Ep:94 訓練
戦いを終え、僕達はすぐさま王様の事を団長代理に報告し、団長代理は大臣に報告すると約束してくれた。僕達は一旦本部に戻り、また小さな会議室を借りて話し合いを始めようとしていた。
「と、言う訳で。所属は黄金獅子だけど、これからは第5小隊の一員になりました。二等兵ブルート=フランメです。お願いします」
ブルートがダギル大尉やアカネとアオイに向けて自己紹介をし、お辞儀をする。やっぱり、騎士団に入ると大人っぽくなるのか…?エルもそうだったし…
「俺は、銀鷲騎士団第5小隊小隊長、ダギルだ。宜しく頼む」
「同じく上等兵、一色 茜です。で、こっちが――」
「一色 葵だ…」
「お願いします!」
「後は…」と呟きながらブルートは僕とエルの方を見る。
「久しぶりだな」
そう言ってブルートは手を顔の高さまで上げる。
「お前ら、俺より階級上だったんだな…」
「そんな事より、あれは何なの!?いつの間にか技を作ってるし、魔力も飛躍的に向上してるし…!」
「あ~あれか…グラマーが死んでから、学校の周りに出没する様になった黒いローブの男達を処理してたら、いつの間にか魔力が強くなってた…って言っても信じて貰えないよな…?」
ブルートは溜め息交じりにエルの質問に答える。確かに、学校で一緒に居た頃より大幅に戦闘能力が向上していた。
「まぁ、正確にはもう少し色々あるんだけど…そんな感じに捉えてくれ」
「それより、ダギル大尉も中々お強いですね…」
アカネが聞く。
「まぁな。そもそも、大尉の俺が上等兵以下のお前達より弱かったら、俺の面目無いだろうが」
ダギル大尉は腕を組みながら言う。そして、今までの雰囲気とは一転して、ダギル大尉の顔が曇る。
「これからは、容易に近付こうとする奴は信用するな…信用していない訳では無いが、この中に裏切り者が居たって可笑しくは無いからな…」
その言葉に全員が俯き、沈黙する。
「そして、最も注意すべき人物は剣聖様とハーツ団長だ…この二人とは、必要性が無い限り絶対に近付くな。分かったか…?」
この場に居る全員が、ダギル大尉の言葉に真剣な表情で頷く。
「良し、これから訓練場で訓練するか。暫くヴィルの街には戻れそうに無いからな。団長代理からの返事も待たないと出しな」
そう言ってダギル大尉は立ち上がる。僕達も立ち上がり、会議室を出た。
------------------------------------
木剣を構え、久々にブルートと対峙する。会って無かった期間は二ヶ月。短いと言えば短いけど、お互いにかなり成長した。
「魔力の使用有りって言うけどよ。ライト、お前は大丈夫なのか?」
「舐めてるの?」
「暫く会わない内に、随分と挑発的になったじゃねえか。そっちがその気なら、こっちだって手加減はしねえよ」
「こっちだって…!」
そう言って僕は木剣を握る手に力を籠める。
「――燃えるなよ…?」
その言葉を合図に、ブルートは踵の辺りから炎を噴き出し肉薄して来た。
「第一段階!」
「おいおい…!いきなり本気かよ!」
ブルートはそう言って木剣に魔力を流し、その剣身がめらめらと燃え始めた。燃えると言っても、それは魔力の炎。魔力の媒体としている木剣は燃えるどころか温まりもしない。
「噴き出す炎!からの、切り裂く炎!」
ブルートは灼熱の炎を纏った剣を僕に向かって振るう。軌跡が陽炎で歪み、何とも言い難い斬撃が繰り出される。僕はその攻撃を受け止め、右腕の力で弾き返した。更に、痣を足まで延ばし、少し力を抑えて跳躍する。
「その動きは知ってんだよ!」
僕の木剣の威力を乗せて、後方に大きく跳んでいるブルートの目の前まで近づくと、そこに向かって大きく剣を振った。ブルートは簡単に受け止めるけど、天井近い空中から叩き落とされる。僕は天井を蹴って、落ちて行くブルートを追い抜いた。
「おい…マジかよ…!」
僕はブルートが床に叩きつけられると同時に、その体を右足で踏みつけた。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1608577/blogkey/2609113/
投稿内容変更の報告です。
詳しくは上のURLをご覧下さい。




