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狂歌衰傑  作者: ニリとん
始まったのは旅の始まり、終わったのは彼女の孤独
6/9

突然の出現、向かう2人(空とかを経由)

ジェットエンジンっていいよね。


最近精神が壊れそうな日々が続きます。

受験生なら仕方ぬいかな?


そんな状態でのお話です。


…そのー、少しだけ、そういう要素があります。

 ケーレが噴出したお水をびっちょり被ってしまった2人は、ケーレの部屋でラフな格好になってうだうだしていた。朝からぬっれぬれである。とある界隈に回したらすぐに薄い本が作られそうなこの状況は、ケーレが徐にテレビを着けた瞬間に壊れた。


 ところでではあるが、テレビは消費電力がやたら多い謎家電のトップである。気付けば電源が着いており、暇な時は一日中煌々と照っている。そんなに構って欲しいのか、まるで犬だな。それで、何で電源が着いてるのかな?そんなことが良くある。ケーレは暇な時にはちゃんとお料理のお勉強をしているのでそんなことはぬいが。


 パラーチが立ち上がってケーレに寄り掛かると、テレビの液晶にパッと映像が映し出された。






『…ベリア北部で発見されたこの動物は、外見からも分かるように甲殻類の殻を持つウサギということで、専門家の間ではカニのウサギ、つまり外殻紅卯(クラビット)と呼ばれています』

「うわぁなにこれかわい…くねぇ!きしょい!」

「カニ…ウサギ…美味そう…」


 目を皿のようにして立ち上がるケーレと、その味を想像して胸を踊らせるパラーチ。胸なんて存在してたの?なんて質問はしてはいけぬい。そうだ、してはいけぬい。ね?


 ケーレの足に巻き付いたパラーチは涎をすべすべでむちむちな脹ら脛で拭き取り、そしてケーレを見上げる。


「…狩ろ?」

「その表情やめて?」


 かわゆいかわゆい表情のパラーチちゃんに見つめられたケーレは顔を赤くしてそっぽを向く。かわうぃい表情は女の武器ではなく少女の特殊必殺兵器であった。なお効果は発動者を視界に認識している者への即死付与。


 これはイケる…!パラーチはそう確信して畳み掛ける。容赦ねぇな!仕方ねぇな!


「…おねがい(ぉぇあぅい)…」

「にゃっ!」


 ケーレは鼻血を垂らして仰け反る。トゥンク!母性本能を擽る!流石パラーチ、素人には出来ねぇことを平然とやってのける!そこに痺れるッ!憧れるウゥッ!


 鼻を押さえながら身体を戻すケーレ。その頬は幽かに赤い。


「…しょ、しょーがにゃいね。行こうか」

「ッハハハ、んっん!えへへ、ありがと」


 ッハァー!コイツ、チョロすぎじゃあねぇかぁ!そう心の中で思ってしまったパラーチは悪い笑い方になりかけた。ちゃんと気付いたのは良いが、実際少し笑ってしまっていた。ちゃんと咳払いして取り繕ったかのような、しかし心からの笑みを浮かべた。危ない危ない。手遅れなんだがそれは。


 かくして2人のシベリア行きクラビット狩り旅行は始まった。しかし、これが2人の壮大な冒険の始まりになるとは、誰も思っていなかった。


 ()()以外は。








 その頃の、亜空間。


「…ふむ、これで上手く行きそうですね?」


 白髪の美女が、相も変わらず2人の様子を見ていた。その美しい顔には、いかにも楽しそうな表情が浮かんでいた。


 彼女が後ろを見やると、そこにある大きな檻の中の動物が怯えたような声を上げる。その体毛は植物の如く青々と存在を主張しており、恐怖に染まる眼球は海のように深く暗かった。


 彼女の目が少し歪められると、ソレは後退りして檻に当たる。その様子に彼女は落胆し、溜め息を吐いた。


「やはりお前は使えん。精々奴等に料理される位が良い所だろう。さっさと逝け」


 彼女が凍える声音で手を振ると、ソレはその場から消え去った。


 そして再び彼女は2人の様子を見始める。そのしなやかな手には外骨格を有する兎が1羽、収められていた。唐突に移動させられたことに兎は驚きつつも、その手の動きにすぐに目を細めて鋏を腕へと巻き付ける。


「うーん、それにしてもクラビット、とは。こんなに可愛いのですから、『うさぎさん』でいいではぬいですか。おーよしよし…ふふふ」


 若干の不満を垂らしながらも、微笑みながら2人を見る彼女。


 心底楽しそうなその貌に、殆ど感情を抜かれた兎が擦り付く。








 動きやすい服装に改めて着替え、2人は再び、先程の広間的な場所に来ていた。


 何故か?それはパラーチさんが提案した、とある方法にある。



「ねぇケーレ。思い付いたんだけどさ?」

「ふぇ?」


 パラーチはずずいっ!とケーレに顔を近付ける。これは鼻息の当たる距離であった。顔が近い。百合の花が咲き乱れそうである。


「ケーレの水流の勢いを使えばさ?」

「うん」

「飛べると思うんだよ?」

「うん…うん?…飛べる?」



 それから数分後、現在に至る。


「やっぱりこれは頭悪いと思うのよ私は」

「良いじゃあねぇか?ロマンがあるよ?」

「だから?」

「…」

「…」

「…やるだけやろうよ」


 パラーチがケーレにおんぶされており、その身体はお腹の所でぐるぐる巻きにされ、それなりに固定されている。その表情は対照的であった。


 パラーチが嬉しそうにケーレの肩をぺちりんこぺちりんこするが、ケーレの目はアレになっていた。口はへの字になっていて不満気である。しかしその姿は完全に姉妹である。可愛い。


 ケーレは何だかもうテンションだだ下がりの様子。勿論、パラーチがとべるとべるがんばえがんばえ!とか抜かしおるからである。ついさっき魔法が使えるようになった見習いちゃんに、とりあえず空飛ぼう!とか言うパラーチは鬼畜というかキチである。


 手を握り、少し意識をしてみる。するとそこからお水が湧いてくる。不思議な現象だなぁと感じることに変わりはぬい、しかし今はそんなことよりも重要な事があった。


 じわぁ…


「…これで飛べると思う?」

「…がんばえがんばえ」

「てめえ料理すっぞ」

「恐縮ながら辞退させて頂きますごめんなさい」


 この水の勢いである。じわぁじわぁである。なぁにこれぇ。さっさと全く違う水量に思わず目が白くなる。あのぉパラーチさぁん?考えなおそお?


 しかし言い出しっぺちゃんは横に目を反らしてほざき始めた。思わず声が低くなり、割かし本気な料理宣告をケーレがすると丁寧にオコトワリを入れられる。ガキャア…まな板にしてやろうか?


「…」


 パラーチは何処かに殺気を飛ばした。


「つーかね、いくらあの時の水量が多かったからってさ、もしかすると出せる水量がアレだけしかぬいかもしれぬいじゃん?そこはどうなの?」


 ケーレは背中の上の褐色ちゃんに尋ねる。というかパラーチの肌がすっべすべな事にケーレは漸く気付いた。ペロペロしたら恐らくボルシチの味がするのだろうか。いや待て、ピロシキの味なのかもしれぬい。うむ、1度味見をしておく必要があるな?


 すべすべお肌ちゃんはびくっ!と一瞬震え、しかしちゃんと話し始める。


「いや…お水の量なんて、そこら辺の邪粒子から合成するわけだから無限に出せるに決まってんじゃいな」

「そう?でも私のレヴェルが足りぬいとかで色々不測の事態になったりしぬい?」

「大丈夫大丈夫、私の時は何も無かったし、そんなこともにゃいって」

だとしても不安なのに(めちゃくちゃ美味しそ)変わりはぬいよ(うだね君のお肌)?」

「ちょっ待て今なんつったアンタ」

「じゅるり」

「おいバカやめろ!」


 ちょっと不穏な音を発したケーレ。これはユリノボリだろう。というかちゃんと聞いてるのか?聞いてるよな?パラーチが肩をゆっさゆっさしてケーレを正気に戻そうとすると、3ゆさゆさ目でケーレはぴーん!と直立した。


「わたしは、しょうきにもどった!」

「戻ってぬいよね?」

「にゃふふぇ…?」

「おいこらハイライト=サンがいらっしゃらぬいぞ!」


 ゆっくりと亡霊染みた動作で振り向くケーレ。その目にハイライトは見えぬい。パラーチは色んな意味で危機を感じた。万事休す。


 そんな時、パラーチの脳に電流走る!




「…もしもしケーレ」

「じゅるる」

「1はむはむだけなら許そう」


 味わう許可が出されたことを理解すると同時に、ケーレはパラーチの腕にはむついていた。


「はむぅぅうううん!」


 飛び散る唾液、ぬめりと蠢く赤い舌。褐色の肌の上をのたうち回る温かい感触に彼女は顔を引きつらせた。


 そしてパラーチは片頬を上げて勝利を確信した。




「ウマァァァァァアアイ、抑制不能!」

「あの、そろそろやめてね?」

「はむぅぅうううん!」


 顔の前に回された細い腕を堪能するケーレ。制止の声も届かず、彼女は口付けを更に続ける。パラーチがむず痒そうにするが、捕食者の表情が完全に逝っちゃっているため、それに注意を払うことなどなかった。


 そんな演技(フリ)をしながら、パラーチはケーレに囁く。



「ほぉら、お手々を後ろに向けてみて?」

「じゅぶるるるー」


 ケーレが手のひらを下に向け、そしてパラーチはケーレの耳を自由な方の手で摘まむ。


「いっぱいお水出してくれたら、もっとすごいこと…させて…あげよう…、か?」






 ケーレは暴走した。

 必ず彼の褐色少女の全身を堪能してやろうと決意した。



「よし、かかった!」


 パラーチはケーレの手から冒涜的なまでの量の水が吐き出されるのを見て指を鳴らした。その水量と勢いから2人は少しずつ場所を動いていき、そして、


「おお!やったじゃん!」


 浮いた。


 文字通りの放水発動機(ジェットエンジン)となったケーレは、白目になりながらも滞空を始め、そして爆発的に加速を開始した。


「ンッン、快速で行くぜ!エンジン起動完了!」


 パラーチはケーレの耳をふにっとした。


 瀑布の如く轟音を立てて2人は飛び立つ。


「全速前進!爆速でゴー!」


 シベリアに向け、2人は空の旅に出る。楽しそうな者と、白目ではあるが幸せそうな者。何かを間違った2人が、共に飛び立つ。


 …パラーチはケーレを移動手段としか考えていぬいのだろうか。もしかすると、ただの道具としてしか見てぬいのかもしれぬいが。






 彼女は、にこりと嗤った(ほほえんだ)

昨日、ハサミムシのツヤにトゥンクしかけたんですが、恐らく新しい扉なのでしょうね。

いやーキモいキモい。

…そういえばお友達が、『ベンゼン環にエロスを感じる』とか言ってましたね。

もしや周囲にはそういうヒトしか…?


パラーチ「ほぉーれほぉーれ」

ケーレ「お願いします食わせて下さい!」

パラーチ「ほぉーれほぉーれ」

ケーレ「…にゃー…」

パラーチ「ほれほれ我慢だ我慢だ」

ケーレ「…」

パラーチ「我慢したら後で、ね?」

ケーレ「ふおおおおおおおお!」


うさぎさん「次回、大群が駆逐されます」

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