表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユメ見る魔法少女エピソード0 / The Dreamin' Magical Girl  作者: Tomokazu
第一話・夢の世界のお友達
7/10

3


 3



 ユメのセカイ。

 それは、広大な空間だった。

 小さな宇宙と形容してもいいように思える。

 その中に、人々の想いが形となって存在している。

 人の見た風景、幸せに感じたもの――そういったものの印象が、いたるところで具現化している。

 トモエはその世界に立っていた。自分の手を眺めてみる。

『力を解放してごらん』

 真実の深淵から、星夜が話しかけてきた。星夜と出逢う直前と同じように、それはトモエの脳裏に響く。この世界では、星夜と遠く離れていても、テレパシーで通じ合うことができるらしい。

 トモエは自分の手を眺めてみる。何だか、力がみなぎっているような心地がした。ユメのセカイのもつ想いのパワーが、トモエに移ってくるようだった。星夜の言うように、力を解放してみる。はじめはどのようにして解放すればいいのか手探り状態だったが、徐々にコツがつかめてきた。トモエの身体を赤色のオーラがまとい、それは徐々に炎のように、めらめらと揺れ始める。

 コツが完全につかめたところで、トモエは力を一気に解放した。

 ユメのセカイのエネルギーに身体を揺さぶられる感覚に浸りながら、トモエは一方で、別のイメージを描いていた。それは、魔法少女に対する自分なりのイメージだ。トモエがこの空間に立っている理由は、魔法少女になってみるという実感をもつためだった。

 トモエが描いたのは、幼い頃見ていたアニメの印象だった。派手な衣装に身を包み、権を手に悪者と戦う少女。そのキャラクターに、トモエは自分を重ねた。

 トモエの身体から、激しく光がスパークする。光が止んだ時、トモエはまるっきり違う姿へと変わっていた。

 頭の上を飾る大きなリボン。赤を基調にしたワンピース。そして腰には大きな剣をたずさえていた。

(これが、魔法少女となった、私……)

 大いなる変化に半ば呆然となりながら、トモエは思った。直後にやってきたのは、本当に自分は魔法少女になったのだという実感だった。

 もっとも、まだ魔法少女になった意味さえ分からない。“宇宙の意志の権化”が言っていた「悪意の化身」とは一体何者なのか。何も知らないという不安はあった。

 けれど、もう事は動き出してしまったのだ。

 トモエは、漠然とながら、自分の運命が、大きく変わろうとしていることを感じていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ