表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/73

第12話 湯上りの二人


 随分と遅いなあ。二人とも……。

 先にお風呂から上がった僕は、温泉の前でひとりで待っていた。


「ごめんなさい。待った? 少し二人で話し込んじゃって」


 仄かに湯上がりのいい香りを纏ってエリスが声をかけてきた。

 濡れた髪と肌が艶やかに、芸術品のように美しい。

 そして少し遅れてルーシアさんの姿が見える。


「ちょっと相談があるのだけれど、ルーシアも一緒に旅に連れて行くことにしたわ」


 相談があると言いつつ、すでに決定しているようだけど、ルーシアさんも一緒にだって?


「連れて行くって、いきなりどうして? 僕らの旅の目的は知ってるの?」


「あ、はい。存じております。ま、魔王を倒すために旅をしているんですよね」


「分かってて言っているのか。危険な旅なんだよ?」


「まあ、連れて行く理由については今はいいじゃない。追い追い話すわ。ただ、彼女はこの旅に必要なのよ。ね? ルーシア」


「あ、はい。ええと、エリスさん……。ありがとうございます」


 ルーシアさんは頰を紅らめながらエリスの方を見て、少し恥ずかしそうにそう呟いた。

 まあ、エリスが決めた事だから僕は文句を言うつもりもないし、むしろ旅の仲間が増えるのは喜ばしい事だけど、ふたりでお風呂に入っている間に何があったんだろう? 

 ついさっきまで、ちょっと険悪な空気を感じるくらいだったのに、お風呂から上がったら急に二人の距離が近くなったような気がする。


 そして、僕らはその足でルーシアさんの案内してくれた肉料理の店に行った。

 夕飯を食べている時にエリスにそれとなく何かあったのか聞いてみようとしたら、『女の子にはいろいろあるのよ、詮索するものじゃないわ』と怒られた。

 ルーシアさんもモジモジしながら『ヒミツです……』というばかりだった。


 こんなに短時間であんなに距離が縮まるなんて、本当にお風呂で何かがあったんじゃ……。

 その夜、床に就いた僕は二人の事が気になりすぎて色々と妄想してしまって、なかなか寝付けなかった。


読んでいただいて本当にありがとうございます。

ほんのちょっとでも良いと思ってもらえたら

ブックマーク, ★★★★★ などで応援していただけたらとても嬉しいです。

励みになります。


一人でも読み続けてくれる人がいる限り

最後まで書ききるつもりですので、どうかよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ