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「始まったわね…」
舞台で最初から激しい攻防を繰り広げた2人をみてリムルが呟く。
昨日、ソウカの手で敗れ、…私がリオを狙う経緯を話した。
ソウカとリオの関係を聞き出そうとした瞬間、気がついたら朝だった。
隣を見ると、気持ちよさそうに寝るソウカを見て様々な感情が湧き上がる。
どうして何も私の過去について言葉をくれなかったのか
どうして貴方の過去を話してくれなかったのか
…そして、どうしてそんなに健やかに寝ているのかと。
リムルは少し馬鹿らしくなり、彼が起きる前に準備を整えて、部屋をでる。
「さよなら…」
一足先に部屋を後に、朝食を摂り宿をでた。そのあと街で時間を潰し、ソウカの最後を見届けるために会場に足を運んでいた。
「はっ!珍しいな。じいさんがあんな奇襲するなんてな!」
突如隣に誰かが座る気配がして見てみると、ソウカに決勝トーナメント初戦で負けたガルフィードがいた。
「全く…レディの隣に座るのでしたら、声かけくらいは必要でしょ。」
逆隣からはキザったらしくきめ、ブロックで最初に負けた。そしてガストルから風剣を継いだネイルが座ってきた。
奇しくも、本大会の強豪選手が揃う形となった。
「呼んでないんだけど…?」
「がぁはっはっ!細けぇ事は気にすんな。にしてもソウカだったか?んだあいつは?もしかしたらガストルに勝っちまうかもな?」
「それはあり得ない。じっちゃn…師はあんな名も知れ渡ってない輩に屈しないさ」
「…そんなこと言うと、私達も名も知れ渡ってない輩に負けてるじゃない?」
「「……………」」
「…はぁ。まぁこれではっきりするでしょ。」
リムルはため息と共に舞台で激しい攻防を繰り広げる彼らに目を向ける。
「疾っ!」
ガストルは風を駆使し、短剣に風を纏わせてソウカに斬りかかる。ソウカは特に焦ることもなくギリギリで回避しようとした瞬間。気がついたかの様に大きく躱す。
「…気がつくかのぉ。」
ガストルの剣を躱したソウカだったが、ハラリと髪が少し切れている。
「風の付与。…風は厄介だな。視認しにくいというメリットがある。」
厄介と口にしているが特に気にすることなくソウカはガストルと対峙する。
「風をみくびる出ないぞ?」
続けざまにガストルはソウカとの間に濃密な風の壁を作る。
一見打ち破れないかと思ってしまう風の壁だったが、ソウカは気にすることなく、鞘に収まったままの剣を構える。
「お前程度の風…撃ち破れないとダメだよな…じゃなきゃあいつに届かない」
ソウカは何故か風の壁を前にして、ガストルではない存在を見る。ソウカはリムルを撃ち破った必殺の突きの型を繰り出す。
「穿狼!」
リムルを穿った突きは、風の壁に激しくぶつかるが風は剣の勢いを止めることはできず、風の壁が晴れる。
晴れた先にガストルがいると踏んでいたが、晴れた先にガストルはいなかった
「……」
「……上じゃよ?」
突如上から声がしたと同時に光るものが見える。
「ちっ」
咄嗟にソウカは横に飛び光るものを回避する。先程までソウカがいた場所に多くの短剣が刺さりかけた瞬間に軌道を変える。
「っ!?」
軌道を変えてソウカをめがけて飛んできた短剣をソウカは長剣を器用に操って弾き返す。
「良いの~良いの~。」
場違いな声でガストルは笑う。ガストルは空中で先程まで手に持っていた短剣を足場にし、ソウカを見下ろし、先程まではなかった数多の短剣を宙に浮かべている。
地にいるソウカは舌打ちをしながら、剣を構え
「ちっ。収納袋か。…それにしても老害に見下されるのはいい気はしないなっ!」
瞬時にガストルの高さまで飛び上がる。ガストルを撃ち落とす速度で振り下ろした剣は空を斬る。
「いかんよ。いかんよ~。………もっとお主には苦しんでもらわんとな」
風を駆使して攻撃を避けながらも、短剣を飛ばす。空中であれば避けられないと踏んだのだろうがソウカは器用に身を翻し、剣で弾きながら躱し着地する。
「厄介だな……」
呟く声が聞き取れたのだろうか、ガストルは高らかに笑う。
「ほ~ほっほっほっ。言ったであろう?風を見くびるなと。風の武器は世界中に満ちあふれる空気そのもの。お主が戦うのは儂だけではない。」
声と呼応する様に短剣を宙に掲げ
「空気全てが敵じゃ!」
短剣がソウカを襲うが、特に焦ることなく短剣を視認する。
(風…まぁ想定していた通りだな。)
吹き荒れる風の中で舞う短剣を躱しながら、ガストルの元へと駆けていく。ガストルは迫り来るソウカに臆することなく、短剣を投擲したり、風を駆使してソウカの死角から短剣を襲わせる。ソウカは躱しながらもガストルに向け切り払いを繰り出すが、熟練者の余裕だろうか、ガストルは短剣で切り払いの軌道を逸らす。
「ほっほっほっ。鞘から抜いて見てはどうかのぉ?」
「…だったら、抜ける位の実力を示したらどうだ?」
「ほうぉ?未だ一撃も与えられていないというのに吼えるのぉ?」
ガストルは器用にソウカの攻撃を時には躱し、時には短剣で逸らす。ガストルの方も、ソウカの死角や攻撃のタイミングで短剣を飛ばしてはいるが、ソウカは臆することなく、避けたり短剣を無力化している。
お互いに相手に傷を付けることができず、膠着が続く。観客達も彼らの激しい攻防に歓声を上げながら、見入っている。彼らが口々に語る言葉は様々だ。
前風剣は健在だったとガストルを評価する声が多いが、少しだけソウカを評価する声もある。「ガストルと打ち合える」「前風剣を前に臆するどころか果敢に攻めたつ姿勢」などだ。
そんな中で、
「ガンバレー!!そこだぁ!!あぁ惜しい!」
「ね…ねぇニーチャちゃんは見えてるの?私には全然そんな戦いをしているかわからないよ…」
「ん?何言ってるのマロンちゃん。見えてる訳無いじゃん。あははっなんとなくお兄ちゃんを応援してるんだよ」
「え…えぇ~」
大勢の大人に紛れて先程声をかけてもらったニーチャとマロンもソウカを激励するために応援に来ていた。
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