09 念願の打撃スキル体得
家に帰り、ご飯を食べ、風呂に入り、さぁ寝るぞ!
と思った瞬間、
コンコン
ドアをノックされた。
「はーい。どーぞ」
ドアを開けたのはマナだった。顔を赤く染め、モジモジしていた。
「あ、あの少しだけライ君にお話が……」
なんの事だろう。もちろん今日は風呂で居合わせて居ない。
「あ、大丈夫だよ。入って」
マナを部屋の中に入れるとマナがモジモジしながら
「あの……帰り道の時のことは忘れてください!今になって私……ライ君を涙でぐちゃぐちゃにしちゃったし……あってまだ2ヶ月なのにあんなこと言っちゃって……」
赤く染った頬を両手で隠すマナ。
なんだそんなことか。俺は気にしてもいなかった。それはそれで失礼かな?
しかも、抱き寄せたのは俺なんだしぐちゃぐちゃにしたのは俺のせいだろ。
ふとあの時を思い出した。急にまた恥ずかしくなってマナの気まづい雰囲気が移った。
「だ、大丈夫だよ。さっき俺が言ったことも嘘じゃないし、マナの気持ちもしっかり分かったから」
そう答えるとマナは「本当ですか!?」「明日も頑張りましょう!」と言って部屋を出ていった。
かなりニコニコしていた。
ご機嫌そうで何より。
マナは転移した俺よりももっともっと辛い思いをしてたんだ。龍のせいで。
俺は龍を絶対倒さなきゃ行けなさそうだ。
―――――――――――――――――――――――
それから半月、俺とマナとドラゴはオーク狩りを続けていた。
「はぁ……はぁ……ドラゴは打撃どれくらいで体得したんだ?」
「半月くらいだったからもう少しの辛抱だぜ」
そういうドラゴは防御を体得してから適当にオークを狩っている。
「そーか……頑張るか。てか、ドラゴお前打撃と防御しか体得してないんだろ?他はいいのか?」
「パーティも組んだし俺は要らねぇよ。力と硬さがあればそれでいい!」
はぁ。なんてやつだ。
例えるなら最強主人公がハーレムを構築してそのグループにちゃっかりいる1人の男みたいな感じだな。
例え下手すぎかよ!しかも、俺今のところ最強じゃなくて、最弱だわ!
ま、まぁいい。ドラゴも俺よりは戦えてるし大丈夫だろう。
「まったく。ドラゴも少しはマナを見習っとけよ」
そう言いマナの方を見ると……
「もう無理ですよ〜」
あちゃー。心が折れていた。
それもそうだ。3ヶ月近くオークを狩っているだけなんだ。
なんならマナはもっとかもしれない。
「諦めるな! マナ! 次のオークを倒せば体得出来るかもしれない! そー思って頑張るんだ!」
「うん……うん! そうだね! 頑張ろー!」
チョロい。
やる気を取り戻したマナはオークを狩り始めた。
2、3匹オークを狩ったあげく、
「やっぱり無理じゃないですかー」
また心が折れた。
こうなったら俺が体得してやる気を出させるしかない!
―――――――――――――――――――――――
1ヶ月後。
「やりました……やりましたよ!」
マナは打撃を体得した。
「すごい! オークを一撃で倒せます! 頑張ったかいがありました! ライ君! ドラゴ君!」
「や……やったじゃないか……」
ん?なんでこんなにテンションが低いのかだって?
「……なんで俺は体得出来ないんだよ!!!!」
ドラゴの通り気持ちを込めているのに!
てか、ドラゴ半月って言ったよな?半月x3かかっとるぞ!
俺は心の中でドラゴを睨む。
「まぁまぁ、マナが体得できたんだ。ライも次倒せば体得出来るかもしれないぞ」
そんな言葉に惑わされてたまるか。
こうなったらこの平野のオーク狩り尽くしたろうか。モンスター生成が追いつかないくらいに
そう言って俺はオークにナイフを切りつけると、
なんと……なんと……
「オークが一撃……」
ライは打撃を体得した。
「やったよ! やったよ! 俺もついに打撃体得だ!」
「ライ君やりましたね!」
「ほーら言ったとうりだろ」
ドラゴお前には感謝するよ。逆フラグってやつか。
いや……まてよ……
さっきも思ったがドラゴ半月って言ってたよな……
いーやそんなこと考えてもしょうがない!
今を喜べ! 俺!
あれ?……なんで俺は打撃を体得したんだっけ
「これでドラゴン討伐に一歩前進ですね!」
あー、ドラゴン討伐のためにか。
…………完全に忘れてた。
まだ俺はスタートラインに立っただけなのだ。
いや……加速まだ体得してないから……
まだ俺はスタートラインに座っているのだ。
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