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恋心は純粋な程に狂気をみせる

作者: ゆいらしい

非常に暗い話になっております。

ヤンデレのヤン80%になっております。


気分を害されそうな方はuターンでお願いします。

「好き、好き、大好き、本当の本当に大大大、大嫌い。」


まるで息を吸うかの様に呪いの言葉を唱える少女。それを聞いている少年は悲しそうな顔をしながら「うん、知ってる。」と微笑む。


「なら、約束ちゃーんと守ってね。」


その言葉を聞いて、今度は本当に少年は悲しそうにした。


「うん、わかった。」


少年は拒絶出来ない。いや、しない。少年はいつか必ず約束を守るだろう。そして、少年は安堵しながらも後悔するのだ。




ーそれは、その約束は少女の少年に対する復讐ー




だから

嫌がる少年を見て、それでも拒絶しない少年を見て、彼女もまた安堵するのだ。



なんて、不幸で幸せなのでしょう。



「絶対だよ。絶対に私を殺してね、悟史?」


「うん、他の人間なんかに百合を殺させないよ。君を殺すのは僕だから。」








百合は、悟史が好きだった。そんな百合を悟史も好きだった。朝、学校へ行く時から学校が終わって日が暮れるまで2人はずーっと一緒にいた。誰も2人を邪魔をする者はいない否、邪魔することは出来ない。2人の親しげな雰囲気に…2人の容貌が整っていることもあって、そこは聖域といっても良い位に外界とは遮断されていた。2人だけの世界。


「また明日ね。」「うん、また明日。」


毎日をそうして別れる。


「明日はどんなお話をしようかな?」と楽しそうに考える百合に対して「あぁ、百合と別れるなんてなんてなんて悲しい。僕は1分1秒たりとも百合から離れたくは無いのに…」悲しそうに、この状態に怒りすら覚える様に悟史は明日を待つ。



百合は純粋に悟史が好きだった。悟史は…………いや、悟史も純粋に百合が好きなのだろう。純粋さは時に狂気を交える。




「百合には僕だけで良いよね?僕の元から一緒でも離れて行ってしまう足なんていらないよね?…はは。これで、百合はもう僕のもの。」



悟史は、とうとうというべきか

百合の足を切った。百合のアキレス腱を…これでもう百合は歩くことが出来ない。悟史の家の、誰も訪れることは無いであろう地下の物置部屋に押し込まれたら、もう逃げる術は無い。


百合は泣いた。大好きな人に裏切られた気持ちになった。


「帰して、私を家に帰して。家族に会いたいの、お願い…いや、やめて…嫌い、嫌い、悟史なんて大嫌い……もう嫌……」


百合は悟史の事を好きだ。でも、悟史にとって百合は1番かもしれないが……百合にとっては悟史も家族も友達も、皆好きだった。確かに、特に悟史が好きだったというのはある。でも全てを捨ててまで悟史を取るということは彼女の選択肢には無い。


結局、“聖域”なんて空間は悟史だけの空間。悟史の妄想の空間なのだ。そこでは、百合と誰にも邪魔されず会話が出来る。授業中は百合を見ている時間。


百合にとって、その空間は特に変哲も無い普通の学校の教室。休み時間が終われば、悟史とのおしゃべりをやめて勉強をする場所。




可哀想に、百合は選択肢を1つしか残され無かった。ここは、悟史以外誰もいない場所だ…必然的に悟史を1番にするしかない場所。





「生きたい」と思う本能なのか、段々と悟史の愛…いうならば“毒”を染み込まされている中で、百合も狂っていく。




ーこの物語せかいは、悟史だけのものじゃない。百合のものでもあるのだ。ー




…なんでこんな目に合わなきゃいけないの?ここは、寂しい。「好きだよ、百合」嘘。本当に好きならこんなことはしない。「僕が百合を幸せにしてあげる」こんなの幸せじゃない。誰か、誰かいないの?お願い、助けて。「百合は僕だけを見ていれば良いんだ」嫌だよ!パパに、ママに…会いたいよ!「ずっと、ずっと一緒にいようね」ずっと?そんなの嫌!早く家に帰して!怖い、怖い、こんなの悟史じゃない…!嫌、嫌、嫌、嫌ァァァァァァァァ!!!


……………………………………

………………………………

…………………………

……………………

………………

…………

……



「好きだよ、百合」


「うん、なら私を殺して。」


「…!……どうして、そんなこと言うの!?」


「悟史に殺して欲しいから。大好きだよ、悟史?だからこそ、悟史が憎くて憎くて仕方ないの。好き、好き、大好きで大嫌い。私のことが好きな悟史なら、私に殺されても本望でしょう?そんなの叶えてあげない。悟史が私を殺して。」


「百合を殺すなんて、出来ないよ……!」


「だーめ。出来なくない、やって。私のことが嫌いなの?好きでしょう。だって、ずっと囁いていたじゃない。なら、私のお願いを聞くべきよ。」




悟史はただ純粋に百合が好きだった。だから、本当にコレが百合の幸せだと信じていた。百合の幸せの為に2人きりの部屋にずっといた。百合と話す時間が好きだった。百合の声が好きだった。百合の笑顔が好きだった。……この部屋に来てから、百合の笑顔が無くなった。でも、百合がいるから悲しそうにはしなかった。百合が側にいるから、それだけでも満足出来た。


でも、殺しちゃたら?


笑顔だけでなく、声も、何もかも無くなってしまう。


「……わかった。でも、もう少し待って。」


……それで百合が嬉しいなら。百合の幸せの為なら。



「いいよ。……悟史は、私を殺す時どういう風に殺すのかな?


生きてる私を最後に見るから嬉しそうに?それとも、悟史の手で殺させる…あなたの幸せを奪う私を憎しみながら?


悟史はどうやって私を殺すのかな?


首を絞める?ふふ、悟史は私の苦しむ姿を見るんだね。そしたら、悟史はとぉーっても悲しむんだろうな。ざまーみろ。あぁ、道具を使って殺す?それも良いなぁ。一瞬で死ねるし。でも、私という存在が一瞬で無くなっちゃうことも悲しいんだよね?


あぁ、楽しみだなぁ。」



大嫌いだよ(私をこんな目に合わせたから)大好きだよ(自分では死ぬことの出来ない臆病な私を殺してくれる存在だから)


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