06 防御スキルの体得
俺の部屋でたわいも無い会話始まった。
その会話の途中。
「ライ君もしかしてそれ……」
マナは虹色に光るナイフを指した。
その無防備に置かれたおっさんに貰ったナイフ。
「あぁ、それは龍について色々教えてくれたおっさんがくれたんだよ。全特攻持ってる的なやつで全部の龍倒すなんて言ってもないのになぁ」
まぁ、倒すんですけど。マナにはもうその事を言っている。
「そ、そうなの!? 全特攻の武器はね、この世界に3つしかないって言われてるのよ!」
「え、3つ!?」
驚いた。おっさんどーなってんだよ。そんな大切なものを俺に渡すなんて。
てか3つって普通に考えてやばいな……
「大切にしないとなぁ」
そう話しているとマナが一度部屋を出てあるものを持ってきた。
「はい。これ使って」
マナは黒色のナイフケースを渡してきた。
安っぽそうに見えて触ってみると意外としっかりしていた。
「あ、ありがとう」
「そんな凄いもの見せびらかしてたら殺されちゃうよ? 気をつけてね」
なんせこのナイフは高値で売れるらしい。一瞬これを売って生活すれば……なんて思ったけど俺は俺にダメだ! と言い聞かせ続けた。
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それから、明日は何をするかの話になった。
「やっぱり初めはスキルの体得かな」
「そうね。私は防御と跳躍は体得してるけど……」
え、嘘。マナに負けてる。
どーしよう。
「俺は……何も体得してない……」
うわぁ。恥ずかしい。
頼りにしてよ的なこと言っといて負けてるんだもん。
そんな俺を気にもしてない装いで
「そーなんだ。防御と跳躍なら教えてあげられるから心配しないで」
笑顔でそういった。哀れみの顔ではなかった。
神か! いや。女神だ!やっぱマナは優しい子だ。
この笑顔守りたい。
「ありがとうございます!」
そう言って今日はお開きになった。
少し俺は安心した。
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俺は部屋を暗くしてベットに横になっていた。
今日はいろいろあった。たくさんの情報を手に入れて、マナと言うとっても可愛くて優しい仲間も出来て初日にしては良い方だろう。
こっちの世界に来て初めての夜。いろんなものを手に入れたからと言って不安が全て取れたわけじゃない。どうにかなるのか。いや、今の俺じゃどうにもならない。俺は変わらなくちゃいけないのだ。
そう考えながら俺は眠りについた。
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次の日。マナに連れられダンジョンに行った。
ダンジョンと言ってもオークが出る平野だ。
ここがレベルアップに適して居るらしい……のだが、見渡す限り誰もいない。
「誰もいないな」
「普通よ。龍狩人なんでそうそういないわ」
そうか。龍を倒す目的がないなら強くならなくてもいいのか。なるほど。
「じゃ始めようか……と思ったけど何すればいいんだ?」
「私の時は防御はオークの攻撃を受けまくってたら体得出来たよ。跳躍は…ぴょんぴょんしてたらできた!」
天然かよ。
しかも、攻撃を受けまくってたってボコ殴りにされてたってことだよな?
急に不安に……
「そ、そうか。じゃこれからボコ殴りにさらながらぴょんぴょんするようにするよ」
とは言ったものの本当に大丈夫か?
今はマナを信じるしかないと思いぴょんぴょんし始めた。
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ぴょんぴょんしながら平野を歩いていると、
前から地球にいた豚と同じフォルムのオークが歩いてきた。
しかし…
「敵対してないな」
オークは俺に敵対どころかなつきそうだ。
ブヒブヒ
と、鼻を近ずけるオークに対してマナは…
「ていや!」
ボヒィ!
そう言ってオークを蹴り飛ばした。
ええぇぇぇえー!
マナ様怖い。
そんな事思っていると…
ブガブガ
さっきとは全く違う鼻息で猛ダッシュで近ずいてきたのは…
「オークだ」
その走りは留まることなく…
ドンッ!
オークの鼻が俺の腹に突き刺さる。引きこもりだった俺には食らったことのない痛みが体中を巡る。
――痛い痛いイタイイタイ!
「痛てぇ…マナこれどういうことだ?」
「オークは1回殴ると敵対を持つんだよ!だからライ君に突進したの」
蹴ったのは俺じゃないのに。
そう思いつつも体得のためと思い吹き飛ばされ続けた。
うわぁぁぁあー!
どわぁぁぁあー!
ぶひゃぁぁあー!
何とこれが3日続いた。
ぴょんぴょんしながら吹き飛ばされる。
こんな苦痛もう辞めたい。
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ぴょんブヒ4日目。それはいきなりだった。
今日も飛ばされ続けていると。
ドンッ!
いつも通りオークが俺にぶつかる……が、
「痛くないし、飛ばされない!」
その時俺は防御を体得したのだ!
4日目かけて! この調子なら1ヶ月もかからないで全て体得出来そうだ!
隣でマナが拍手しながら一緒に喜んでいる。
マナがいなかったらもう挫折してたなぁ。
「ライ君良かったね!」
「あと、3つ!あと…3つ…」
でも、この4日間、はっきり言ってキツかった。
永遠に飛ばされ続けるなんて拷問だよ!
「でも、ライ君ならできるよ。私も頑張るから一緒に頑張ろ!」
笑顔でマナはそう言った。
この笑顔守りたい。
この時は思ってもいなかった。
強くなるということがどれほど辛いと言うことを…
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