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「………なんのつもりだ?………ネイル?」
「…なんのつもり。……お願いがあるんだ。」
ガストルとソウカの間に割り込む様に、観客席から飛び出した風剣の名を持つ青年。
ソウカに予選で大敗した青年。そしてガストルを師と仰ぐ青年だ。
決勝という他者からの侵入を許さないであろう場所に何の断りもなく、堂々たる姿で決勝という場を穢す。
ガストルが暴風で会場に嵐を起こした。その後ソウカが剣を抜き、ガストルを圧倒し形勢をひっくり返した。たった数分の間に物事が変わったため、観客達は意識が取り残されてしまった。
そんな中で、部外者の乱入だ。
観客の意識が戻るのに少しの時間を要したが、突如大きなブーイングがなる。その矛先は人気者としてもてはやされていた風剣の名を冠するネイルに向けてだった。
「神聖な場に邪魔をするな!」「負けたガキは引っ込んでいろ!」「風剣ともあろう方が…」などとその全てが揶揄だった。
外野の声なんて聞こえていないのか、ネイルはただただソウカだけを見ていたが、突如座り込み、頭を地につける。所謂土下座の格好をとる。
「…っつう!?ネイル!お主!!」
ネイルの後ろでソウカに斬られる直前だったガストルがネイルのとった行動に驚きを露わにする。しかし、ネイルはガストルにも反応する事なくソウカだけに意識を向ける。
「僕の…いえ、私の師が申し訳ありませんでした。」
この言葉を皮切りにネイルは言葉を綴る
「師が行った行為…。あなたの友人に刃を向ける行為に及んだ事。許されることではないと思います…。…ですが!師を斬らないでいただきたい。私から師を…爺ちゃんを…
残された唯一の肉親を斬らないでください。」
弱々しくネイルは語る。
「私の両親や兄妹は…死にました…いや、魔物に殺されました。戦場で命を救ってくれたのは師でした。…例え、爺ちゃんがあのように堕ちた行為に及んだとしても…。
命を救ってくれた英雄で、尊敬する師で、そして…かけがえのない肉親です!」
「……………」
涙ながらに土下座する姿にソウカは特に語る事なく、傍観する。
「…決勝という場を穢した事も謝罪します。…望むのであれば私のできる限りの全てを捧げる!……それでも…師を…爺ちゃんだけは…見逃してください…」
ネイルがガストルを庇う言葉を紡いで、ソウカとガストル、観客を含めた誰もが口を開く事はなかった。
突如、剣と鞘がこすれる音が響く。
「………審判…?相手の選手を庇う第三者が侵入した場合、試合はどうなる?」
「…っつう!?はっ!!」
突如声をかけられた審判は我と取り戻し、一連の流れを自身の中で噛み締めて
「……部外者の乱入および、ガストル選手を擁護する言動…。決勝の場では相応しく無いでしょうが…。
この試合ガストル選手の反則行為による失格。よって、今年の大会の優勝者はソウカ選手!!」
審判は高らかに宣言する。宣言を聞き入れた観客達は一旦おいたあと、激しい歓声をあげる
激しい観衆の声を気にすることなくソウカは、ネイルに守られているガストルに一通の手紙を投げる。流石にガストルも問題なく手紙を受け取ると
「何のつもりじゃ?」
「借りを返せ。てめぇの孫のおかげで救ってもらったんだろ?…その手紙をリオに渡しておけ」
そう言い残すとソウカはおもむろに出口へと向かう。
「俺は表彰なんかには出ない。…価値のない名誉には興味ないからな。」
振り返ることなく、ガストルとネイルに告げるとソウカはそのまま去っていった。
湧く観衆と残された敗者。開催以来初となる優勝者だけがいない表彰が始まった。
数時間前まで激しい戦いが繰り広げられたとは思えない会場を1人、優勝をした青年が歩く。崩れた瓦礫は片付けられることなく、乱雑になっている。
「…来てくれるかな?…いや、来るだろうな。」
つぶやきながら掌を上に向けて、彼女との再会を彩るために属性を行使する。
ソウカを中心に誰もいない闘技場に行き渡る位たくさんの草花が咲き誇る。
白い花と少しピンクがかった花、黄色の花と所狭しと闘技場を埋め尽くす様に咲き誇る。
「せっかくの再会だ。彼女は気に入ってくれるかな?」
嘲笑するように笑い、ソウカは彼女…リオを待つ。
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