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31 街で唯一の防具屋

 俺たちが考えたように、日が沈むまで敵対が取れないのであったらまだまだ時間がある。ふつーに考えたら死ぬ。でもこんなんで死んでられるか!


「てーい!」「はっ!」「おりゃぁ!」


 はぁ……はぁ……やっぱり狩っても狩っても襲ってくる豚ども。

 まぁ俺はドラゴン討伐に行くと消えてしまう特攻武器を逆手にとって、持っていかずに二刀流で戦っている。かなり戦いやすい。


「ライ君、はぁ……これ……ちょっときつくない!?」

 弱音を吐くマナ。ちょっとこれはやりすぎた気がしたかも……

 ま、まぁ強くなるためだし……ってえええぇ!?


 俺の目にはものすごい光景が拡がっていた。

「おりゃおりゃおりゃァ!」


 ドラゴが大剣を地面と平行になるように持ち、オークたちをまとめて切りつけ、運んでいた。

 そしてある程度溜まると大剣を振り切りオークを撃破していた。

 ふつーだったら有り得ない。だっておかしーもん。てかオークももっと頑張れよ! 暴れて抜け出すとか!


「ドラゴ……すげぇな」

 ドラゴはニタァっと笑った。


 ドラゴの活躍もあり、なんと!

「狩りきった?」

 モンスター生成の前に全てのオークを狩ることに成功した! これ俺たち本当に強くなってんのか? という疑問が頭に残るが、それなりに戦えるようになったからまぁいいかと割り切った。


「やりましたね! 二人とも!」

 喜ぶマナを見るとよりその気持ちが強まった。


「俺の大活躍だな! やっぱドラゴン戦でもタンクとして働くか!」

 確かにドラゴはタンクとして使えそうだ。かなりの力と攻撃力を持っている。そして大剣だ。


 まぁ、加速と跳躍を体得してない時点で確定タンクみたいなとこあるけど。


「まだ明るいけど……疲れたし一旦街に戻るか」

 そう言って俺たちは街に戻ることにした。


 ―――――――――――――――――――――――


 街のメインストリート付近に戻ってきた。

「そーいえばこの街には防具屋とかないのか?」


 俺の中にあった問題がまだある。そう。マナとドラゴの装備だ。俺はおっさんに作って貰った装備があるのだが、マナとドラゴは言ってしまえば素っ裸だ。


「うーん……一つだけあると聞いたことはあるんですけど……」

 何がいけ好かないマナが口を開いた。


「なんか問題でもあんのか?」

「そこの店主。かなりの腕らしいんだけど、やけに龍狩人が嫌いらしいの」


 あちゃ……絶対無理やんけ。てか装備作ってもらう人この世界だったら龍狩人だけじゃね?だったら全く売れないんじゃね?

 ……屁理屈言っても仕方がない。


「んー、まぁとりあえず行ってみようか。マナ、場所は分かるか?」

「ここのメインストリートを抜けてすぐの場所だったはず」

 俺たちはいっつもメインストリートを抜ける手前で曲がっている。行ったことない場所か。


「よし。じゃいくぞー。俺が何とかするぜ」

 なーんて言ったけど多分無理だ。最終的にはおっさんに頼み込むか……


 ―――――――――――――――――――――――


「カルテ……?」

 カルテ。店の名前だ。意味は全くわからんがとりあえず入ってみようか。


 カランカラン


「はーい。いらっしゃい」

 そこには強そうな女性が座っていた。

 少し戸惑う俺は少し固まったあと、


「え、あ、えっとこの二人の装備が欲しいんですけど……」

 そう伝えると鬼のスピードで


「君たちは龍狩人かい?」

 言葉につまる。すると、


「はい。そうです」

 そう答えたのはマナだった。

 それを聞くと女性は顔色を変え、


「だったら売る装備はないわ。帰ってちょーだい」

「で、でも! ここしか無いんです!」

 俺たちはそこから何度も頼み込んだのだが、一向に了承して貰えない。諦めかけたその時。俺はあるものを見つけた。


「あの……この装備って売ってるものですか?」

「そーだけど、あなたたちには売らないわよ」

「ダボさんって知ってますか」


 ここに並べてあった装備達は俺の師匠のような存在、ダボさんの物だった。

 それを聞くと少し目を見開き、

「なんでダボを知ってるのよ」

「僕を強くしてくれた人だからです」


 俺は簡単にダボさんと出会った経緯を説明した。


「それでダボとか……」

 何かを考えるように腕を組む女性。


「ダボは私の夫だよ。私が認めた存在だ」

 …………!?

 これがダボさんの妻!? シンプルに驚きなんだが? てか、よく見たらちょー美人だし! ダボさん……ずるい……


「そ、そうなんですか」

「ダボも最初はすごく弱かったんだよ。それで、私を惚れさせるために強くなったんだ。可愛いでしょ」

 少し思い出に浸るように語る女性。


「あと、さっきの話にでてきたおっさん多分ラーって人だろう。それ、私の父さんだ」

 …………!? 本日二回目の驚き。ちょっと繋がり過ぎてませんか!?


「え、あ、そう……なんですか。それじゃなんで、龍狩人をそんなに嫌うんですか? おっさんも龍狩人だったはずです。ダボさんだってすごく強いじゃないですか」


 女性は少し黙り込んだあと、俺に応えた。

「父さんが龍狩人だったからだよ」

「と言うと……」

「父さんともう一人。母さんも龍狩人だったんだよ。でも、龍討伐に行った日。帰ってきたのは傷だらけの父さんだけだった。別にそれで父さんが嫌いになったわけじゃない。でも、これ以上被害者が増えて欲しくないんだよ」


 おっさんが……負けた。大切の人も失っていた。

 そんなこと知らなかった。半年もいたのに、教えてくれなかった。俺……酷いことしてたのかも……


「そ……そーだったんですね……」

「どーだ? 悲しく、怖くなっただろ? だったら出ていきな」


 確かに悲しい気持ちにも、怖い気持ちにもなった。

 でも、俺にはたくさんの約束があるんだ。マナとの約束もおっさんとの約束だってある。ここで諦めちゃいけないんだ俺は。


「確かに悲しくも怖くもなりました。でも、俺は諦めません」

 俺は女性を見つめる。本気を伝えるために。


 女性は溜息をつきながら

「はぁ。私の名前はカルテだ。君たちの気持ちは伝わったよ」

「俺はライ。こっちはマナで、こっちはドラゴ。それじゃぁ……装備を」

 よし勝った! と思った矢先……


「気持ちは伝わっただけだ。でも、ダボの知り合いなんだったら死んでもらっちゃ困る。だから、これから君たちの強さを証明してもらうよ」

「証明?」

「そう。とっておきの相手を倒してもらうよ。あ、もちろんダボじゃないから安心しな」


 ダボさんじゃないってことは、人か? 対人戦なら自信あるが……

「明日の二時。ここに来な。来なかったら不戦勝で私の勝ちだ」

「……望むところです!」


 こうして俺たちは明日。カルテさんと勝負することになった。


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