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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第一章 少年編
6/310

Ep:6 命名 *

 街の騎士が灯りを掲げて何かを調査している。


「何か分かったか……?」


 一際体格の良い騎士が、低い声で部下らしき他の騎士に状況の確認をする。


「一回で首を斬られています。凶器はこの斧で間違いないでしょう」


「そうか、残留した魔力はあったか?」


「それなんですが……何故か魔力検知が出来ないんです……」


「何……!? それはどういう事だ」


「どういう訳か妨害されているみたいで……」


「分かった、この街の中に犯人が居るかも知れん。早急に全ての出口を封鎖しろ! 検問所に並んでいる者は誰一人帰すな!」


「はっ!」


 騎士達の声が、静かな夜の平原に響いた。











 急に街の中が騒がしくなって来た……。


「どうしたのかしら…普段はこんな事無いのに…」


 女の人の手伝いも終わりに近付いて来た。


 荷物は重くて時間が掛かったけど、何とか運び終わった。


「ありがとう助かったわ。お礼に好きなの選んでね?」


 僕達はお店の中を見て回る。全部良い匂い……僕はその中で一際目を引くパンを見つけた。


「あ、そのパンうちの店で一番人気なんだよ。飾らない甘さと、柔らかい食感が人気なんだ~」


 女の人はパンを自慢気に話してくれる。


「これにする?」


「うん……!」


 僕と女の子はパンを貰って、お店の中の椅子に座って食べる。


「頂きます……」


 美味しい……牢屋で食べてたパンなんか比にならないくらいだ……!


 あっという間に食べ終わってしまった。


「今日は泊まってって。二階の部屋を使っていいから」


 女の人は僕達を二階に案内してくれる。そこには大きなベッドがあった。


「ごめんね。ベッド一つだけど良い?」


 僕と女の子は頷く。


 むしろ嬉しいくらい。僕には初めてのベッドだから。


「私は隣の部屋で寝てるから、何かあったら言ってね。じゃあお休み」


 女の人はそう言って部屋から出て行く。


 僕と女の子はベッドに入り、女の子が明かりを消してそのまま眠りについた。











 次の日、明るい光で目を覚ます。


「おはよう! 朝だよ!」


 眼を開けると、そこには女の人が居た。


「朝ご飯にしよ?」


 僕と女の子はベッドから降り、階段で下の階に下りる。今までで一番快適に寝れた……。


「ふぁ~あ……」


僕は欠伸をする。


「こんなのしか無くてごめんね」


 女の人は干したお肉と昨日僕が食べたパン、ホットミルクを持って来てくれた。


 僕達がご飯を食べているとお店に誰か入って来る。見てみるとお爺さんだった。


「あらいらっしゃい。いつもありがとうね~」


 このお店のお客さんみたい。


「いつものパンを――おや、この子らは? 綺麗な白銀の髪じゃのう」


「その子達ね、私の考えだと奴隷に出されてたんだと思うの。どうやってか逃げ出したんじゃないかしら……?」


「そうか……奴隷なんて酷い事を……」


「あ、そうそう。ねぇ、君達名前が無いんでしょ? 私が付けてあげる」


 女の人は僕達の方に手を置いて考え出した。


「う~ん……君達そっくりなのよねぇ……」


女の人は考える。そして僕に向いて言った。


「じゃあ、君は右に痣があるから、"()()()"。君は左にあるからレフト、は語呂が悪いから……あ! "()()"はどう? 安直過ぎかしら?」


 僕は繰り返す様に呟く。


「ライト……」


 女の子、いや、"エル"は呟く。


「エル……!」


「二人共気に入ってるようじゃぞ?」


「良かった、安直だけど」


 女の人は微笑みと苦笑の混じった笑みでそう言った。

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