Ep:150 到着
日が暮れて、ようやく宿屋に着いた。
「ハァ…ハァ…集落までじゃ無かったの…?」
僕は息を切らしながら、同じく肩で息をするブルートに聞く。
「だってよ…負けたままは嫌だろ…?」
「結局僕が勝ったのに…?」
「煩ぇ…」
そう言ってブルートは顔を逸らす。そこに、馬車が追い付いて来た。
「ようやく追いついた…」
御者はそう言って馬車を降りる。僕とブルートは馬車から荷物を降ろす。
「そ、それじゃあ私は馬を泊めて来ます…」
そう言って御者は、馬の手綱を引いて馬宿まで連れて行った。
「俺達は先に入ろうぜ…」
「そうだね…」
僕とブルートは宿屋の中に入り、鍵を預かる。部屋に入って、今日は早々に休んだ。
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時間は大幅に流れ、もうすぐ機巧都市に着く。機巧都市に近付くに連れて、ブルートの表情が険しくなるのを見て取れた。
「もうすぐ着くよ…?」
僕はブルートに聞く。
「あ、あぁ…」
ブルートは気の抜けた返事をする。
「もうすぐ着きますよ」
御者の声が聞こえて少し経つと、周りの景色が一転した。見た事の無い建物が立ち並び、金属が動く音の様なものが聞こえる。
「これが機巧都市…?」
建物に伝っている筒の様な物からは煙が昇っていたりもする。暫く進むと、馬車は停まった。外に出ると、より一層音が大きく聞こえる。
「遂に帰って来ちまった…」
「折角帰って来たんだから、挨拶しに行ったら?」
「あ、あぁ…でも…」
そう言ってブルートは僕の方を見る。
「僕は大丈夫だから」
僕が言うと、ブルートは少し表情を明るくし、顔を上げた。
「俺の実家、付いて来るか?」
僕は少し考えて頷く。
「じゃあ付いて来てくれ」
そう言ってブルートは機巧都市の複雑な道を右へ左へ進んで行った。
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「あれ、ブルートじゃん?」
突然声を掛けられ、僕とブルートは困惑する。でも、僕とブルートの困惑の種類は違う。僕は突然声を掛けられた事に困惑し、ブルートはその相手が知人だから困惑している様だった。
「何でお前…!こんな所に…!?」
「それはこっちの台詞だよ、何でブルートがここに?」
ブルートが会話する相手は、金色の長髪に、白いシャツ、茶色と緑の混ざったような色の大きめのズボンを履いている。特殊な部分は、左腕だけ長袖で、白い手袋もしている。それと、両足に黒いバンドの様な物を二本ずつ巻いていた。
「クリス…その…」
ブルートは普段からは想像もつかない程しどろもどろになる。
「誰…?」
僕は小さい声でブルートに聞いた。




