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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第一章 少年編
8/310

Ep:8 鍛練 *

 逃げる為に通行料の銀貨三枚を払って街の外に出ようとする。


 でも門は閉まっているし衛兵も沢山居る。これじゃ出られそうに無い……。


 仕方なく細い路地に隠れる。


「「何処へ行った……?!」」


「「こっちには居ないぞ!」」


 僕を探す兵士の声が聞こえる。


「誰だ……」


 突然後ろから声を掛けられて、驚いて振り返る。そこには暗く紅い髪をした男の人が立って居た。


「子供がこんな所で何をしている……?」


 怪しい人かも知れない。


 でも今は誰かに助けて欲しい……だから僕は藁にも縋る思いで話した。


「逃げて来た……」


「誰から」


「クレイ家って言ってた……」


「そうか……」


 男の人はそう言うと、僕に何かを投げ渡してくる。


「干し肉……」


「安心しろ、毒なんか付いて無い」


 男の人に貰った干し肉を食べる。硬い……。


「お前、忌み子か……?」


 僕は小さく頷いた。


「そうか……で、逃げてるって事はこの騒ぎはお前の所為なんだな」


「僕は奴隷になりたくない……だからエルと一緒に逃げて来た。でも、エルと女の人が……」


「ソイツが捕まったのか……まぁ良い、俺は金の無い奴と子供の相手が嫌いなんだ。どっか行ってくれ……」


 男の人はそう言って厄介そうに手を振る。


 僕は男の人の腰に剣が差してある事に気付いた。


「剣……?」


 さっきの兵士達が持っていたから、それが武器なのが分かる。


「あぁ、これの事か……まぁ、護身用だ……」


「教えて下さい……」


「ん?」


「剣を、教えてください……!」


 エルを助ける為に兵士を倒さないといけない……その為に強くなりたい。だから僕は男の人に頭を下げてそう頼んだ。


「言っただろ、俺は金の無い奴と子供の相手は――」


 僕は袋に入った銀貨二十枚を見せた。


「ざっと銀貨二十枚か……割には合わないが良いだろう、俺の目的にも協力して貰う。先ずは銀貨五枚でお前用の剣を買う。性能は悪いが問題無い。後は一日銀貨一枚、最大で十五日の間に剣を覚えろ」


 僕は大きく頷いた。


「俺は――スワードだ……お前の目的は連れていかれた忌み子の救出だな」


「はい……!」


「名前は」


「ライト……!」


 スワードと名乗った男の人に銀貨を五枚渡した。











 まずはスワードさんに剣を買ってもらった。


 僕はクレイ家から逃げているから、表にはあまり出られない。


「ほらよ……」


 スワードさんは僕に向かって鞘に入った剣を投げて渡してきた。


 咄嗟に手を伸ばして剣を取る。


「おもっ……!?」


 剣の重さに耐え切れずに落としてしまう。


 スワードさんは僕が落とした剣を蹴り上げてキャッチする。


「まともに剣も持てないのか……本当に強くなれるのか……?」


「うぅ……」


「まぁ良い。まずはこれで試す」


 スワードさんは木でできた剣を渡してくれる。


 さっきよりは軽いけど、それでも結構重い……


 スワードさんに言われた通りに木剣を構える。


「成程な。剣は持てないが筋は良い、構えが整っている。振って見ろ」


 言われた通りに僕は木剣を振る。


 木剣はするりと手を抜けてスワードさんの方へ飛んで行ってしまった。


 スワードさんは軽々とそれを受け止める。


「危ないな、しっかり持て……!」


「はい……」


 僕は今度こそ木剣を振る。


「まぁまぁだな、取り敢えず素振り五十回と、基礎運動を夕方までにしておけ」


「はい……!」


 僕は素振りを五十回と、辛いけど腕立て伏せや懸垂などの運動をした。

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