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義教の野望  作者: ペロリん千代
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将軍就任

不定期更新となりますがご了承下さい。ようやく将軍就任です。

1429年 (正長元年)足利義教

ようやく将軍宣下があった。元服から一年がたっている。待ちくたびれたよ。今までは管領下知状を使って政治を行っていたのだが、これからは御教書を使えるな。御教書というのは将軍の書状のことだ。つまり俺は一年間も政治が行えなかったのだ、表向きはな。全く朝廷め、邪魔ばかりする。ちなみに名前は将軍就任の際に義教に変えた。やっぱりこれがしっくりくる。


将軍就任前、悩みの種の一つである天皇後継問題が解決した。伏見宮彦仁王が即位したんだ。史実では後の後花園天皇だな。迅速に進めたお陰で院政を敷いていた上皇は俺に大層感謝していたらしいな。もっと感謝してくれてもいいんだよ。


そして美濃の土岐を動かして伊勢の北畠を下した。因みに土一揆についてだが、厳重な警護のお陰で洛中に被害はほとんど出なかった。まあ他の場所については……、俺関係ないし別に知らん。


こうした一連の出来事を解決できたので宿老たちも俺のことをだいぶ認めたようだ。一揆の鎮圧については赤松満祐がよく働いてくれた。低身長だがかなり有能だな。おじさんびっくりだよ。だが何を考えているのか分からなかったり態度がでかいことが気に入らない。


こいつにはかなり警戒している。なんたって史実で義教を暗殺した奴だしな。こいつからパーティに招待されても絶対に行かんぞ。ましてカルガモの親子が可愛いので来てください……なんて言い出したら絶対誅殺してやる。まあ重用している間はおとなしくしているだろう。


現在の幕府は俺を中心として側近の三宝院満済、そして宿老の山名時熙、赤松満祐、畠山満家、細川持元、斯波義淳たち有力守護との話し合いで政治を行っている。つまりは合議制だ。これは義持の政治体制を引き継いでいるからだ。


合議制が悪いとは言わないがやはり俺は専制がいい。だがまだ俺の子飼いの近臣が成長してないのでしょうがない。家臣団の形成にはまだ何年もかかるだろう。それまでは宿老たちを上手く使っていかなければならない。ちなみに俺は守護の扱いについては史実と同じようにする気は無い。家督に口を挟むのは最低限にしておこう。あまり性急に物事を進めると反発をうむ。失敗はしたくない。


「上様、守護たちが御所に集まっておいでです」


お、守護たちが来たようだ。将軍就任のお祝いの挨拶だな。さて、行くか。




1429年 (正長元年) 赤松満祐

今、私は新将軍となった上様にお祝いの言葉を述べるために御所にいる。


「此度は将軍に就任なさったこと、我ら一同嬉しく存じます」


代表として管領である畠山左衛門督殿が口上を述べる。


「うむ、よく集まってくれた。誓紙に書いた通り幕府を盛り立てていくのを期待しておるぞ」


上様は随分機嫌がよさそうだ。やはり土一揆や北畠の反乱の鎮圧が素早く終えられたからだろうか。まさか土一揆があれほどのものだとは思わなんだわ。だが上様は分かっておったらしい。大したお方よ。上様が還俗なされた直後は暗雲が漂っていたが幾分かよくなったようだ。民衆はこの方の手際のよさに感嘆している。


上様は私のことを随分評価して下さっているようだ。土一揆を鎮圧した際にも上機嫌で褒めて頂いた。だが私は気づいていた。私を褒めた時の上様の目は全く笑っていなかったのだ。刺すような瞳を向けていたな。私を警戒しているのだろうか。


確かに私は将軍に忠誠など誓ってはいない。誓紙?あんなものは紙くずに過ぎぬわ。もし上様が私を目障りに感じ、排除しようとするのなら…………私もおとなしくやられはすまいよ。




1429年 (正長元年) 足利義教

ようやく挨拶が終わった。今は自室でひとり考えごとをしている。挨拶では誓紙のことを言って笑顔で釘を刺しておいた。みんな青い顔をしていたな。だが赤松満祐だけは全く怯んでいなかった。あいつに怖いものなんてあるのだろうか?俺は転生前、朝寝ぼけながら鏡を見たときに自身の顔にびびったことがある。俺の顔はそれほど怖いのだ。まあ物怖じしない性格は悪いものではないから別にいいのだが。


鎌倉公方は結局使節を送ってこなかった。まあ予想していたから別に気にしてないけど。今は関東管領の上杉憲実の懐柔に動いている。関東管領は鎌倉公方を補佐する役職なのだが上杉氏と鎌倉公方は仲があまり宜しくない。足利持氏が反幕府なのに対して上杉憲実は親幕府なのだ。


史実では反乱しようとした持氏を諌めた結果、持氏に命を狙われて永享の乱で幕府とともに持氏と戦った。忠義心に溢れ、共に主君である義教と持氏の間で揺れ動いた可哀想な奴だ。馬鹿な上司の下で働く部下は苦労するよな。


俺はそんな憲実と持氏の仲を修復不可能なまでに引き裂けばいい。え?憲実を可哀想だと言っていたじゃないかって?馬鹿言っちゃいけない。俺が大事にしているのは幕府なのだ。上杉なんて全然大事じゃない。強い幕府のために生贄になってもらおうか。


関東のことは置いとこう。問題はこれからの幕府運営だ。俺は義満の政治を理想としている。そのためには将軍の権力を強化し管領や鎌倉公方の権力を削ぐ必要がある。鎌倉公方はいつか討伐するからいい。だからターゲットは管領だな。今は畠山満家だがこいつはもう交代する。前から辞めると言っていたからな、引き止めるつもりはない。


話し合いの結果、後任は斯波義淳に決まった。こいつは13歳のときに一度管領をしていたからな。まあ大丈夫だろう。後で呼び出してお願いするか。


後は評定衆や引付に変わる機関である御前沙汰を協議機関としよう。御前沙汰とは評定衆や引付が参加者の身分や家柄が固定されているのに対して、参加者を将軍が決めることができるという機関だ。これを新たに設けることで有能な者を上手く使って将軍親政を行うことができる。細かいことは後で満済と話し合って決めるか。






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