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ブーイングを浴びせられたガルフィードもこの状況を打破したいらしく
「…まだ秘密にしておくつもりだったが…」
ガルフィードは後方へバックステップすると、腰に付けた袋から袋に収まっていたとは思えない程の大きな大剣を取り出す。
(マジックアイテムの類いか…)
剣の腹が黄色の大剣が顔を出す。時々バチリと音を立てる。先程まで持っていた大剣とは比べものにならないくらいの業物だと感じることができる。
ガルフィードは使っていた大剣を捨て、新たに出した大剣を握る。
それと共に、会場から大きな歓声が上がる。
「…俺の二つ名を知っているか?」
神妙な顔で俺をみる。
「知るか。」
本当にしらない。田舎者を舐めるな。
「…ふん。………なら…てめぇの身に教えてやるぜ!!」
先程とは比べものにならない程の迫力をは放つ。
「俺の二つ名…雷猪をなぁ!!!」
宣言と共に繰り出される雷を纏った大剣を見て
(この程度か…師に比べれば、雷の威力も劣る…)
ふと、雷という属性について教えてくれた師を思い出す。力・速さ・鋭さといった雷の特性を俺にたたき込んでくれた師だった。
(いつもはおとなしいのに、訓練となると人が変わってかのようだったんだよな…)
フッと笑うと、諦めたと思われたのか、ガルフィードが笑い
「次に目を開けるときは、ベッドの上だぜ!!」
そう呟く声を無視する形で、俺はとある物を拾いに別の方向へ駆ける。
「…借りるぞ。」
ガルフィードが捨てた大剣を拾う。あまり使われてないのか、手入れもあまりされていない
「はっそんなので良いなら貸してやるよ。そんななまくらで良いならな!」
大げさに笑い、雷を纏った大剣を掲げ、観客を煽る。
「見てやがれてめぇら!ここで使うことになるたぁ思わなかったが…、雷猪たる所以を見せてやる!!」
観客はガルフィードに期待する様に雄叫びを上げて、熱を帯びる。
観客を余所に捨てられた大剣を見て
「…お前も捨てられたか…。なら最後は…華々しくな?」
そっと、剣の腹を撫でて、俺の…俺だけの属性を使って剣の腹に刻む準備をする。
この属性の意味を、使い方を、本当の力を知っていれば復讐をしなかったのかも知れない。
(いや…それだったら、師達には会えなかったからな…)
この道以外はあり得ないなと感じ、俺は静かに使う。誰にもバレない様に。
友に捨てられるきっかけとなった。師達と出会うきっかけとなった。
花属性という唯一無二の属性を。
(さぁ…刻もう。捨てられし大剣に)
そして俺は大剣に「ミヤコワスレ」そして、「雷花」と「エリカ」を結わせた様な花を刻む。
俺が何をしているか気にすることなく、ガルフィードは更に鋭く雷を纏った大剣を構えて
「…そろそろだ。死ねやガキ!」
雷猪と呼ばれる所以となったであろう、直線距離を駆ける。
ガルフィードの前に立ち塞がる存在を打ち砕かんとする様に大剣を振り下ろす。
俺は振り下ろされる大剣を見据え、捨てられし大剣をぶつけるように振るう。
「捨てられし大剣よ…君には別れを…。雷花とエリカよ…師の意思を…」
俺の言葉に呼応するように何故か大剣が雷を纏う。
俺の握る大剣は俺では纏うことの出来ない雷を纏いながら、ガルフィードの大剣とぶつかると、激しい音と稲光が会場を支配する。
本来、ガルフィードが持つ大剣は簡単に壊れる代物ではない。ましてや、相手が使っているのは自身が使っていた、対雑魚用の大剣。何もかもが劣る品だ。だから、ぶつかり合ったところで捨てた大剣が壊れ、相手に剣劇を刻むと思っていた。
「な…んだと…?」
だからこそガルフィードは理解できない。激しい音を立てて、ぶつかり合った大剣は
互いにその使命を終えるかのように砕け散った。
「…だめじゃないか…戦闘中に思考を止めたら」
愛用している大剣が砕けてしまったこと。雑魚用としていたなまくらが大剣を砕いたこと。ソウカの太刀筋があまりに鮮麗されていたこと。
多くの出来事が重なり、思考を止めてしまったガルフィードは、呟かれたソウカの言葉に反応する事は出来なかった。
頭の上から、稲妻の如くたたき落される踵をガルフィードは見ることなく
「ぐぁぁ!!」
会場がひび割れる程の激しい音を立ててガルフィードはソウカの踵落としによって地に沈む。
猪という二つ名だ。かなりしぶといのだろう。地に沈んだとはいえ、念には念をいれて、ガルフィードの頭を踏み潰す。
会場は激しい音とは正反対で静まりかえっていたが、我を取り戻した司会者によって世界が動き始める。
「な…な…なんと!!ガルフィード選手の激しい剣劇を物ともしない。それどころか、ガルフィード選手の隙を突き続けたソウカ選手。そして、ガルフィードの秘策だった大剣をものともしなかっただけではなく、大剣を砕くほどの胆力。………そして、
その激しい試合を制したのは、またもやダークホースのソウカ選手だぁぁ!!俺はお前の獲物をそろそろ見たいぞ!!!」
司会者の宣言と共に、会場も息を吹き返したように盛り上がる。
そうしてソウカは一足先に決勝トーナメントの歩を進めた。
ミヤコワスレ「別れ」
雷花とエリカという組み合わせは過去編で語りたいと思います。
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