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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第四章 剣聖編
100/310

Ep:100 敵意

 僕は覚悟を決め、剣聖様に向けて顔を上げて言った。


「剣聖様、()()()()()()ですか…!?」


剣聖様は、僕の質問に動揺一つ見せず、さっきまで変わらない表情で口を開いた。


「敵だ。と言ったらどうする…?」


「…!?斬ります…!」


僕は立ち上がり、腰の剣に手を掛ける。椅子がガタッと音を立てて後ろに滑る。剣聖様は、全く動じていなかった。


「無駄だ。どちらにせよ、今の君では私には勝てない」


剣聖様は立ち上がり、下ろしていた前髪を掻き上げる。そしてはっきりと目を開けた。僕やエルと同じ紅い瞳がこちらを向く。


()()手を出さない。万が一君が死んだら話にならないじゃないか」


「くっ…!」


僕は唇を噛む。その瞬間、僕の視界に一本の光の線が見えた。その線は、右から僕の前を通過し、左側の窓を破って外に出る。僕は咄嗟に右を向き、防御の姿勢を取った。そこに、何者かの拳が飛んで来た。


「がぁッ!?」


構えた腕の間を通り、その拳は僕の腹に直撃する。僕は思い切り窓を突き破って花壇に突っ込んだ。


「うぅ…!」


僕は生け垣に埋まった体を起こし前を見る。そこには、こちらを見据える剣聖様と、同じく王様が居た。


「王様!?」


僕は剣を抜き、壊れた窓を挟んだ奥の王様を見据える。


「久しいな、ライトよ。そなたらから逃げ隠れている間に、我は強くなったぞ…?そちらはどうだ…!?」


王様はそう言って僕に剣を向ける。


「君は、私達が積み上げて来た地位を悉く崩してくれる。君を捕える為にした事を、君が壊していく。宛ら()()()のようだ」


剣聖様の言葉を背に、王様は僕に向かって歩み寄る。


「一騎討ちでは負けぬぞ、ライト」


そう言って王様が剣を振ろうとした瞬間、その顔面を誰かが蹴り抜いた。


噴き出す炎(ジェットフレア)!」


そう叫び着地した誰かは、吹き飛ばされ、何とか体勢を整えた王様に言った。


「残念だったな!二人だぜ!」


僕の前に現れた赤い光の正体は、ブルートの炎だった。


「ブルート!何でここに!?」


「会議を放って一人でどこか行くから気になって付いて来たら、まさかこんな事になってるなんてよ。大変だと思わねえか?剣聖様よぉ?」


そう言ってブルートは部屋の方を向く。


「知った事では無いな。K(キング)、後は任せたぞ」


「御意」


K(キング)?ぴったりな名前だな」


「裏切りの王様って意味でね!」


僕は王様に剣を向ける。いつの間にか剣聖様は部屋から居なくなっていた。王様も剣を構え、その剣に魔力を流す。


「ライトは回収する。ブルート、そなたはここで死んで貰う」


「死ぬのはどっちかな!?」


そう言うとブルートは踵から炎を噴き出し、王様に物凄い勢いで肉薄した。そして、灼熱に燃え上がる剣を王様に向けて振るう。


「戯けが」


王様は呟き、魔力防壁でブルートの剣撃を防ぐ。


腐敗するもの(アシッド)


王様は黒紫色の魔力の塊を生成し、それをブルートに向けて放つ。ブルートは防壁から飛び退き、その魔力を断ち切る。その後ろから僕は飛び出した。


第一段階(フェーズワン)!」


王様は同じ様に魔力防壁を展開する。想定通り。僕は右腕で剣を全力で振り、空気の斬撃を飛ばした。


「なっ…!?」


防壁を貫通した斬撃を、王様は寸での所で躱す。斬撃は芝生の地面に大きな溝を作った。


「魔法防壁を貫通する空気の斬撃…第一段階(フェーズワン)だからこそできる事か…」


王様がそう言った次の瞬間、突然上から何かが勢いよく降って来た。その何かは、落下の衝撃で突風を起こすと、その次に熱風が吹き付けて来た。土煙の奥に、王様以外の二人の影が見えた。


「何故そなたらがここに…?」


「我らが主人の思し召しだ。戦闘の邪魔はしない」


赤いローブを身に着けた屈強な男は立ち上がり言う。ブルートは、そのローブの袖口を見て呟いた。


「X…?まさか…!?」


赤いローブの男はこちらを見据えて言った。


()()Xth(テンス)、フレイム見参」


もう一人の緑のローブの男は細身で、同じくこちらを見据えて言った。


()()Xth(テンス)、サイクロン見参」


Xth(テンス)…!?」


僕は思わず呟いた。

 遂に百話だ…長かったような短かったような…


今回結構長くなっちゃったな…まぁ、百話だし良いか…

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