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42 決戦日の朝

「ふぁぁぁあ」

 俺は大きなあくびをしながらカーテンを開けた。

 俺の部屋はよく日が当たる。


「今日は快晴。討伐日和っと」

 太陽がサンサンと照りつけている。


 ……今思ったけどこっちに来てから季節ってのが感じられないな。四季ってのがないのかも。


 こっちに来てからと言うもの暑すぎる日も、寒すぎる日もなく、ちょうどいい気温が続いていた。

 なんて生活しやすいんだろう。


 俺は窓から離れ、部屋から出る。

 洗面所へ行き、歯磨きをする。


「まだ二人とも寝てるし……風呂でも入るか」

 何故か早く目が覚めてしまったせいでドラゴとマナはまだ夢の中だ。


 久しぶりの朝風呂だな。


 風呂を沸かし、俺は下着と今日着る服を持ち、風呂場へと向かった。素早く服を脱ぎ、風呂場へ入る。


 シャワーを浴びながら俺はこれからのことを考える。


 今日、ドラゴンと戦う時のこと、その後のことも。

「今日もし勝てたら……マナとはもうお別れなのか」


 シャワーから出る水が床に叩きつけられる音が虚しく聞こえる。


 ……いやーい! そんなこと考えても仕方がねぇ! まずは勝つことを考えろ! 俺!


 俺はシャンプーを手で泡立てて爪を立てて荒く頭を洗う。爪を立てて洗うのは良くないって聞くけど、今はそんなこと知らん。


 こうして体も洗い、湯船に浸かる。


「ふぅぅぅぅう」

 やっぱりおばさんの家の風呂場は広い。入る度に思う。


 俺は浴槽から右手を出し、手のひらを見る。

「固有スキル……また使いてぇなぁ」


 あれは絶対にチート性能を持ってるはずだ。だって凄かったもん。

 でも、どんなにチート武器を持っていても雑魚が使えば宝の持ち腐れ。俺も今その状態。


 宝の持ち腐れが鬼に金棒になるように頑張んないとな。

 俺は浴槽からでた右手を握りしめ、浴槽から立ち上がり、風呂を出た。


 喉が渇いた。よし、なんな飲もう。

 そう思いながらリビングへと向かう。すると、

「あ、ライ君。起きてたんだ」

 ソファにパジャマ姿のマナが座ってくつろいでいた。マナはいっつも9時に起きる。現在時刻は7時半。マナも早起きだ。


「うん。なんか目が覚めちゃって。おはようマナ」

 俺は冷蔵庫から水を取りながらそう答える。

 マナに水を要るか聞き、二人分水の入ったふたつのコップを両手に持ち、マナの隣に座った。


 マナにコップを渡し、話を始める。

「そーいえばこの時間おばさんはどこにいるんだ?」

「多分部屋で編み物してると思うよ。趣味でやってるって言ってたと思う」


 おばさんそんな器用だったのか。また関心。

 俺は「そーだったんだ」と答え、水を一口グビっと飲んだ。マナも水を飲む。


「遂にここまで来たな」

「そう……だね」

 マナは浮かない顔をしていた。


「どーかしたか?」

 俺が聞くとマナは口を開く。


「あ、いやね。ライ君と出会ってから色んなことがあって、楽しいことも大変なことも沢山あったなぁって思って」


 マナも俺と同じことを思っていたようだ。

 長いようで短く、そして濃い時間。紛れもないこれは俺の思い出だ。


「そーだなぁ。めちゃくちゃ色々あったな」

 でも、これが最後。これが初めの目標。ゴール。


「だから……最後は絶対楽しく終わろうね! ドラゴンなんてぶっ飛ばしちゃお!」

 マナが俺が見た事ない最高の笑顔でこっちを笑みを見せる。

 この笑顔……守りたい!!


 つられて俺も笑う。

「……そーだな! 絶対倒そう! んで、マナの願いも叶えよーな」

「え……覚えててくれてたの?」

 マナは可愛く首を傾げる。


「当たり前だ。だって約束だったしな。約束は守る人だぞ、俺は」

 俺は腕を組み、ふんっ! と鼻を鳴らす。


「……てっきり覚えてないかと思ってた。ありがとね、ライ君。でも、それ多分もう大丈夫だよ。よくよく考えてみたらドラゴンのせいで全部差別が起きてたの。だからドラゴンを倒したら終わり。ライ君の好きなことお願いしていいよ!」


 ……そうか、確かにそうだな。って言われても願いとかないしなぁ

「本当にいいのか? それじゃぁ……倒すまでに考えとくよ」


 俺たちは何故か見つめ合い笑い出す。

 そんな幸せな時間を過ごした後、俺は勢いよく水を飲みきり、戦いの準備を始めた。

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