02 情報収集
「ここどこ!?!?」
僕の目の前に現れたのは見たことも無い街。人は沢山いるが街の様子が東京の渋谷とか原宿とかとは違っていた。なんて言うか、西洋って感じ。
その道の真ん中に俺は立っている。
通り行く人達が俺の事を犯罪者を見るような目で見てくる。
もしかしてここ……
夢で言ってたあの世界なのか?
もしそれが本当ならば俺は……
――9匹の龍を倒さなければならない。
やばいやばい。確かに学校は嫌だったけど!
戦ったことないし!知り合いもいないし!
龍の事もこの国のこともなんも知らないし!
はぁぁ……
数秒立ち尽くしたあと俺は両手で両頬を2回叩き 気合を入れた。
やるしかねぇ。
って言っても何も分からない。ここがどこなのかすら。まずは情報収集からだな。
お、ちょうど前から強そうで龍とか倒してそうな人がきたぞ!
「すみません。龍を倒したいんですけどどうしたらいいですか?」
俺でも何を言っているかわからなかった。
でも、この世界では正しいことを……
「バカ言ってんじゃねーよ。死にてぇのか? お前が誰かは知らねーけど龍に関わるのだけはやめとけ」
強面の兄さんはそう言って歩き出した。
――死にてぇのか
その言葉が俺の心に突き刺さる。
"死"
この言葉をネタ以外で言われたのは初めてだった。
とりあえず龍に関しては後に回そう。怖いもん。
―――――――――――――――――――――――
軽く1時間くらい情報を集めた結果分かったことがいくつかあった。聞いていくうちに勝手に龍の情報も手に入った。
1つ目。この国はキューバッカと言う9つの国の1つであるということ。
2つ目。キューバッカは緑龍が支配しているらしい。
3つ目。先週隣の国で龍を討伐しに行った龍狩人が死んだらしい。
……ってほぼ龍の情報じゃーねかよ!
てか、死ぬの? 龍そんなに強いの? 夢じゃないの?
もういっその事この世界で普通の人間として生涯を終えようか考えていると、
「どうしたんだい。少年よ」
70代くらいのおじさんが声をかけてきた。
「え、あ、まぁ、色々と」
「龍についてか?」
俺はびくんと体が震える。図星だ。おっさんすげぇよ。
「そ、そう……ですけど。なんか様ですか?」
「龍について知りたいのか?わしは昔龍狩人をやっとったんじゃよ」
龍狩人。それは今の俺だ。
もし、もし俺が龍を討伐しに行くなら、この話はかなり重要になりそうだ。
「おっさん。その話教えてくれ」
「ほっほっほっ。龍の話をするのは何年ぶりかのう。」
おっさんは笑った。そして口を開く。
「この世界では龍が絶対なんじゃ。龍が支配する。その脅威をみんなしっとるから龍には近づかないのじゃよ。でもたまにおるんじゃよ。勾玉の権利を欲しがって龍に立ち向かうやつが」
勾玉ってあいつが言ってたヤツか。
「おっさん。勾玉の権利ってなんだ?」
「龍を倒すと勾玉を落とすのじゃ。その勾玉を手に入れるとその国で1つなんでも願いが叶えられるのじゃ。まぁ勾玉でもできる範囲というものはあると思うのじゃが」
あいつが言ってた願いとは別の願いが叶えられるのか。
「そーなのか。初めて知った」
「それを知らんのに龍について知りたかったのかい?まぁ良いが」
おっさんは龍以外でも色んなことを教えてくれた。
まずこの世界にはキューバッカ、アクアリス、ムードピア、グラム、ザードミス、グーリュ、ラドス、ゴーロ、ピューラ、と言う9つの国があるらしい。そして、キューバッカと同じように国ごとに龍が支配している。
また、ムードピア、ザードミス、ラドス、ゴーロには四天王と呼ばれる龍の次に権力を持つものがいるらしい。
そして、龍に殺されたものは自分が悪いと判断され、酷い扱いを受けるという。
話が一段落つくと僕はもうひとつ質問をする。これがいちばん知りたかったこと。
「おっさん。龍を倒すには何をすればいいんだ?」
おっさんは少し驚いたようにこっちを見つめる。
見つめたあとおっさんは口を開く。
「強くなるんじゃ」
それは知ってる! 誰でもわかるよ!
「あー、それは知ってるけど、もっとこーさ、なんて言うか」
「お主何も知らないようじゃな。人間には生まれた時から4つのスキルの素質を持っているんじゃ。まずその素質の体得が必要じゃな」
素質か……
転移した俺にそれがあるのかは分からないがいい話が聞けた。
「素質ってどんなものなんだ?」
「打撃・防御・加速・跳躍の4つじゃ。打撃は攻撃力の増加、防御は防御力の増加、加速はダッシュスピードの強化、跳躍はジャンプ力の強化の事じゃ」
「それってどうやって身につけるんだ?」
「それは分からんのじゃ。戦えば身に付くと言われているが確実に手に入れられる方法は無いんじゃよ」
龍と戦う前にも戦わなきゃ行けないのかよ。
悩んでいると、
「あともう一つ。特攻武器というものがあるのじゃ。特攻武器は国ごとに1つ隠されていると言われ、龍ごとに特攻武器が違うのじゃ。その特攻武器がないとダメージが入れられないのじゃ。しかも、特攻武器をもってドラゴン討伐に行くと勝っても負けても、特攻武器はまた、どっかに隠れると言われている」
特攻武器。それがないと行けないのか。
それも集めるのかよ…
「お主はドラゴンを、倒そうと思っているようじゃが、これを聞いてもその思いは変わらぬのか?」
俺は考えた。本当はやりたくない。龍なんかとも戦いたくない。
でも、でも、この世界に飛ばしやがったあいつの顔をまだ拝んでねぇ。9匹の龍全てぶっ飛ばして望みのひとつにあいつの顔を拝むを入れてやろうじゃねーか。やってやる。俺がやってやる。
「あぁ。変わらねぇよ」
「ほっほっほっ。それは頼もしいのぉ」
おっさんは笑って1度家に入って行った。
数十秒で戻ってきたおっさんの手にはナイフが握られていた。
「お主にこれをやろう。9つの龍に対して特攻を持っているナイフじゃ。普通の特攻武器には劣るが多少は戦える代物となっておる。戦いの足しにしておくれ」
そう言って虹色に光るナイフを渡してくる。
それを受け取り、
「でも、おっさん。ほんとにいいのか?」
「ほっほっほっ。いいのじゃよ。わしも龍を倒すのが夢じゃった。でも無理だったのじゃよ。少年よ、わしの夢を代わりに叶えておくれ」
おっさんのために龍を倒す。
まぁ、色々教えてくれたしそれくらいは受け持っても良いな。
「任せろおっさん。俺が全部の龍倒すまで死ぬんじゃねーぞ」
そう言うとおっさんは少し若返ったように微笑んだ。
―――――――――――――――――――――――
おっさんと別れて歩き出す。
倒すと言っても何もかも足りなさすぎだ。俺一人で倒せるかも分からない。
日が沈み初め暗くなりそうな街を歩いていると、
「あなた、龍討伐するんでしょ?」
後ろから声が聞こえ振り向くとそこには見たことも無い美少女が立っていた。
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