32 カルテの息子
防具屋さんからの帰り道。
「ライ君。ダボさんって人がライ君に戦い方を教えてた人?」
「あぁ、そうだよ。かなりお世話になったんだ」
そーいえばおっさんは二人とも知ってるけど、ダボさんは知らなかった。
こうして帰り道、俺はマナとドラゴにダボさんとの思い出をたっっっくさん話した。
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翌日……
俺たち3人はカルテさんの防具屋に着いた。現在時刻1時58分。
「よし……入るか」
カランカラン
「逃げずに来たか。その気持ちは認めてやろう」
カルテさんが腕を組みそう告げた。
逃げるも何も何するか分からないのに、とも思ったが忘れることにした。
「当たり前ですよ。それで……何すればいいんですか?」
「一人代表を選べ。そいつと今から来る奴と戦ってもらう。それに勝ったら防具を作ってやろう。特注でな」
特注だってよ! すげぇぇぇえ……のかは分からないけど、防具が手に入るんだ。頑張るしかない。
俺はマナとドラゴを見て
「俺が代表です」
そう言って一歩前に出た。
「それで、今から来る人って……」
そう俺が言いかけると、
カランカラン
「母さん、急に呼び出して何だよ」
そこには青髪イケメンが居た。分からんけど塩顔イケメンってやつ?
って……今母さん言った? 言ったよな? って事はカルテさんとダボさんの……子供!? カルテさんは茶、ダボさんは黒……青髪の遺伝子どこから来てんの!? あ、染めたって可能性も……
「リク。ごめんね。ちょこっと手伝ってもらいたいんだよ。ここに居る人と模擬戦ってのを混じえて貰いたいんだよ」
それを聞くとリク君は
「えぇ……だるい」
だるい!? 酷くない? 俺頑張って強くなってここまで来てるんだよ!? 少しでもいいから経緯をはかれ!
「帰ったらお小遣いやるから」
「分かった」
即答!? 単純すぎんか?
まぁいい。こんなのに負けてたまるか。
「んで母さん。どれと戦うんだ?」
どれ呼ばわり……
「んーと、この子だ。ライ君だ。どうかお願いするよ」
そう言ってカルテさんが俺をリク君の方へ押す。
「え、えっと……リク君だよね。よ、よろしく」
「リクでいいよ。こっちもライって呼ぶから」
かなりサバサバしていてちょっと心に傷が付いた気がする。
そしてカルテさんが決戦場所まで連れて行ってくれた。
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「ここは……」
ここはダボさんと毎日修行した広場だった。ここなら慣れてるし戦える。行けるぞ……
そしてカルテさんが俺とリクに声をかける。
「武器はこっちで木製のを至急する。片手剣、短剣、大剣、どれか選べ」
するとリクは何も言わずに短剣を二本手に取った。えぇ。一緒やん。これPS求められるやつやん。
そして俺も短剣を二本受け取った。
リクがどれくらい強いのかわかんねーけど、とりあえず俺は勝つ以外選択肢はないんだ。
「ライ君! 頑張ってください!」
「ライ。お前なら行ける」
俺には仲間もついている。
「それじゃ、簡単にルールを説明すると、故意に怪我させるような攻撃は禁止。勝利条件は相手を倒れさすか、後ろを取る。どっちかだ」
俺はスピードには自信がある。後ろを取る方向性で行こう。
「んじゃ二人とも用意はいいかい? 行くよ……よーい初めっ!」
カルテさんの合図と同時に俺はスピードを一気に上げ、リクに向かって走り始めた……が、
「……いない!?」
近づいた時にはリクの姿がいなかった。
どこだ……どこだ……!
後ろ!
ガン!
木と木がぶつかり合う音が広場に響いた。
てか、リク今の火力で背中殴ってたら俺怪我してたやろ……
俺はリクの攻撃を弾いたあと一旦距離を置いた。
「ライ。意外とやるじゃん。楽しめそうだね!」
リクの顔に初めて笑顔が見えた……と同時にまた姿を消す。
感じろ……リクがどこから来るか……
……!
上だ!
俺はとっさに後ろに飛びリクを避けた。思っきり突撃して倒す予定だったのか。
クソ……これじゃダメだ。一方的過ぎる。受けだけじゃ意味が無い。隙を……隙を見つけろ……!
俺の場合加速を使い続けることは出来ない。リクがどうかは知らないけど。俺が知る隙はそこしかない。
そして俺は鬼ごっこを始めた。逃げろ……隙が見えるまで!
加速を使い始めたのは俺があとだ。あの地獄の筋トレを思い出せ……体力強化のあの日も……!
ビュンビュン!
俺はリクから逃げるように走り始めた。
10秒か20秒か。何秒経ったかは分からねぇけど、体感的にそろそろか……
すると、
……!
ガン!
はっや! どーしてそんなスピードあげれるんだよ!
リクは逃げる俺を追い越すほどのスピードを出し俺の前に現れ、木製の短剣を俺に振る。
危ねぇ……意識してなかったらぶっ飛ばされてた。
これで逃げる戦法も無理。どーすれば……
もう……正面で戦うしかねぇ……!
もう一度俺は距離を取る。
俺はかなり息が上がっていた。でも、それはリクも同じだった。
「……リク……行くよ!」
次は俺からリクに向かって走り出す。
速さで追いつけないなら……行動を読むんだ……!
俺はリクがスピードを上げる直前、90度左に体を向け、直進した。
……ビンゴ!
そこにリクは現れた。俺は力一杯短剣を振りリクは攻撃を受けきれず、体制を崩した。
止まるな……! 止まったら負ける!
俺はたたみかけるように近づく。
二回、三回と短剣を振り続ける。俺は殴ってリクは受ける。作業だ。簡単な。でも……当たり前の作業が急に変われば……!
リクに攻撃を弾かれた瞬間、俺はリクの後ろに回り込んだ。
「……クッ!」
リクが苦しそうな声を出す。
俺は低い姿勢でリクの腰骨あたりに木製の短剣を突きつけた。
はぁ……はぁ……
「そこまで。終わり終わり。ライ君の勝ちよ」
喜びより……つ、疲れたぁぁぁあ!
てかなんでカルテさんこんな反応薄いんだよ……勝ったのに……
「あなたたち声掛けてもなんも聞かないんだもん。リクも反則気味だったし、ライ君が連打してる時もう実力は分かったからって言ってんのに止めないから呆れちゃったよ。バカ」
……え? そなの?
ま……まぁいい。勝ったんだからな!
疲れ果て、地面に寝っ転がる俺の耳に透き通った声が聞こえる。
「ライ君! 凄いよ! あんな早く動けるなんて! おめでとー!」
マナの声だ……落ち着くー!
多分ドラゴも何か言ってたが何も聞こえなかった。
少しして、上がりきった息も整った頃、
「ライ。君はすごいよ。惨敗だ」
そう言ってリクは俺に手を差し伸べる。
「いいや、リクも相当強かった。初め甘く見てて後ろに回られた時は腰抜けるかと思ったよ」
そう答えて俺はリクの手に俺の手を伸ばす。
リクの助けを貰い立ち上がった俺はカルテさんの方に向かった。
「カルテさん。俺の仲間に防具を作ってくれますか」
そう聞くとカルテさんは、
「あぁもちろん認めたよ。あんたの仲間に防具を作ってやろう」
ここに来て俺は喜びが溢れ出した。
「っっっしゃぁぁぁぁあ!」
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