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それはクミドと出会った日の様な雨が降った日だった。
「見つけたよ!!クミドぉ!!」
孤児院の門に見慣れない馬車が止まる。豪華な造りのそれは恐らく貴族の馬車なのだろう。
馬車から降りた男は後ろに控える執事に傘をささせて笑う。民衆の税を使って肥やしたであろう醜い体型をしていて、顔は脂で光っていた。背も低く、下卑た笑い声を上げると所々汚れが残った黄ばんだ歯が顔をだす。見たこともない肥満貴族は傘が足りなかった。
それでも彼は気にした様子もなく、ずかずかと孤児院に入ってくる。
「ふん…。随分と汚らしい家だね。…なんだいこのばっちい荷物は?僕の歩く道の邪魔になるじゃないか。」
肥満貴族は俺たちが市場でもらった形の不揃いな果物を汚らしい顔をして蹴り潰す。
「あぁ!!」
どうやら潰された果物の一つが好物だった様でサジタリアスが声を上げる。
「ふん!……噂は本当なのか…」
貴族は俺たち13人を気持ち悪い視線で射貫く
「…………何のようだい…マキダ。」
俺たちの前に立ちはだかるようにクミドは立ち擦れた声で呟く。マキダと呼ばれる男は名前を呼ばれて嬉しそうに
「ははっ!名前を覚えていてくれたとは嬉しいね!私も随分探したよ。…あれから数年…お互い年を取ったな~。それでも君の美貌は健在だ。少しやつれている様にも見えるが…」
再会の言葉を述べるが、突然寂しそうにマキダは息を吐く
「…そして、私は悲しい…かつて婚約の約束をした君が…」
「はっ!婚約だって?親が勝手に決めたことを持ち出すなんてくだらないね…それに私はもうティファングの名をもっていない…クミド・パドラックスさ!」
マキダを拒絶する様な素振りであしらっているが、マキダは突如懐から洋紙を取り出すと
「…君がティファングを捨てた事など知っている…。クミド・パドラックス。お前を魔王候補擁護の疑いで捕縛する。……抵抗は愚かだぞ?」
そう告げるのだった。
「魔王だぁ?くだらない嘘なら帰ってくれ。」
突然の捕縛命令に意味がわからないといった様子で呆れているが。
「…最近世界では魔物が活発化してきている。その元凶には魔王と呼ばれる存在がいると云われている。……まだ魔物が統制を取り切れていない辺り、魔王はまだ体現していない。」
マキダは孤児院を見渡し。
「…ここにいるのは何人だ?」
「………13人さ」
「…13か…『13』はこの世界で一番忌避される数字だ。それを知らない訳がないだろう?」
「……………で?」
「今この世界は魔物…いや魔王の脅威にさらされて始めている。そのために人々は争う手を下ろし、互いに手を結び戦う事を決意した。」
マキダが語る事は、今この世界で浸透している情報だ。最近付近の魔物が強くなっているという報告が上がったそうだ。ギルドは魔物の警戒を強めると共に調査を行った。
その結果、魔物達は単体としての脅威が増しているのと、種を超えて連携を取っているということがわかった。この情報は1カ所で起きているだけなら良かったが、ギルドの長達の間では、1カ所だけではなく、各地で報告が上がったとの事だ。
この情報は瞬く間に拡散され、各国の長が臨時に集まり、『魔王』という存在の体現が予見された。
その後、各国内で『魔王』の起因を虱潰しにする事を決めた。その一つが『13』という数字の抹消だ。数字如きと思っていた民衆だったが、一つでも可能性を潰すという事に貴族は躍起となった。
そして、今ここの孤児院にいる子供達は13人だったのだ。
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