みたいなか弱い女性に譲るのが定石ではなくって?」

槍を持ちながら、私に譲るべきでしょと暗にアピールしてくる。

恐らく、周りへの風当たりも強くなってしまうだろと暗に脅迫をする。



「……はぁ、生憎虚言癖のある人に優しくする義理はない。むしろ君みたいな腕に自信がある輩は、俺の様な害無き一般人に譲るべきではないだろうかね?」

はっきり言えば、彼女はか弱くないと思える。先程から全く隙はない佇まい。いつでも槍で突けるように警戒を怠っていない。そんな子がか弱い訳がない。



自身が分析されている事はしらない様子で、俺の言葉にあからさまに反抗の意思を見せてくると、

「何ですって!私の何処がか弱くないって言うのよ。…まぁ確かにお兄さんみたいなひょろっこい奴なんて私くらいのか弱い子でも簡単に倒せちゃうでしょうけど~?」

彼女も彼女でやっと見つけた宿だ。そう簡単に譲るつもりはないのだろう。



「けど~。そ・こ・は!優しいお兄さんなら私に譲ってくれるでしょ?」

俺の事をバカにしつつ、それでいて譲らないと周りから批難を浴びるような言い回しで俺を挑発する。



確かに彼女は強い。きっと俺が先に手を出すのを待っている。そして返り討ちにしてここの宿に泊まる権利を勝ち取ろうと言うわけだ。

「……お嬢さん。とりあえず一泊したいんだけどいくらかな?」

あえて、彼女の事を無視して先に泊まる手筈をとる。

「あら?お兄さんで決まりなの。一泊は1人銀貨1枚だよ「ちょっと!!」」

女の子から聞いた直後に、無視していた彼女が割り込んでくる。



「私を無視するなんて良い度胸ね?それにこれだけバカにされて何もしてこないなんてホントにひよっこね。」

バカにしている自覚があったのか、俺が無視したことに腹を立てて突っかかってくるが

「そもそも俺はお前と話をしていない。俺は宿を探しに来ているだけだ。いきがったガキの相手をするためじゃない。」



バカにされる耐性がないのか、顔を髪と同じくらい赤くして、獲物を握る手に力が込められる。

そんな一触即発な空気を者ともしない人が1人

「ちなみに空いている部屋は2人部屋だよ。争わなくても泊れるんじゃない?」



助け船を出したかにも思えたが、槍を持った彼女はその言葉を聞いて、別の意味で顔が赤くなっていく。そんな彼女を見て見ぬ振りをして、俺は銀貨2枚とフロントに渡す。

「ん?1枚多いよお兄さん。」



「2人部屋を借りるんだ。1人であろうと2人分払うよ。」



「律儀だね~お兄さん。はい、部屋の鍵。場所は鍵に着いている番号を参考にしてね。朝ご飯は別料金だから、朝にまた説明するね。」

鍵ともらい、明日の朝ご飯の情報を聞いて俺はフロントを後にする。

「………2人分払ったんだ。1人で借りたけど、1人増えても問題ないか?」



宿の女の子はニコッと笑うと

「もちろん!」

そういって見送ってくれるのだった。


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