表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義教の野望  作者: ペロリん千代
29/33

大和

1435年(宝暦二年) 足利義教


満済が亡くなった。満済は幕府をよく支えてくれた。その事を亡くなってから痛感した。


悲しんでいる暇は無い。まだ敵は多い。関東の情勢はあまり良くない。京都扶持衆に持氏を攻めさせてはいるが、それで互角と言った所か。朝廷には治罰の綸旨を要請している。じきに錦の御旗を得られるだろう。そうなれば持氏は朝敵、従っている諸将の動揺も大きくなるはずだ。


大和もまた押されている。筒井が箸尾、越智に大敗したのだ。当主、筒井順覚らは居城である筒井城を破棄して山城に落ち延びてきた。


大和は京に近い。故にこれを放っておくことは出来ない。早急に討伐する必要があるな。




1435年(宝暦二年) 畠山持国


「出兵するぞ。越智、箸尾を叩く」


斯波左衛門佐殿と共に上様に呼ばれて改修中の御所に行くと、そんな事を言われた。大和か。確かに討たねばならぬだろう。越智、箸尾に上洛する力は無いだろうが後顧の憂いを断っておかねば関東に兵を送れぬからな。


「しかし、つい先日戦があったばかり。兵を動かす余裕など有りませぬ」


最近は戦が多い。戦にはかなり銭が必要だ。おいそれと大兵を動かすことは出来ぬ。


「たいした兵は必要ない。五千程で良い。中核は斯波の兵を使う。新たな当主の実力をはかっておかねばな」


「それ程でしたら問題有りませぬ」


五千か。決して少なくは無いが致し方無い。大和の騒乱が領国の河内、紀伊へ飛び火しないとも限らぬからな。


「左衛門佐、そなたの実力には期待しておる。大将として存分に働け」


「はっ」


左衛門佐殿も意気込んでいる。ここで失態を犯せば瑞鳳殿に家督を譲れと言われるかもしれぬ。だが問題は無いだろう。左衛門佐殿の実力は高い。


「では領国に戻り、至急支度をせよ」


「はっ」



1435年(宝暦二年) 足利義教


大和の反幕府勢力へ対抗して、斯波を中心とした軍を送った。およそ二万といったところか。先導役として筒井を使った。やはりその地に詳しい者がいると何かと便利だからな。


これで大和が平定出来ればいいんだけどな、簡単にはいかないだろう。物流を止めて経済封鎖をするか?いや、ダメだな。幕府の力はそこまで強くない。出来たとしても限定的になるだろう。


まあ大和は斯波義有に任せよう。次は九州だな。九州は現在少弐が没落し、残る敵は大友、菊池のみとなっている。時間をかければ大内だけでもなんとかなるだろうが、やはり早く終わらせたい。持氏が関東を席巻する前にけりをつけないと。細川をつけたいんだがな、体調不良とかいって拒否しやがった。山名も使えないし島津は内乱中だし、満祐を使うしかないな。


細川が俺に抗うなら代わりに赤松を重用する。駆け引きとしては使えるだろうか。まぁやってみよう。





「援軍、ですか」


「そうだ。九州で戦っている周防守を助けてやって欲しい」


「ふむ………」


迷っているな。連続の出兵だからな、仕方がない。


「右京大夫殿は?」


「断りよった。腹痛だとか言っていたがな。まあ嫌なのだろう」


逃げ道が潰されて満祐が顔をしかめた。嫌だけど断りづらいってか。やはり奉公衆を使わないとダメかな。指揮官を決めないといけなくなるな。


「……分かりました。やりましょう」


「おお、やってくれるか!」


助かるな。こういう時は持之よりずっと頼りになる。


「最近は年貢収入が上がりました故、なんとかなりましょう」


年貢収入が上がった?


「豊作だったのか?」


「いえ、最近は新しい稲の育て方が流行っているそうでして、そのおかげで随分と助かっておるのです」


「ほう」


ほう、紀三郎に頼んだいたアレか。もう播磨にまで広まっていたのか。こんなところで実を結ぶとは。やってよかったよ。


「では大膳大夫よ。九州へ行き、その他の武威でもって幕府に反逆する者を打ち滅ぼして来い」


「はっ」


あとは関東か。早く潰してしまいたいが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ