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火の英雄編閉幕です。
「こんな所か…」
リオの息が絶えた事を確認して、刺した大剣を抜く。支えがなくなったリオはドサリと音を立てて倒れる。リオだったもの。家族だったものをこの手で殺した。
「1人目」
(特に達成間も虚無感もないな…)
少し思いにふけようとした直後、少し離れたところで何か動く気配がした。そちらに目を向けて警戒をすると
「うごぉ!?」
………先程、気を失ったリムルが倒れ込む音だった。
「……はぁ…」
そして、再びリオの方へとソウカは近づき、最後の仕上げを施す。
「あれ?お客さん?もうチェックアウトしたはずだよね?どうしたの急に?」
少しウトウトしていたのをごまかすように声を張って向かい入れる。
「少し聞きたい事があってね。…ニーチャって子を知っているか?」
「ニーチャちゃん?知ってるもなにも私の唯一無二の親友じゃないか。知っているよ。それがどうしたの?って後ろに担いでるのはリムルさん?」
こちらを勘ぐる様な目でニヤニヤとしているが、
「あぁちょっと…酔い潰れてしまってね…。仕方が無いからおぶっているのさ。」
少し嘘が下手だったのだろうか、少し怪しそうな顔をして、
「ふ~~ん。…まぁいいや。んで、どうするの?リムルのお姉ちゃんは泊まり。それとも相部屋?」
ソウカは少し考える。
リムルはリオに復讐しようとしていた。そのためあのときあの場にいたのだろう。…そして、ソウカ自身の存在が露見してしまっている。
(口封じしないといけないか?いやリオを殺した張本人をわざわざ売るか?)
結局考えた末にソウカが出した答えは
「いや。俺もリムルもこの街を去ると決めたからね。起きるまではおぶっておくよ。…ここに来たのはニーチャの事と、…これを渡しに来たよ。」
リムルを片手で支えながら、ソウカは宿の娘に紫の花を出す。宿の娘は目をパチクリしながら
「ん?花…なのかな?産まれてから見たことがないからわかんないや…」
「造花だよ。造花。花なんてのは世界から消えたんだろ?」
小さな嘘をついて、ソウカは去ろうとする。
「あぁちょっとまって!…また来てね!」
「…あぁ」
小さく返すと本当にソウカは宿を後にして、先程教えてもらった子の所へリムルをオブリながら歩いていった。
「ここかな…」
少し中央から離れた平屋に着いた。裕福と呼ぶことはできない造りだが特段と廃れている訳ではない。
(普通…なのかな?あまり基準がわからない…)
路地から孤児院に移り、落とされてからは不思議な空間にいた。残念ながら、いまいち裕福かどうかの区別がつかない。
夜も遅く、明かりは消えているため、特に起こして挨拶する訳でもない。
ソウカは壁にリムルを掛けて玄関にしゃがみこむ。
「……………じゃあな」
先程渡した花と同じものを咲かせて玄関に置く。どうやら用事はそれだけだったらしく、リムルを再びおぶって、歩きだす。
「止まれ。」
コロセウルを出ようとしたら、案の定門番に止められた。
「身分を証明できる物を」
特にすごむ事なく淡々と門番は問いかけてくる。
そういえば、ちゃんとした身分証を持っていない事を思い出す。が、何か思い出したかのように、小さな鉄札をだす。
ここに来たときにロバートから金銭をもらった時に、入っていた札だ。確か、ロバートが街に入る時も同じ様な物を見せていた。
恐らくこれが証明になるだろうと判断し、鉄札を門番に見せる。門番はそれを受け取ると。
「ふむ。…これは商人の…あぁロバートさんのところの札か。」
というと。特に細かく確認する事なく札を返してくれる。
「これでいいのか?」
次の場所でもこれが使えるのか気になったので確認する。
「ん?あぁそれで問題ない…とは言い切れんな。」
「なんで?」
「その札はこの街に拠点をしている商人が顧客への信頼を兼ねて贈る札だ。確かにそれはこの街では証明になる。…しかし、離れた街とかだったら通用しないかもしれない。…だから早めに何処かしら証明になる物を取ることをおすすめするよ」
「ご忠告痛み入るよ。」
門番に礼をいって街をでる。
因みにリムルはどうやら有名な様で、顔を見て問題ないと判断された。
(おかしいな…今大会の優勝者だというのに…)
と心の中で思ったが、別に問題無く街をでて街道を歩く。
今日は雨なんか降っていない。見上げれば星が見えるような澄んだ世界だ。
どうやら今日は、傘は不要の様だ。
翌朝、世界を震撼させる事件が明確になる。
闘技場を警備する者が気がついた。
「どうして。昨日の夜の記憶が無いんだ?」警備をしていた相方も同じように記憶が無いとのことだ。むしろ、寝てしまっていた気がする。
昨日の白熱した試合で疲れていた。いや、それはないだろう。と結論つけた警備の者は嫌な予感がしたのか、急ぎ闘技場へ向かう。
そこで見たものは………花畑だった。
幸い、警備の1人がかなりのベテランで花という存在を知っていた。
だからこそ、すぐにここが花畑になっているとわかったのだ。
闘技場の会場を埋め尽くす様に所狭しと白と紫のシロツメクサが咲き誇る。時折風に吹かれ、花と葉がなびいている。時々背丈の違う、黄色のユリがアクセントとなって咲いている。
一瞬、目を奪われてしまったが、もう1人の方が中心に何かを見つける。
闘技場の中心にあったのは十字架だ。
蔦?の様なもので形取られた十字架はある者を磔にしていた。この街に住む者なら知っている人物だった。一つ違うとすれば、いつも顔を隠していたはずの兜がなく十字架の足元に花に埋もれていた。
そう、蔦の十字架に磔になっていたのは、火の英雄と謳われたリオ・パドラックスだ。
胸には自身の象徴となっている紅い大剣が胸を貫通する様に深々と刺さっていた。
腕や足は、蔦やシロツメクサの茎に巻かれていた。
花という存在を知っている警備の者は不思議に思う。花はたった1日でこんなに成長しない。それなのに、闘技場は、リオ・パドラックスが死んでいるこの場所は昨日までこんな姿ではなかった。
………まるで、たった一晩で花が咲き誇ったかの様だと。
少し見とれていた警備の者達は、我を取り戻すと至急人を呼びに行く。最初はなんと伝えて良いかわからなかったが、ありのままを伝えるしかないと判断した。
「英雄リオ・パドラックスが殺されている」と。
後に知ることになるが、リオが死んだ場所に生えているシロツメクサの葉は全てが全て三つ葉ではなく、不幸を告げるとされる五つ葉だった。
贈った花→ミヤコワスレ:また合う日まで
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ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
花亡きを無事1章完結まで走りきる事ができました。
導入ということもあり、色々と過去を織り交ぜていたら長くなってしまいました。
次章からは、少し脱線しつつも進めていきたいと思います。
また、次章の構成は出来ているものの、1文字も進めれていないのが現状です。
続きについては一ヶ月ほど時間をおいてあげていきたいとおもいます。
(毎時更新なんてものも面白いかとおもいます…)
この後は火の英雄のエピローグと次章へのプロローグをあげていきたいと思います。
引き続き花亡き世界をよろしくお願い致します。




