表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユメ見る魔法少女エピソード0 / The Dreamin' Magical Girl  作者: Tomokazu
第一話・夢の世界のお友達
5/10

2-1


 2



 気づけば、トモエはだだっ広い空間に立っていた。

 ここはどこだろう――と、トモエは辺りを見回す。空気がきらきらとした色彩を放っていて、とても美しい。

『まっすぐ歩いてきて』

 どこからともなく声がした。見ると、足もとに道がある。トモエは声に従って、それを歩いてみた。しばらく行くと、また声がして、方向を指示してくれる。そんなことを何度か繰り返し、進んでいくと、目の前に大きな水のカーテンがあった。

『そのカーテンを引いて』

 トモエは声に従い、カーテンに手をかける。ずぶり、と水に手を入れる感覚があった。そのまま腕をなぎ払うと、カーテンは一瞬にして大量の水玉となり、ばしゃばしゃと音を立てて地面に落ち、水しぶきをあげた。けれど、不思議なことに、トモエの身体はまったく濡れないのだ。

 水玉がすべて地に落ち、静かになる。トモエは改めて前を見た。すると、そこには大きな庭園が広がっていた。視界の中心に、白いテーブルがあって、ひとりの少年が椅子に座っている。

 その少年は、トモエの方を向いて言った。

「こっちへおいでよ」

 それは、さっきまで聞こえてきたものと同じ声だった。自分を誘導していたのはこの人だったのか、とトモエは思いながら、少年の方へと歩いてゆく。近くで見ると、トモエより少し年上くらいの男の子だった。

「ようこそ。ここに来るのは、君が初めてだよ」

「あなたは誰?」

 トモエは訊いた。

「僕は平沢星夜。この世界の住人さ」

「この世界の住人ってどういうこと? ここはどこなの?」

 トモエは質問を重ねた。突然、見ず知らずの場所に来て、混乱するばかりだ。

「それについては、これからじっくり話そうかな。その前に、君の名前を教えてくれないか」

「鶴洲トモエ」

 トモエは短く答えた。

「トモエ――だね」

 星夜と名乗る少年は、穏やかにほほ笑みながら、手を自分の向かいの席の方へと差し出した。

「とりあえず、座ってよ。紅茶入れてあげる」

 星夜は言った。トモエは彼に従い、椅子に座った。星夜はテーブルの上のティーポットからカップに紅茶を入れて、トモエに差し出した。カップを手に取り、一口飲んでみる。かぐわしい香りと、味わいが広がる。けれど、不思議なことに、飲み込むとそれと突然、すぅっ――と消えていった。お腹に入ったという感覚も覚えない。

「僕も君のことを色々聞きたいな」

「色々って?」

「君がここに来るのが初めてなように、僕も君に会うのは初めてだ。だから、君のこと、色々知りたい」

「分かった。でも先に、あなたの方から話してね」

 改めて彼を見る。整った顔立ちと、穏やかそうな表情が印象的だ。少なくとも、悪い人ではないように見える。

 トモエは思った。

(もしかして、この人が私の友達になってくれる人なのかも――)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ