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リムルの目の前に着いた瞬間。リムルが少し笑った気がした。
「…アースグレイブ」
突如リムルの足元から土の棘が俺に向けて飛び出す。
「っ!?」
少し体をひねり、土の棘を躱そうとするが、躱しきれず少し服を切り裂いた。一度引くと、
「ちょっと…避けられないタイミングだと思ったのに…」
残念そうに呟くリムルは新たに炎と土の槍を生成する。
旅の途中で聞いた事があった。本来、子は両親のどちらかの属性、または全く異なる属性になると言われている。しかし、稀に両親のどちらの属性を継ぐ子が現われると
「…驚いた。君は…ダブルスか?」
「あら?知っていたの?…けど、私がそうだとは思わなかったでしょ?」
再び槍を構え
「さぁ!第2ラウンドと行きましょ!!」
合図と共に彼女は手に持つ槍と炎の槍、そして新たに土の槍を使う。
炎の槍を飛ばし、避けた着地点に土の槍を出現させ、その槍を躱せば、突如彼女の槍が穿たれる。
(…バランス良く、訓練された動きだな…。)
幾度となく練習したであろうか、隙も無駄もない様な動きで俺を追い詰める様に槍を繰り出す。
しかし、彼女の攻撃は最初に少しかすったが、その後はどれも受けることなく躱し続ける。
炎や土を駆使しても俺に攻撃が届かない事に痺れを切らすことなく、避けられたら別の手で、それでも避けられたら次の手と手法や動きを変えて繰り出してくる。
「…ちょっと…なんで…なんで当たんないのよ!!」
流石に手札が切れてきたのか、俺に愚痴を言いながらも、炎の槍を複数出して
「あ~~もうっ!フィアフレイムダンス!!」
炎の槍達は踊るように宙を舞いながら縦横無尽に俺に襲いかかる。
「…すごいな。その若さでここまで制御できるんだ。」
「あんた私の歳知らないでしょ!!」
ふむ。やはり年齢の話はNGか?年下かと思ったのだが…と考えながら、俺の頭めがけて飛んでくる炎の槍を躱す。
炎の槍を躱し続けるのは暇なので少しリムルに聞いてみたい事を聞いてみる。幸い、会場は盛り上がっており、俺たちの声は外には聞こえないだろう。
「……なぁリムル。君は彼女を…リオを恨んでいるのかい?」
「!?」
驚きで眼を見開いたと思うと、突如彼女の槍の手が止まる。
「……」
あの夜感じた事はどうやら間違いではなさそうだ。
「…なにを言っているの?私が恨む?英雄と謳われた存在を恨むですって?…尊敬されすれど恨むなんて…」
少しだけ声を振るわしながら、彼女は言葉を紡ぐ。
…きっと抱えている感情と異なる言葉を口にしているのだろうから、悔しそうな顔で呟く。
(…君のその悲痛そうな顔をみて、尊敬の念を抱いているとは到底思えないよ…でも)
そんな彼女に俺は言葉を続ける。己に返ってくる言葉だろうが、俺はとうの昔の覚悟している。
恐らく彼女はリオに復讐したい。理由はわからないが間違いないだろう。
一度開幕宣言をした時に、かすかに聞こえた声。
『…やっとここまできた…お前はどうやって死にたい?』
声の主を探したが見つけることはできなかった。しかし、かすかに殺気を漏らしていたのが彼女だった。
(無意識の内に漏らした殺気。あれは倒そうとする血気盛んな感情ではなく、ただただ純粋な殺意だったな)
「検討違いだったかな?………復讐は世界で一番醜い感情だ。」
自分でいって悲しくなるが、復讐は何も生み出さないと思う。師の方々にも言われた。
『復讐ほど生産性のない物はないぞ。それでも復讐するのか?』
『…俺にはこれしかありませんから…』
『そうか…。なら止めはせぬ。だがな…』
師の言葉を思い出す。
『復讐は世界で一番醜い感情だ。できるならお前と同じように復讐という醜い感情に支配された誰かをお前は救え。……復讐に染まるのはお前だけ十分だろ?』
豪快に笑う師の顔を思い出す。
(俺は世界に殺された様な身だ。いまさら生産性のあることをしたところで…でも彼女は?それに師の伝えを守るなら…)
二つ名を冠する程の名声を得て、ファンができる程の人気ぶり。少し恥ずかしそうに手を振り応える彼女の横顔は
(復讐に相応しく無い…)
「……」
彼女は俺の言葉に応えることなく無言で返す。
「復讐…それは何を産む?誰が望む?仮に君が復讐を遂げたところで、その後は?」
「……」
顔を伏せ無言で返す彼女の顔色は判らない。
「…それにさぁ。…お前じゃ無理だろ?
俺の足元にも及ばないというのに、リオを殺せるわけがないだろ?」
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