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24 溢れ出した涙

「ライ君! 起きてください!」

 俺はマナの声で目を覚ました。げ……もうこんな時間。いつもより一時間多く寝ていた。いつも起きれんのになぁ。


「わ、わりぃ。すぐ準備するよ」

 そう言って俺は布団を退け、洗面所へと向かった。


「なんか俺、顔疲れてんな」

 悪い夢を見たわけでも、寝不足な訳でもないが顔が疲れていた。体は元気なのにな。


 顔を洗い、寝癖を治し、歯磨きを済ませ部屋に戻った。ちなみにこの世界では朝ごはんとやらが無いらしい。いつも腹ぺこぺこだよ。


 着替え終わった俺はマナのところに向かった。

「いたいた。遅れてすまん。行くか」


 リビングでマナを見つけた俺はそう声をかけた。

 すると、マナは俺の顔に顔を近づけ、

「ライ君。疲れてますか?」


 ジロジロとみてくるマナを俺は離し、

「いや、大丈夫大丈夫。昨日ちょっと考え事して、それが今顔に出てるだけ」


 そうやって言い訳すると、

「そうでしたか。じゃ行きましょう!」


 思ったよりすんなり理解してくれた。てっきりマナのことだから「ダメです! 考え事ってなんですか?」とか聞いてくると思ったんだが、まぁ、マナが心配してないならそれでいいか。


 玄関に向かうマナを俺ら追いかけ外に出た。


 外に出たマナは俺に向かって、

「ライ君は寝坊しましたがまだ時間があります。ちょっと私に付き合ってください」


 俺はちょっとびっくりした。

 付き合ってください。

 そう言うことでは無いことはわかっているのだが心のどこかで期待している俺がいた。


「あぁ、良いよ。でもどこ行くんだ?」

「着くまでのお楽しみ」


 そう行ってマナはメインストリートの方へ向かった。


 ―――――――――――――――――――――――


「ここは?」

「私のオススメのケーキ屋さん。今日は私の奢り。ってかライ君お金1ゴールドも持ってないですもんね!」


 それを大きい声で言うなよ……

 中に入るとまずショーケースに入ったケーキが目に入った。美味そう。周りを見渡すとお客さんがたくさんいた。木の板で仕切られた席に座っている。てか、カップル多いな……


「さぁさぁ、ライ君。一つ選んで!」

 俺は悩んだ挙句、地球で言うショートケーキのようなものを選んだ。

 選ぶとマナは、「じゃ私もこれ!」と言って同じケーキを頼んだ。


 席に着くとマナは、

「今日はライ君がいなかった時の私の話をするからしっかり聞いててね?」


 マナが自分で自分の話をするのはあった日以来だったな。ちょっと面白そうだし聞きたいかも。

「あぁ。しっかり聞くよ」


 そう答えた時ちょうどケーキが席に届いた。

 これはホワイトケーキと言うらしい。この世界には英語が少し交じっているのか。今の日本に似ているな。


 ケーキにフォークを刺し、パクッと口に運ぶと、

「美味い!!!」


 俺が食べたことあるケーキより全然美味い!これ持ち帰りたい!


 俺が無我夢中にケーキを食べていると、

「ふふ。それは良かった」


 マナが微笑んでケーキを食べていた。


 ケーキが一段落すると、マナが話を始めた。

 初めはドラゴにボコボコだった話。

 雨の日に滑って泥だらけになった話。

 話の中に倒れた話もあった。

 マナはお話上手だ。どの話も笑えて楽しかった。


 カエル見たいなモンスターに舐められた話が終わったあと、

「ライ君元気になった?」

 いきなりの事だった。


 俺は「え?」と聞き返すと、

「いや、今日元気なさそうだったから少しでも元気になればなぁって思ってここに連れてきたの」


 俺は嬉しかった。いや、嬉しいって言葉じゃ表しきらないくらい。俺の事を思ってくれていた事に驚きもあったが、喜びの方が上回っていた。


「なんだよ……俺はずっと元気だよ……」

 俺はそう答えるが、頬には大粒の涙が流れていた。


 なんだよ俺。何泣いてんだよ。


「そっか、元気だったんですか! じゃそろそろドラゴ君のところに行きましょっか!」

 マナは俺の涙に見向きもせず会計へと向かった。


 最初は、いや俺の涙無視かよ!? って思ったけど、マナなりの優しさなんだって気づいた。

 だって、マナが食べていたケーキは初めの一口しか食べられていなかった。

 でも、さすがにこれはお店に失礼と思いケーキをフォークで刺し、パクッと口にほおりこんだ。やっぱ美味い。


 俺はなんて贅沢者なんだ。いろんな意味で。


 涙を拭い、ケーキを飲み込み、会計へ向かうマナを俺は追いかけ、俺は小さく耳元で「ありがとう」と呟いた。


 マナはこれも無視したが多分、届いているだろう。だって、マナは微笑んでたから。

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