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『愛弟子よ…結局君は儂の鍛冶を学んでくれなかったね…』
少し寂しそうに笑う顔を思い出す。
『そうですね…。というより師もわかっているでしょう?俺に鍛冶の才能がないってこと。』
先程まで寂しそうだったのに、満面の笑みに変わり
『はっはっはっ!そうだったね。まさか、ナイフの一つも満足に作れないとは思わなかったよ。…それでもあちらの方はちゃんと学んでくれたから良しとしよう』
そうして、師は俺が昔作った歪なナイフを取り出す。
…まだ持っていたんですかと苦笑いをしてしまう。
師は歪なナイフの形を激しい稲光を駆使して歪め出す。…やっと処分してくれるのかと思っていると、師はおもむろに収納袋から長剣を取り出す。そして、溶けたナイフを長剣の腹に垂らす。溶けたナイフは一つの花の形に変わる。
『それは?』
急に出された長剣を前に俺は聞かずにはいれなかった。師は仕上げに行った花の装飾の具合を確認しながら笑う。
『これは君への餞別さ。これからここを去る君に贈る手向けだよ。』
『ほう…それが貴殿がソウカのために打った剣か』
突如ソウカの師の後ろから、別の声が聞こえる。
『そうですよ。どうですかね?久方ぶりの剣ですから緊張はしましたがね』
長剣を掲げ後ろから来た者へと見せる。後ろから加わった者は剣をまじまじと見ると
『ん?こっちの腹には花を象っているのに逆の腹は何もないのか?』
『あ~元々何も象る予定はなかったのですよ。何ですけど、ソウカを見ていたら、ふと思いつきましてね~』
どうやら最後の追加は思いつきだった様だ。そんな剣を見ていたもう1人の師はニタァと笑い
『くっくっくっ。なかなかに面白い出来じゃないか。どれ我も一つ象ってやろう。…そうだな~。せっかく我の弟子なんだ。我の象徴を象ってやろう。』
そう言うと、未だなのも象られていない方の腹を出して、鼻歌交じりに彼の象徴を象る。
そうしてできあがった剣をまじまじと見ていると、剣をソウカに突き出し
『さぁ、儂たちの愛弟子よ。せめてものの餞別だ受け取りなさい。』
ソウカは渡された剣を受け取ると
『ありがたく頂戴します。……ですが、俺には既にこちらが』
今は茨に封印されている剣をソウカは彼らに見せる。
『ははっ!そんなもの百も承知さ。なんて言ったってその場に儂もいたからね。』
『我もいたな…。よいかソウカ?その剣はお主が誓った…復讐する者だけに使うと決めたのだろう?なら、他にお主の障害となる者がいたらどうする?復讐をする相手以外に許せない相手がいたらどうする?奴に教わった徒手空拳を使うか?それも良いが、せっかくここで学んだ技術だ。お主の障害となるものに躊躇うな。……そのための剣なのだろう?』
追加の象徴を象った方の師が笑いながら説明をしてくれる。
少し恥ずかしそうに師は頭を掻き
『いや~先に言わないでいただきたいですな~』
『ははっ!すまなんだ。』
『全く…まぁそういうわけだよ。これは君が復讐を果たす者以外のために振るうための剣さ。』
『復讐以外……』
ソウカは考えていなかった。あの世界に戻れば復讐以外にはないと。彼らを見つけ出し、全員を殺してやるだけだと。
『ふむ…もしやお主、復讐以外を考えておらなんだな?…はぁ。良いかソウカ?』
『なんでしょう?』
『お主が戻る世界は広い。それでいて狭い。お主が復讐だけで生きていこうと思っておるかもしれんがな…。お主の様な強き力を持つ者を世界は見過ごすわけもない。良くも悪くもお主と交わる者がおる。…それが世界だ』
『……………』
『だから…これを贈るのだよ』
『そういえば名前を付けていないな…ソウカ。君が付けてくれ。君のための剣だ』
『俺のための剣………』
少しだけ師との記憶を思い出す。ソウカは師からもらった剣に名前を付けた。
そして今、この世界に戻って来て初めてこの剣を抜く。
ガストルを許すことができないからだ。
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