46 泣き笑い顔
「ドラゴ……君?」
「……おい……今のなんだよ!」
ドラゴが俯きながらこう言った。
「俺の固有スキルだ。隠していよーと思ったんだけどな……んな事よりドラゴン討伐が先だ! ほら、殴ってこい!」
ドラゴが無理やり会話を終了させた。ドラゴに固有スキル? めちゃくちゃ気になるが、確かに今はゆっくり話してる暇は無い。
俺は走ってマナに近付き、肩を貸す。痛む右の肩を貸したせいで俺も倒れそうになったが、何とか持ちこたえた。
「マナ動けるか?」
「……まだ、動けるよライ君。ドラゴ君もさっきはありがとう」
「あのドラゴンさっきよりも絶対強くなってるよな……気抜くなよ!」
俺はマナから肩を外し、攻撃態勢に入る。
「残り……二つ! ぶっ壊すぞ!」
俺とマナが走り出す。
「マナ! 次は固まって動くぞ! そっちの方が安全だしな」
マナは走りながら頷いた。そして……
「ドラゴ! またなんかあったらさっきの強ぇスキル使ってくれ! 頼むぜ!」
ドラゴは小さく「おうよ」と答えた。
残りのコアは背中に大きく一つと頭に一つ。先に背中を壊した方が良さそうだ。
マナに指示を出し俺たちは高く飛び立った……が、
「おいおい……また攻撃してくんぞあいつ!」
ドラゴンはもう既に攻撃準備万端だった。植物が後ろで待機している。
グラァァァアア!!
その植物が飛んでくる。こりゃ避けようが無い……が、
ズバンズバン!
植物を切り裂く音が二回聞える。ドラゴの固有スキルだ。
「サンキュードラゴ!」
俺とマナは壁を使い2回目のジャンプを行う。
そして、俺は左からマナは右から回り込み、周りのよりも大きな背中のコアを殴った。
「「はぁぁぁぁぁあ!」」
パリン!
コアは勢いよく割れ、ドラゴンがまた雄叫びを上げる。
グラァァァ……
よし……あと一つだ! このひとつを壊せば多分ドラゴンを討伐できる……!
すると、コアを四つ壊されたドラゴンは低空飛行を始めた。
「おいおい……捨て身かよ!」
ドラゴンは問答無用に俺たちに飛びかかってくる。それもものすごいスピードで。俺たちが避け、壁にぶつかっても何度も何度もこっちに飛んでくる。
「……ダメージを与える隙がない……」
頭を悩ませながら攻撃を避けていると、
「ライ! マナ! 次の突撃を俺が食止める! その隙に頭かち割ってこい!」
そう言ってドラゴが俺たちの前に立った。
「……ドラゴ。任せたぞ」
俺たちはスピードを上げ、ドラゴンに回り込んだ。その時、ドラゴがドラゴンの突撃を大剣で受け止めていた。さすがのドラゴも押されている。早く……早く……コアを……!
早まる気持ちはマナも同じようだった。……が、
「マナ! 危ない!」
ドラゴンがマナに向かってノールックで尻尾を叩きつけようとしていた。
クソっ! ここで男気見せるしかねぇ!
俺は進行方向を変え、マナに向かって走り出した。そして、マナに背中をぶつけ、飛ばす。そして、俺へと飛んできた尻尾俺が受け止める……訳もなく一瞬で吹き飛ばされた。俺は地面にたたきつけられる。
痛すぎる……今だけ痛覚なくしてぇ……
「ライ君!」
空中で飛ばされたマナが俺に心配の声をかける。
「……マナ! 俺に構うな! 一発ぶち込め!!」
それを聞いたマナは心配を胸にぐっと閉じ込め、ドラゴンの方を向く。もう、ドラゴも持ちこたえられそうにない。
マナは一回地面に着地したあと、すぐに踏ん張りドラゴンの頭目掛けて飛ぶ。そして、
「「「行っけぇぇぇぇぇえ!」」」
マナが頭のコアに渾身の一撃をぶち込んだ。
パリン!
頭のコアは割れ、ドラゴンが緑色の光となりパラパラと消えていく。それはまさに風に飛ばされる木の葉のようだった。
「……か、勝った? のか?」
すると、俺たちが持っていた特攻武器がどこかえ消える。そして……
「あ、あれは」
マナが指さす方向には、この洞窟の天井。高い高い天井から、緑色に光り輝く何かが落ちてきた。
「勾……玉か?」
その瞬間俺たちは大いに喜んだ。ハイタッチをし、抱き合い、ガッツポーズを取った。
喜びに浸っていると……
「願いを一つ申せ」
どこからか声が聞こえた。
「願い……あ、願いか!」
そうだったそうだった。この勾玉が願いを叶えてくれるんだっけか。
「ただし、実現不可能のものもある。よく考えて願え」
「ライ君。何願うの?」
そーだなぁ……って俺はもう決まっていた。
「えっと、この国、キューバッカでもう一生差別が起きないようにしてくれるか?」
「え、え?」
マナが動揺しているが今は無視だ。
「……よかろう。その願い受け取った」
その声が聞こえると、勾玉がまた光出す。
「……よし」
「よしじゃないよ!」
マナが大きな声を出す。大きな声を出したせいで傷が傷んだらしく少し縮こまる。
「……ど、どーしたんだよマナ」
「だって、もうそれはいいって……」
「マナが好きなお願いしていいって言っただろ? だからこれにした。またいつマナが嫌いな差別が起きるかわかんねぇだろ?」
マナの言葉を切るように俺は言った。すると……
「……もう……ライ君のバカ」
泣きながらマナは俺に抱きついてきた。何故か恥ずかしそうにドラゴがこっちを見つめている。
……俺も恥ずかしい。女子に、しかもこんな可愛い子に抱きつかれるなんて初めてだからな。普通に、いつも通り振る舞え! 俺!
「なんだよマナ。俺はバカじゃないぞ」
そう言って俺はマナの頭をポンポンと叩いた。
するとマナは俺の胸に埋めた顔を上げ、
「そーだね……ライ君は大バカだね!」
「……なに! 誰が大バカだって!?」
その時、マナは泣きながら笑っていた。




