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第0時限目 入学のお時間

 新入生。新学期。新クラス。

 理由はどうであれ、いろんな「新」が付くことって、凄く胸が高まると思う。

 新しい学校に転校するというのだから、期待感は少なめに見積もっても三割増しくらいで胸を膨らませてくれて"いた"。

 そう。

 転校を許可する書類が手元に届いた際、同封されていた資料に目を通すまでは、確かに胸の高鳴りという言葉を実感出来ていた、覚えがある。

すこやかで清楚せいそな乙女を育てる学校として――』

 何気なく開いた学校紹介パンフレットの頭に、ゴシック体の太字でそうでかでかと書いてあって、読み流そうとした僕ははたと手を止めた。

 え? 『乙女』?

 そのまま、つつつっ、と違和感に震える視線をパンフレット上で滑らせて、書かれた文章を脳内信号として伝えていく。

 でも、すればするほど僕は往復ビンタされているような、脳髄の先まで痺れる感覚が走る。

 そして、パンフレットの最後に止めの一撃。

『女子高等学校 西条学園』

 女子高等学校。女子校。つまり、女子しか通えない学校。

 ……えっと、つまり? 僕は? これから? 女子校に通う?

 いや、ちょ、ちょっと待って。

 待って待って。

 おかしいよ、うん、おかしい。おかしいです。おかしいね。

 女子校ってこう、たおやかで、清楚な女性たちが華やかな……そう、茶道とか華道とか、そういうものを嗜みつつ、勉学にも励んでいる学校というイメージ。

 そして、入学式なんかではきっと不安と期待とが半分半分くらいの女子生徒が、「昨日は眠れませんでしたわー」って話す口元を手で隠しながら、登校してくるようなところしか想像できない。

 ……あ、これは女子校ではなくてお嬢様学校かな?

 とにかく、僕の想像が正しいとしても、正しくないとしても、僕は女子校に入れない。

 何故なら、僕はれっきとした『男』だから。

 なので、入れないはず……なんだけど。

『貴女 小山 準の本校”西条学園”への転入を許可する』

「僕は……女の子じゃなぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!」

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