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リムルは昼前とは違う武装をしていた。紅く燃えさかるような色の防具を所々に纏い、彼女の代名詞と言っても過言ではない槍も、あまり装飾のなかった見た目だった槍だったが、石突きに紅き宝玉が着いて、所々にグレードアップしている。
「随分と大仰しいじゃないか?」
「…………めよ。」
小さく声で彼女は呟く
「ん?すまない。よく聞こえなかった。」
リムルはキッと俺を睨むと槍の刃先を俺に向けて
「貴方に…勝つためよ。…私はここで止まっている訳には行かないのよ。」
ギリッと音が鳴るくらい強く槍を握る
「私は…私の願いのために止まれない。それでも貴方はきっと強いから…誠心誠意をもって、私の全力を持って貴方を倒す。」
豪ッと音がするくらい猛る炎がリムルから吹き出す。
「…やっぱり君は火属性か。」
世界中に溢れている属性で代表各とされるほどポピュラーな属性だ。単純だからこそ応用性もあり、恵まれた属性だ。
「…羨ましいな」
俺は属性に恵まれていないと思った。誰も持っていなかったオリジナルと呼ばれる属性。使い方を知らない時には、なんて使えないと思った。皆が使うありふれた属性に恋い焦がれた。
「…だけど、俺は今の属性がいい。」
改めてリムルを見る。紅き炎を携えて構えるその姿は何を背負っているのだろう…。
「それでも俺は変わらない…。」
茨の武器を舞台袖に置き、腰に剣を携えたまま舞台に上がる、だが抜刀することはない。
「なに?武器は抜かないの?」
「…本気の君には、腰に武器を持っているだけでも最低限の譲渡だよ。」
一段と炎の勢いが増した気がしたが、気にすることはなく構えもせずに準備する。
「……良いじゃない…後悔しなさいっ!武器も抜かす暇もなく穿ってあげる!!」
宣言と共に激しい炎が舞う。どうやら最初っから本気で行くようだ。
因みに決勝は明日行われるため、これが勝っても負けても今日はこれで最後。
リムルの叫びに呼応する様に司会者が開始の合図を下す。
「はぁあっ!!」
合図と同時に爆発的に炎を吹き出し、推進力として利用し槍を突き出す。
遠慮のない俺と穿たんとする突き。心の臓を狙う様に繰り出される突き。普通なら死を免れないような威力だが、特に気にすることなく、俺は少し体をひねり躱す。躱した後も俺は特に追撃する事なく距離をおく。躱しただけで攻撃してこなかった事が気にくわないらしく。
「…戦う気あるのかしらぁ!!」
再度、炎を加速の推進力にしながら縦横無尽に舞台を駆け回り、俺の死角から再度突きを繰り出す。だが、死角だろうが特段驚く事はなく、槍の軌道を見ることなくそれを躱す。また、距離を取るだけにすると、リムルは手に持っている槍だけではなく、
「ちょこまかと!」
新たに炎の槍を作り出し、投擲する様に炎の槍を投げてくる。
「おっと。危ないじゃないか」
焦った振りをしながら、炎の槍を躱す。
全く当たらない事に苛立ちを隠すことなく、リムルは新たに炎の槍を投げ飛ばす。
「…だったら少しは焦りなさいよっ!!」
炎の槍だけではなく、愛用の槍を手に接近戦と中距離戦を繰り出す。
「はぁっ!!」
穿たれた槍は俺を貫くことはなく空を斬る。
「さすがは二つ名。想像以上じゃないか?」
空を斬った槍を気にすることなくリムルは生成した炎の槍を飛ばす。それも俺捉えることはなく後ろに飛んでいく
「…お世辞にも聞こえないわよ!だったら当たりなさいよ!」
先程より一回り大きな炎の槍を飛ばしながら悪態をつく。
せっかくだしという思いで俺は飛んできた炎の槍を待ち構えて、俺に着弾するタイミングで、ネイルに使った師の技術を使う。肉体を鋼のように変えて、拳で炎の槍と正面でぶつかりあう。
炎は俺の拳を焼くこともできず中に離散する。
「…うん。炎は問題ないな。」
俺のつぶやきが聞こえていたのか、更に一段と炎の勢いが増し、リムルが複数の炎の槍を生成し飛ばしてくる。
「ほう。次は数も増えるか。」
余裕な態度が気にくわないのだろう。怒りの感情を表にして
「ふ…ふざけるなぁ!」
その後も炎の槍を躱し、リムルの槍を躱し続ける。
どれだけ多くの槍でも躱される続けると思ったのだろうか、再度数多の槍を出現させて、同時に飛ばす。炎の槍はランダムに着弾し、舞台を壊しながら粉塵を巻く。
飛んでくる槍を見極めてさっと躱してみると、躱した先にリムルが槍を構え俺の着地点を読んで穿つ。
「これでっ!!」
しかし、リムルの槍は俺に届くことはなかった。俺は着地点に穿たれた槍の刃先を踏みつけるようにして、下にたたき落す。
(少しは反撃するか…)
「…構えろよ?」
リムルの返事を聞くことなく俺はリムルの頬を殴り飛ばす。…因みに一応手加減してはいる。
「…ぐふっ!!」
突然の反撃に構えられてなかったのか、槍を落とし後方へ吹き飛ぶ。
「俺は優しいからな…」
落とした槍をリムルの方に山なりで投げ返す。
突如、会場からブーイングの嵐が吹き荒れる。「可哀想だ」「相手は女だぞ」「顔なんて卑怯だ」「武器も使わない卑怯者」「避けてばっかの弱虫」等、俺に対してばかりだ。
「…俺はフェミニストじゃないんだよ…」
呟くように対抗しても誰にも聞こえていないんだろうな…と思いながら、観客のブーイングを無視する。
「どうせこの街に来るのはこれっきり。どう思われようが構わない…。
さて、少しは回復したか?」
リムルは槍を杖にして、立ち上がると
「…いったいわね。…それより手を抜いたの?」
頬をさすりながらリムルは俺を睨む。
「そうだな…。抜いたと言えば抜いたな。本気?出して欲しいなら、その気にさせてみろよ。…次は俺から行くぞ。」
リムルを挑発し、俺はリムルに向けて駆ける。
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