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19 努力は必ず報われる

 俺はそ〜とそ〜とリビングに近づいた。

 大丈夫。今の俺なら大丈夫だ。

 俺の部屋は二階。リビングに行くには中央にある階段をおりる必要がある。


 俺のプランはこうだ。

 まずバレないように階段を下りる。

 階段を降りきって右に進むと突き当たりに確か電気のスイッチがあったはず。

 それを付け俺は「おい!泥棒!」と叫んで確保する。


 初めは階段を下りる。だ。

 俺はゆっくり一段ずつ降りていった。

 泥棒は武器を持ってるかもしれないから慎重に。


 暗くてよく見えないが残り一段だ。俺は階段を下り切ると右を向きまっすぐ進んで行った。

 小股で10歩くらい進み、


 ここだ……


 俺は勇気を振り絞ってスイッチに手を伸ばした。

 すると、


 ……ん?


 柔らかい人の手のような触感がした。

 それと同時にリビングの電気が付く。


「うわぁぁ!泥棒!」

 俺は反射的に叫んでしまった……が、

「ま、マナ……か?」

「ど、どうしたんですか?泥棒なんて叫んで。びっくりしたよ」


 泥棒だと思ったその正体はマナだった。変な勘違いした俺が恥ずかしい。


「いや……こんな時間にリビングから足音がしててっきり泥棒かと……すまん」

 俺は両手を合わせ謝る。


「大丈夫大丈夫。ちょっと悪い夢見て起きちゃって」

 ちょっと笑ってそう答えるマナ。


「俺もだ」


 俺たちはリビングのソファに座り話を始めた。


「どんな夢見たんだ?」

 そう問いかけるとマナは怖がるように

「龍と戦う夢……」

 続きを話そうとするマナに俺は待ったをかけ、

「大丈夫だ。怖い夢だったんだな。悪いこと聞いちまった」


 そうするとマナは首を振り、

「ライ君はどんな夢みたの?」

 と問い返した。

「俺も似た感じの夢だよ」


 そう答えると人一人分空いていた俺とマナの間をマナが詰めて座る。

「ライ君……本当は……私……まだ怖いの……大切な人をまた……失うのが……」

 震えていた。俺は後ろから手を回し肩をさする。


「俺も怖いよ。でも……なんとかなると思ってる」

 マナは「でも……」と悲しそうに言う。


「だって俺たちはすげぇ努力しただろ? マナは泣き虫だ。今だって泣きそうだし。マナの泣きまくった時間は消えない。でも、それと一緒で努力した時間だって消えないんだよ。努力は必ず報われる。俺の経験がそう言ってるよ」


 実際努力なんて言葉は嫌いだった。努力をしたって報われない。報われる。そんな保障はない。

 そう思っていた。

 1年前までは。


 この世界来てから俺は変わった。

 自分でもそう思う。

 マナやドラゴ、おっさんとダボさんと出会って、楽しい時間も苦しい時間も悔しさや屈辱とだって感じた。

 一つの目標に向かって努力する。

 俺の初めての目標がマナを助ける。これだったんだ。


 マナは俺の言葉を聞いて泣きそうな声で

「泣き虫って……なんですか……もう……」

 下を向き、数秒後また前を向く。俺を見る。

 それは満面の笑みで

「努力必ず報われる!ですね!」


 自然と震えが止まっていた。

 俺も怖い。

 でも、マナのためにも俺は絶対倒すんだ。

 龍を。


「そろそろまた寝るか。明日からも努力してもらうからな!」

 そう言うとマナは「頑張ります!」と言って部屋に戻って言った。


本当はマナに悪いことをしていたとまだ俺は知らない。

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