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過去編です。
冷たい雨が降り続ける。灰色の空と同じくらい自分の心も灰色だ。大通りから離れた路地で、無気力に座り込む小さな影。いつの間にかここにいた。手足は降り続く雨で冷えている。いつから口に食べ物を入れていないか思い出すこともできなく。空腹という感情すら忘れてしまった。ただただ空虚。何も考えることもできないでいた。
「…………………………」
自分の親の顔は忘れてしまった。何故今の今まで生きているのか、不思議だった。
親になんて呼んでもらっていただろうか…何も思い出せない。
虚ろな目で世界を写していると、突如雨が止んだ。しかし、濁った目に映る先の水たまりには今も雨がぶつかっている。何も考えられないため、反応できずにいると
「こんな所にガキったぁ珍しいね。こんなに濡れちまってぇ…流れ者かい?」
誰かが自分に声をかけたのだろうか?少しだけ顔を上げて、声の主を探す。
「…………あぅ」
声の主は、何故か自分が雨で濡れてしまっているのにも関わらず、座り込んで死を待つだけの少年に傘を差していた。
「…どうやら声も出せない位衰弱している様だね…。」
声の主が何か言っている…。微かに開けた目で見てみると光が眩しくて顔をちゃんと見ることは出来なかったが、女性にも見える。
声を出せないでいると、何を思ったのか、少年は突然浮遊感を憶える。
「はん!軽いねぇ~こりゃ随分と何も食べてなさそうだ。」
どうやら、声の主が持ち上げたのだろう。そうして自分はそのまま担がれてどこかにいく。
「……………………あぅぁ……」
「あぁん?どこに行くかって?…そうだね~お前さんに新しい新しい家族を紹介してやるよ」
これが、俺の…フラウとクミド・パドラックスの出会いだった。
どうやら、俺はあの後、先程傘を差してくれた女性に孤児院まで連れて行かれた様だ。目を開けると、高級とは言いがたいベッドに寝ていた。ベッドの近くではウトウトと船を漕いでいる女性が見えた。女性はフラウが起きたのに気がつくと、
「起きたかい?」
声が出せなかったため頷く事しかできなかったが、それだけで反応したと判断したらしく、暖かい食事を持ってきてくれた。
彼女の名前はクミドというらしい。名乗った後に、「義母さんと呼びな。」なんて云われた。そして、この場所は孤児院で、フラウ以外に同年代が12人暮らしているとのことらしい。
クミドの説明の最中にも、1人手伝いで女の子が来ていた。
「あの子はキャンサーさ。他にも悪ガキ達がたくさんいるからね。生き残るには精々頑張るんだよ。」
まだ決めていないと抗議しようとしたが、いつから声を出していないかわからず、上手く声が出せなかった。
そうしてフラウは流されるように、クミド・パドラックスが経営する孤児院で住むこととなった。
子供の時が経つのは速いもので、フラウが孤児院に来てから三ヶ月が経っていた。
「今日こそは俺が勝ってやる!」
「やってみろ」
息巻いて、木でできた木剣を持ってフラウと対峙するのはジェミナイだ。
フラウを含めた13人の中で下から数えた方が早い位小ささの少年だ。
人一倍負けず嫌いで、新参者であるフラウの事が気にくわないのかよくくってかかる。
意外な事に、フラウは13人の中で一番容量が良く、遊びではあるが、剣の腕ですぐに一番になった。それを気にくわなかったのが今対峙しているジェミナイだ。
「やめておけ~。どうせ今日も負けちゃうぞ~」
そんな2人に水を差すようにヤジを入れるのがトーラスだ。
「もう。やめておけ。」
毎回負けるジェミナイを諭すように語るのが、キャプリコーンだ。しかし、ジェミナイとフラウは制止を聞くこともなく、今日も剣を交える。
「こら~~~!!また2人ともぉーーーー!!」
この後、キャンサーからお叱りの雷を降らすまでそう時間がかからないだろう。
三ヶ月前には到底想像できなかった日々をフラウは笑顔で過ごす。
道端で灰色の世界を見る自分はもういない。
過去編は
ソウカと英雄の関係
ソウカと師との出会いの構成になります。
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