断罪3
この学園では生徒会役員をランキングで決定している。
それは、抱きたい・抱かれたいランキングだ
馬鹿げているかもしれないがここではそれが伝統になっている。
生徒全員で投票してランキングで役員になった生徒には色んな特権が与えられ有意義な学園生活が送れるため、役員決定前になるとこぞってランキングしようと躍起になる。
日向美咲も例外ではなく、容姿に自信があった彼は必ず1位に選ばれると信じていた。
だがふたを開けてみれば、彼は抱きたいランキング2位という信じられない結果だった。
別に抱かれたいなんて思ってはいないが、この容姿からそういう誘いは後を絶えなかった。
だから2位という結果に驚愕したのだ。
しかも1位は隣のクラスの島崎蓮という一般家庭の生徒。
自分を打ち負かした生徒がどんな奴なのか気になって教室まで見に行った時のことだ。
抱きたいランキング1位に選ばれただけあって、きれいな容姿をしていた。日向は周りの生徒からチヤホヤされている彼を見て悔しさに顔を歪ませていると、彼の口から信じられない言葉が飛び出したのだ。
「生徒会入りおめでとう」
「絶対1位だと思ってたよ」
そんな絶賛するクラスメイトを困ったように見て
「私は生徒会入りはしませんよ」
「「ええーーーっ!」」
「何で?」
「特待生の私には生徒会で仕事をする時間はありませんから・・」
「で、でも、生徒会入りしたら授業免除もあるんだよ」
「私は勉強がしたくてここに来ました。だから授業免除なんて・・」
島崎の決心に友人たちはため息を吐く。
「島崎はまじめなんだな」
「うんうん・・しかし生徒会入りを断る生徒って初めてじゃないかな?」
「う~ん・・そうだな。まあ、決めるのは本人だからな」
「ありがとうございます・・」
満面の笑みを浮かべる彼に、日向は1位になれなかったことと生徒会という権力に興味を持たない彼に対して体中からドス黒いものが沸き上がるのを感じた。
島崎が辞退すれば日向が生徒会入りができることはわかっているが、そんなおこぼれみたいなこと嬉しくも何ともない。
彼がいる限りみんな思い出すに決まっている。
日向は島崎のおこぼれをもらって生徒会入りしたのだと・・
そんなこと、プライドの高い彼には許せなかった。
それからは簡単だった。
カンニングという罪をきせて学園から追い出したのだ。
島崎は無実だと訴えたが、それを日向はクラスメイトに偽りの証言をさせた。
「島崎くんがカンニングをしているのを見ました」
とーーー・・
その結果、特待生の権利をはく奪され高額な学費を払うことができず彼は自主退学した。
「思い出しましたか?あなたが私にした仕打ちを・・?」
「あ、あれは・・あなたが」
「あなたが・・何です?」
「それは・・」
「それは私が抱きたいランキング1位であなたが2位だった、からですか?」
副会長の顔が怒りと悔しさで歪む。
話を聞いていた生徒たちから疑問の声があがる。
「副会長がランキング2位?」
「副会長がランキング2位だったなんて初めて聞いたぞ」
「でも、発表は1位だったよね?」
「どういうこと・・?」
ざわつき出した生徒たちに副会長は舌打ちし、総隊長の島崎は苦笑した。
彼らが副会長に疑念の目を向け始めた。
だがそれでも、諦めの悪い副会長は声を荒上げる。
「だから何です?それでも私がランキング1位に変わりないでしょう?それより退学したあなたがなぜここで総隊長をしているのですか?」
みんなが最も疑問に思っていたことを副会長は口にした。
そう、退学したはずの彼がここで総隊長をしているのはあり得ないことなのだ。
視線が島崎に集中し答えを待つ中
「それは、オレから話そう・・・」
突如現れたのは、もう一人のカリスマ風紀委員長だった。
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