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週案1p 異動命令

「ということでですね、山田先生には国立、というか国立のような学校の方に行ってもらおうかと思っておりまして。」

三月終わり、卒業式も終えた頃に校長にいきなりそう言われた。


「はぁ、国立ですか。

でも、私は教科指導は出来ても、生徒指導とかはからきしなので、行ってもお役に立てないかも知らませんが・・・。」

私こと、山田士郎は頭をポリポリかきながらそう答える。

ヨレヨレの白衣に、無精髭、頭には白髪が混じっている。

パッと見ると50手前なのに、これでまだ39歳だというのだから驚きだ。


「山田先生、そんなことは無いんですよ。先生のお力がどうしても必要だと、先方がおっしゃるんですよ。」

校長は額の汗をハンカチで拭いながら、俺にそう伝えてくる。


ー嘘だ。

教員の異動がこんなにギリギリな訳がない。

基本的に1月、遅くとも2月頃には行き先が決まっている。3月にいきなり何処かに行けなんて事はありえない。

国立と言えば激戦区だ。きっと、急に体調不良や退職があったんだろう。

正直言えば行きたくない。

だが、縦社会の教員の世界、まして組合にも入っていない俺には逆らうことなど出来ない。

今から引っ越しの準備が面倒だが、仕方ないな。

俺は意を決して

「わかりました。・・・それで、国立の学校って何処になるんですか?」

と校長に尋ねた。


「んー、どこというか、その地球じゃないというか、ごにょごにょ・・・。まあ、感覚的には都会なんじゃないかな。向こうの校長先生もそういってたし。」

「はあ、わかったような、わからないような・・・。」


「ともかく、引き受けてくれるってことでいいんだね?」

校長は顔を近づけて聞いてくる。目が血走っていて、怖い。

あまりの剣幕に無言で頷いてしまう。その様子を見た校長は安心した様子で

「いや、引き受けてくれるとはありがたい。

それじゃあ、『あちらでも』頑張ってくださいね。」

おもむろに机の上に置いてあった書類に判子を押す。


書類から花火のような激しい閃光があがる。まぶしくて俺は目を開けていることができない。

そして、俺の身体は、校長室から別の世界に「飛ばされた」のだった。

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