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花亡き世界で~唯一の花属性で、裏切って廃棄した家族だった奴らにたむけを贈る  作者: アロ紙
火の英雄編

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閲覧ありがとうございます。


結局あの後、数時間に渡り火が燃え続けた。鎮火の判断は火の扱いに長けたリオが判断した。鎮火の後は換気という体でヴァーゴが風で換気する。



換気も済んだため、やっと活躍できると待ちに待ったジェミナイが剣を握る。

このときは誰も止めることなく、ジェミナイの後へ続く。

「行くぞ!!」



洞窟は所々煤けていた。燃やした後なので、苔なども確認出来ない。その後も生存しているゴブリンがいるのか隅々まで確認しながら、最深部へと向かう。







最深部まで特にゴブリンに会うことはなかった

「あぁ~~何もいねぇじゃねぇか!いた形跡はあるが、残念だが炭化しちまったな。」

近くにあったゴブリンの体だった様な炭の塊を砕く。かなり激しく燃えたのか軽く叩いただけで崩れていく。

周りも見渡すと、ゴブリンだったらしき炭の後がちらほらと見えていた。そして、最深部に目をやると

「…これって多分ゴブリンエリートか?キングって程の大きさじゃないし。」

ひときわ大きな炭の後を指差す。

「恐らくエリートだな。良くてナイトのなりたてと行ったところか。まぁ巣としてはかなり若い方だ。キングに成る個体はまだいなかったのだろう。とりあえず、エリートと成れば、魔石も相当な物になるだろうから報告の一部としておこう。」

颯爽と歩くキャプリコーンを見送り、フラウは周囲の調査を行う。








討ち漏らしが無いか改めて確認をするため、簡易的な地図を作りながらフラウとキャンサーは歩く。

「出入口はあっちとあっち。来たのがこっちだから、あっちはふさいだ方かな?……ん?なんだあそこは?」

「どうしたのフラウ?なんかあったの?」

「いや…こっちを見てくれ。あんな道報告にはなかったと思ってね…」

フラウが経路を確認したときに、出入口の通路が3つとの事だったが、フラウが見つけたのは4つ目の道だった。



「確かに…これはとりあえず皆に伝えてから判断しましょ。突入するにしても準備も必要だろうしね」

特にキャンサーの意見に反対はなかったため、フラウはキャンサーと共に他の仲間と合流する。






「新しい道か…こりゃ行くっきゃねぇな!」

暗い洞窟内にも関わらず光輝く剣をもったジェミナイが皆にそう意見する。

「バカを言うなジェミナイ。リオも疲弊しているし、この先にどのような魔物がいるのか読めないぞ。今回の巣の駆除もリオの力と地形が功を奏しただけだ。」

冷静にキャプリコーンがこの場を制しようと試みるが

「…んなこといってもさぁ…最近俺たちも経験を積んでいるけど、いまいち伸び悩んでねぇか?やっぱり、俺はもう少し冒険するべきだと思うんだ…。義母さんの教えに背いたとしても…っと!?」

ジェミナイが言いかけた言葉を遮るようにキャプリコーンが槍をジェミナイに向ける

「お前は正気か…?」

ジェミナイの光に対抗するキャプリコーンの闇。刀身に闇を纏った槍は光を反射せず、暗く沈むような印象を持つ。



いつもなら臆するジェミナイだったが、珍しく引くことはなかった。

「………わかってんだろ?」

「なに?」

「…お前達もわかってんだろって言ってんだ!!俺たちは属性に覚醒する前から、冒険者だった。覚醒してからもずっと頑張ってきた。…けど、それだけじゃあダメなんじゃねぇか?クエストも少しずつ難しいのもこなせるようになってきた。…けど俺たちはまだまだ弱ぇ…。」

悔しそうに、拳を握りながらジェミナイは呟く。

確かに俺たちは着実に力を付けて来ていると思う。しかし、クミド義母さんを失ってからこれまで、死という経験を極端に恐れている。

皆で約束した13人で必ずという思いがあるからこそ、深追いはしないし、慎重に事を進める。

そのせいか、成長はしてはいるものの、どこか足りていないと感じているのだ。

これはジェミナイだけではなく、各々が感じている事だと思う。

「……このままじゃあ、13という数字が忌み嫌われていることを覆せねぇ…だから!これまで隠されていた道…。何があるかわからねぇ道だ。それでも誰かに託すんじゃなく俺達で挑戦してみようじゃねぇか!!」





しばし、無言が続くが

「確かに…俺たちは弱いよな…これじゃあ義母さんに顔向けできないな…」

フラウが無言の時間を壊したことで各々から意見があがる。

「危険かもしれない!」「挑戦する価値はある!何も無ければそれでいい」「行くとしても準備は念入りに」「他の成長を気にする必要はない。私達はゆっくりでも成長すればいい」

等と賛成と反対の意見が様々だった。



収集がつかなくなりそうだったので、13人は多数決を取ることにした。

その結果、賛成が7の反対が4となった。

これにより新しい道へと進むことが決定した。しかし、反対派からの意見も強く。

念入りに休息を取り、準備を怠らずに進むことが決定した。




「よしっ!!いくぞ!!」

2本の剣を掲げジェミナイが指揮をとり、洞窟の奥へと進む。







そうして13人の転機が始まる。











「思ったより狭いな…」

洞窟を照らしながら先頭を歩くジェミナイが呟く。

「そうだな…しかし、魔物の気配はなさそうだな。」とト-ラスが呟く。トーラスは雷の属性に覚醒したことで、魔物が発する信号の様なものを感じ取る事ができる様になったらしく、索敵という面で重宝している。

「現時点では安心だが、慢心しないでくれ。」

残念ながら、フラウはこういう場合は、どうすることもできないため、仲間への注意喚起と呼びかけくらいしか役にたたない。

(もう少し、ましな属性だったら、貢献できたのにな…)

花という属性は体現した事例がないため、先任者から学ぶことは出来ない。そのため、フラウは花という力を全く把握出来ていないのだ。



ジェミナイが警戒を緩めることなく歩き続ける事数十分。

「っつ!?警戒しろ!開けた場所に出る!!」

合図と共に剣を抜き、臨戦態勢に入るジェミナイ。それにつられて、トーラスも索敵を開始し、キャプリコーンも槍を構える。

警戒したまま、13人は開けた場所へと出る。






そこは、大きな空間となっていた。



ドーム状にくりぬかれた様な空間は洞窟の奥にあるとは思えない程に白く、どこか荘厳な印象を持つ

「うわぁ…まるで神殿みたい。」

パイシースが呟いた表現は的を得ていた。


そして何より目を引くのが、神殿の様な建造物へといたる道だ。

手すりも何もない白く神秘的な階段が敷かれている。脇には様々な造りの彫刻が飾られる。



ゴブリンの巣の奥にこんな場所があったのかと思いながらも、各々は周囲を調査する。





「どうやら…魔物はいないようだな。」

トーラスが索敵を行った結果、そう判断する。

結局周囲の調査を行ったが、魔物の姿はなく、宝と呼べる物も見当たらなかった。

「じゃあ残りは階段の先か…」

誰かが呟いた事で、全員が階段に、この広い空間の中央へと目を向ける。



「よしっ!行くか!」とジェミナイが剣を抜いて階段へと向かう。

今回は全員が特に反対することなく後に続く。それは探究心だろう。

必ずあそこには何かがあると思う。そう思わずにはいられない。長い道を抜け周辺を調査しても何も見つけられず、残った荘厳な場所。必ず、13人の糧になるであろう宝が眠っているに違いない。と思ってしまう。






しかし、ジェミナイが階段に足を踏む入れた瞬間、全員におぞましい程の寒気が襲う。

「「「「「「「「「「「「「っつう!!??」」」」」」」」」」」」」

緩んでいた気を引き締めて周囲を見渡すと、先程まで彫刻として鎮座していた12の像がこちらを向いていた。

「ゴーレムか!数も多い、地道だが一体ずつおとす『人の子よ…』っつ!?」

フラウが指示を出したとき、被せる様に彫刻が言の葉を発する。



「喋るのか」

警戒を緩めずに彫刻へ問いかけをすると

『是』

と端的に返してきた。喋るゴーレムなど見たことがないため、警戒を止めることなく構えていたが、彫刻達は

『人の子よ…我々はゴーレムといった魔物ではない…。』

彫刻達は並び


『我々は精霊である!』

彫刻達は高らかに宣言する。



「精霊だって…!?」

精霊なんておとぎ話でしか聞いた事がない、クミドが寝る前に語る物語。

かつて、魔の者が蔓延り人々が恐怖に陥っていた時代があった。そんな時、現われたのは勇者と呼ばれる者だった。彼は白銀の剣を構え高らかに人々に告げる。

『我は精霊と契約せし者。暗き世界を打ち払う一筋の光となろう!!』

勇者はその後、一つ一つと街や人々を救う旅にでる。旅の途中、別の精霊と契約したと呼ばれる賢者・聖女・剣聖と出会い。魔を払う旅を続けていき最後には勇者の手によって魔王は討ち滅ぼされるといった物語だ。



精霊は基本的には人の世界に干渉することはないと云われているが、魔に屈する前に、人々に手を貸すために選ばれた者達の前に現われるとされる。それほどまでに伝承として伝えられている精霊が今目の前にいると、彼の彫刻は語る。

『汝ら人の子は、我らに会う条件を満たした。希望の子らよ!!』

彫刻は突如神殿の方へ向かうと、神殿へと続く階段の一部を崩壊させる。

後ろを見ると、同じように道が崩壊しており、13人は逃げることも進むこともできなくなってしまった。

13人が驚いていることを気にすることなく。彫刻は告げる。

『さぁ人の子よ!選ぶがよい!自らの運命を!!』






『選べ!』『決めろ!』『覚悟を!』『決意を!』『決別を!』『別れを!』『贄を!』

口々に精霊は告げる。そして精霊の真ん中にいる者が

『決めるが良い!13を捨て12に成ることを!』

そうして、彼の者が口にする言の葉をフラウは最後まで聞くことが出来ない。



『力を求める者達よ。決断しろ!友を家族を贄に力を得るという英断を!我らへの道は贄によって切り開かれる!!さぁだr







「わりぃフラウ」「は?」

突如、前方から両肩を射貫く様な衝撃がくる。

「うぐっ!な…何をっ!」

予期せぬ衝撃にフラウは突き飛ばされる。上手く足で踏ん張ろうとすると、右足があった場所が凍り、左足の所が泥濘み始める。

「っつ!?」

両足が何かしらの妨害で滑ってしまった事で、完全にバランスを崩したフラウだったが、かろうじて持ちこたえようと手を着こうとするが、右手を着くはずだった地面が陥没し、左手を着こうとした場所が突如消え去る。

「なぁっ!?」

陥没した方の手だけでも着こうとするが、突如

「がぁっ!!」

全身を駆け巡る雷撃によって体が硬直してしまう。その間にも右側から風の様な衝撃と耳をつんざめく音がぶつかる。一時的に平衡感覚が麻痺しフラウは何もない左側へと傾く。

「あっ…がぁ…」

痺れる体に鞭を打ち、必死に持ちこたえようとするが、ポワッと淀んだ光がフラウへと吸い込まれていく。吸い込まれた瞬間に、体全体に倦怠感が駆け巡り、持ちこたえようとしていた体から力が抜け、押し流されるように下の見えない暗き闇に傾いていく。

傾きながらも右手だけは希望に縋り伸ばしている。そんな手を握ろうと誰かの手が伸びた気がしたが、遮る様に火が壁となる。



「な…何を?」

ボロボロになりながらもフラウは今起きた事を確認するために声を振り絞る。



「…お前が来たからだ…」

振り絞る声に応えたのは、最初に攻撃してきたジェミナイだった。

「お前が家族になった事で13人になったんだ!お前が…お前が…来たから狂ったんだ!」



ジェミナイは嗚咽を混ぜながら、

「お前がいなけりゃ…あいつもお前じゃなくて…お前がいなけりゃ……いなけりゃ!!」

いつも陽気なジェミナイからは想像の付かない声色で

「母さんは死ななかったんだ!!花なんて意味のわからない属性なんかで……母さんを殺しやがって!!うぶっ」

叫んだ瞬間に隣いたキャプリコーンがジェミナイを殴り飛ばす

「ふざけるなぁ!!」

吐き捨てたと同時にキャプリコーンはフラウを掴むために手を伸ばそうとするが、

「掴めぇ!!フラウ!!」





その手は間に合うことはなく、虚しく空を切る。






あぁ…そうか…俺は落とされたんだ。友と…家族と思っていた皆に裏切られて…

俺がいたから13になったのか。だから俺が……俺が…




ふざけるな………




落ち行くなか、痺れも解けたフラウは自身を落とした12人に目を向ける。

彼らは、落ち行くフラウに対し、怨嗟が混じった様な目を向けてくる。

『お前がいなければ…』と目で語りかけてくる。

それが悔しいのか、ギリッと噛み締めて、フラウは24の瞳を睨み返す。

「殺してやる…」

自然と口からでた言葉。クミドの元で、友と…家族だった彼らに告げる別れの言葉。

「絶対に殺してやる…!」






落ち行くフラウの声が聞こえていたのだろうか、

「やってみろ。」





そんな声がした。










フラウは落ち続ける。その間に考えるのはこれまでの事。産みの親を失い、クミドに拾われ、彼らと出会い、クミドを失い、それでも足掻いて生き続けていた。そして、フラウは家族に捨てられた。そんな人生に思わず涙がこみ上げる。

なんて情けないのだろうか。情けなくて笑えてくる。

そして、フラウは何を思ったのか、花属性で花を咲かせる。綺麗な赤い花びらを咲かせ、中心に向かって行くにつれ白くなり、中心は紫に似た色の花だ咲く。

(綺麗だな…結局なんだったんだろう花属性って…?)

落ちてただ死を待つだけのフラウ出会ったが、ふと昔の事を思い出す。それは、花属性が覚醒した事の時だ。



花という聞き慣れない属性のため、ギルドマスターであるバダイ協力の下、資料を読み漁った。その中でふと見ていたのが、花の種類が載った図鑑だった。

花の特徴や、効能といった、調合などで活用する様にも使われる図鑑であり、冒険者が見ることは少なかっただろう。しかし、サロットが調合の心得があったという事もあり保存していたとのことだった。それは図鑑という事もあり、多くの花の情報が描かれていた。

そのときは気にもかけていなかったが、書かれていた情報から一つの情報が湧き出る。



そして、先程咲かせた花を見る。

(確か…アネモネ…)

そして書かれていた情報として

(花言葉…花言葉は見放された…だったか)

なんとも今の自分にお似合いの花が咲いたものだと思ったが、フラウはそれ以外に一つの情報を思い出す。




それは珍しい色の花だから憶えていた。これまで外で見たこともない色の花。

赤・黄・白・桃・黒・橙といった色の種類がある花。赤い花を見て、キャンサーが「綺麗…。ねぇ………いつか私に贈ってよ」と言った花。









フラウはアネモネを離して、再び花属性を行使する。

(薔薇…青色の……今まで見たこともない色だけど、知っている…)

念じながらフラウは青色の薔薇を咲かせる。


「咲いた!!…花言葉は…」

落ちながらも咲かせた青い薔薇。フラウは今まで咲かせたことの無い花を咲かせた事で、属性を酷使してしまったようで、彼らに受けた傷も相まって、少しずつ意識が朦朧としてくる。



「花言葉は…」








『「奇跡」
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・を願う捨てられし者よ…』

そうして俺はかけがえのない7名の師に出会う事となった。



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