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「起きた…」
目が覚めたタイミングで聞こえた声。声の先には、目を赤く腫らしたキャンサーがいた
「キャンサー…」
泣きはらした顔であるとすぐにわかるのに、キャンサーは無理矢理ニカッと笑うと
「正解…キャンサーだよ。」
キャンサーに看取られていたらしく、起き上がると微かに首元に痛みを感じる。
「いつっ」
「もう少し寝てないといけないかもね…「起きたかっ!フラウ!!」」
キャンサーの言葉を遮るように扉が開き、開いた先で、冒険者として活動する時の装備を纏ったジェミナイとキャプリコーンがいた。起きているフラウを確認すると
「起きたな…行くぞ!」
手を伸ばし促してくるジェミナイに対し
「まだ起きたばかりだ…。行くって何処に?」
「決まっている!クミド義母さんのところだ。あのマキダって野郎のところだよ。何が捕縛だ…義母さんが悪いことするわけない!だから、今から叩きのめして連れ戻しに行くんだ!!」
誇らしげに剣を構え、斬る素振りをするジェミナイは神妙な顔で
「そのためには…一番腕っぷしのあるフラウが必要だ!キャンサーとフラウ以外の皆は準備出来てんだ。後は向かうだけだ。」
フラウは最後の最後まで、クミドに感謝を述べれていなかった。あの日傘を差してくれたこと。狭い裏路地から出してくれたこと。無償の愛をくれたこと。自分のために怒ってくれたこと。そして、なにより大切な家族に会わせてくれたこと。
フラウは無言でジェミナイの手を取ると、あらかじめキャプリコーンが準備していたであろう装備品を纏い急ぎ足で孤児院をでる。
クミドを取り戻すという思いを胸に彼らは街を駆けていく。息を荒げながらもマキダが宿泊したであろう宿まで向かう。
あまり大きな村ではないためか、宿泊する場所は少なく、また貴族が泊るとなると場所は限られている。宿に着くと、昨日見た馬車はなかった。
遅かったと思いながら宿のおっちゃんに聞くと、どうやらかなり朝早くに宿を出たそうだ。
間に合わないと一瞬よぎったが、諦める事は出来ないと思い、再び街の出入口を目指す
「はぁはぁはぁ…」
フラウ達が目指す街の出口には何故か人だかりができていた。
遠目からでも誰かが大きな声で叫んでいる。
「…………で………う…」
誰かが街の人達に声を届けようとする。少しずつ出口に近づくにつれて、聞こえてくる声が大きくなっていく。
「これ………………み……き」
息を絶え絶えにフラウ達は街の出口にたどり着く。大きな声を荒げているのは昨日クミドをさらったマキダだった。
マキダと一定距離を開けてマキダの護衛達が取り囲み、その周りに街の人々が集まっている。
「私は…やり遂げた!」
己の功績を自慢する様にマキダは剣を空高く掲げる。
「これを見よ!!」
マキダは街の人々に見せびらかすように、今まで気がつかなかったがマキダの足元に布で隠された物を披露するように布を剥ぎ取る。
「あっ…あっ………あぁ…」
そこにはちょうど頭一つ分くらいの重さになった、誰よりも13人の事を愛してくれていた………義母の…クミドの頭部が置かれていた。
クミド→ドクダミ:自己犠牲
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