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21 涙の種類

 マナは焦るように俺に言う。

「私……無理かも……」

 諦めたように呟くマナ。

 俺は思った。諦めるマナなんてマナじゃない。

「マナ。諦めるなよ。諦めるマナなんて俺は見たくねぇ」

 少し強い口調になってしまった。

 場が静まり返る。平野に吹く風の音しか聞こえない。

 するとマナが口を開く。

「ライ君ありがとう。私を叱ってくれたのライ君が初めて」

 俺の予想とは裏腹に感謝を述べられた。

「え、あ、うん」

 どうしてマナはあんなにも頑張ることが出来るのだろうか。辛く苦しい人生を送ってきたはずなのに。どうしてまだあんなに頑張ることが出来るのか。

 

そんなことを思っているとマナがまた、口を開く。

「頑張れない、努力しない私なんて私じゃないですよね! 頑張ります!」

 その言葉は何か被り物を被っているように思えた。


 結局今日もマナは体得出来なかった。


 ―――――――――――――――――――――――


 おばさんの家に戻り部屋で俺は考えだ。

 どうすればマナが体得出来るのか。なにか俺は間違っているのか。頭を抱えて考えた。


 そうか……!


 俺は思い立った瞬間マナの部屋へと向かった。


 ―――――――――――――――――――――――


 マナの部屋の前で俺は深呼吸をする。


 スーーハーー


 よし。

 俺は気持ちを引き締めドアをノックした。


 コンコン


「マナ。ライだ。ちょっと話があるんだが」

 ドア越しに声をかけると部屋から何かが落ちる音がした後、

「あ、ライ君。入っていいよ」

 その答えを聞き俺はドアノブに手をかける。

 なんだかんだマナの部屋に入るのは初めてだ。

 なんとなくまた気を引き締めドアを引く。


「ど、どうぞ入って」

「あぁ」

 部屋の中はThe女子って感じの部屋だった。

 まぁ、女子の部屋なんて見た事ないけど。


「適当に座っていいよ」

 俺は床に座るとマナはベットの上に座り置いてあったクッションを抱き抱えた。


「話って何?」

 マナはそう聞く。


「マナ。これは説教だよく聞け。マナ。お前は頑張りすぎ、努力のし過ぎだ」

 マナは驚いたように目を大きく開く。

「そして、俺にも説教だ。マナに努力させすぎてた。すまん」

 

いつもマナは頑張り屋さんだと思っていた。努力=マナ見たいな目で見ていたのかもしれない。そして俺の期待にマナは応えようとしてただけなのかもしれない。分からないけど。

 二週間前。俺は努力は必ず報われるって話をした。そのせいでマナの限界を超えてしまったんだ。努力の限界を。期待をされる心の限界が。


「でも、私は努力しないと何も出来ない……」

 クッションを掴むマナの手には力が入っていなかった。


「マナ。何も出来ないは嘘だ。だってマナはいつも俺の味方になってくれるじゃねーか。家がない俺と会った時も、弱くて頼りなかったあの時も、いつも俺の味方だった。努力するマナは好きだ。でも、上手くいかなくて落ち込んでるマナはそれ以上に嫌いだ」

 

話すことをまとめてなかったせいで上手く伝えられたかは分からなかった。でも、マナは体の老廃物を全て流すかのように涙を流していた。

 何度も見たことあるこの光景。でも今日は、少し違っていた。

 悲しみでも喜びでもなく安心の涙だった。


 たくさん泣いた後、マナは、

「分かりました。そして、私はずっとライ君の味方です!」

 涙を流しながらも笑顔で俺に伝えた。


 これでよかったのか分からない。正解かも分からない。でも、マナの笑顔はまた一段と良くなっていた。


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