41 戦闘日前夜
その日の夜。俺の部屋で会議が行われた。
今日は珍しく参加者は三名。
俺、マナ、そしてドラゴだ。
明日俺たちはドラゴン討伐へ行く。
それもあっておばさんがドラゴを泊めさせてくれることになった。
俺たちは床に円を作るように座る。
「えーと、第……何回か忘れたけど会議を始めます。今回の内容は、明日のドラゴン討伐についてです」
「とりあえず俺は受けに回るぜ。加速と跳躍体得してないしな」
そう言ってドラゴは右腕の上腕二頭筋をグーでポンポンと叩いた。
「それじゃ私とライ君でドラゴンにダメージを与えていくって事でいいかな?」
「あぁ。それでいいと思う。でも、まぁ……どうやったらダメージが入るか分からないけどな」
こういったボスには戦い方がだいたいある。
弱点を見つけてそこを攻撃したりだとか、フィールドの仕掛けを上手く使ったりだとか、そー言ったものがあるはず。
まぁ……今は全く持って分からないけど。
今になってドラゴンに対する情報が少なさすぎる気がしてきた。
なんとかなる……で済ませていい問題なのか?
……まぁ、なんとかなるっしょ。
俺は考えることをやめた。
「それじゃとりあえず明日、ドラゴンと戦いながら情報を集めていこう。ある程度分かるまでドラゴ、受けを頼む」
そう俺がドラゴに頼むと、「任せろ」とグッドポーズをして受け答えた。
すると、
「二人はさ、ドラゴン怖くない?」
マナが投げかけてきた。
その表情は少し笑っているようにも見えたが、俺は表面上出会って、それとは違う感情が感じられた。
俺はこの問について考える。
怖いか怖くないかって言ったら当たり前のように怖い。でも、今、恐怖のどん底に居るかって言われたらそうでも無い。
俺がどう返せばいいか悩んでいると、
「俺は全く怖くないぜ」
ドラゴが自信満々に答えた。
その自身はどこから……
「どーしてそう思うんだ?」
「自分の成長が感じられてるからだ」
いかにもドラゴらしくない返事が帰ってきた。
こう、もっと、なんか、抽象的な表現してくるかと思ったんだけどな。
「ドラゴ君そんなこと思ってたんだ」
マナがさっきよりもニコッと笑う。
頭を掻きながら少し恥ずかしそうにドラゴは口を開く。
「まぁ……な。ライとマナと会ってから努力の大切さがよく分かったんだよ。ライが強くなって帰ってきた時、一番分かったんだ。まぁ、そんときの気持ちは負けてらんねぇって感じだったけどな」
ドラゴは「ははは」と笑い出す。
まったく、ここはドラゴらしいんだから。
こういうとこ見習わないとな。
「ライ君は……どう?」
マナは俺に再度質問を返す。
「俺は……どちらかと言えば怖いよ。でも、ドラゴの話聞いてたらちょっとそーなのかもって思えてきちゃったよ」
こっちの世界に来てから、俺は死ぬほど努力した……はずだ。少なくとも日本にいた時の何倍も何倍もの努力をしてきた。そしてそれは少しずつだけど実り始めている。俺も自分に自信を持っていいのかもしれないって思えてきた。
「そっ……か。でも、私はずっと怖いままかも。ライ君もドラゴ君もすっごく強いのは分かってる。私も自分で言うのはなんだけど、努力した。でも……でも……払いきれない怖さって言うのがずっと付き纏ってるんだよね」
マナは自分が思ってることを話した。その後すぐマナは「なんかごめんね。こんな雰囲気にしちゃって」と謝った。
努力じゃ払いきれない恐怖。
これを俺はどう払えばいいのだろうか。なんなら俺に払うことが出来るのだろうか。
心の中で頭を抱えていると、ドラゴが立ち上がった。
「大丈夫だ。俺とライが付いてんだろ。必ず護ってやるよ」
……またまた以外な言葉だ。
ドラゴから護ってやるだなんて……裏がありそう。
なんてことも思ったが、多分心の底からの気持ちだろう。
それを聞いたマナは「ふふ」っと笑って、
「そーだね。そーだよね! でも、護られてばっかじゃダメだから私も精一杯頑張るよ!」
マナも立ち上がり両手でガッツポーズをした。
俺も立ち上がり、会議を締めくくる。
「んじゃぁ……明日。絶対ドラゴン倒すぞ!!」
その声に合わせて三人で右手を高く突き上げた。




