変質者さんと家出少女7
次の日の朝も少女に起こされた。
二回目とはいえなれないものは慣れないので一瞬驚いてしまう。
「起きてください誘拐犯さん。もう十一時ですよ」
壁にかかっている時計を見ると確かに十一時十分くらいを指していた。
ちなみに僕は今日も床で寝ていた。体中痛いし、床は冷たいし堅いしでさんざんだったな。
「君は知らないかもしれないけど僕は基本的に深夜のバイトなんだ。だから実はまだ起きる時間じゃないんだ。」
「そうなんですか。ちなみに誘拐犯さんは知らないかもしれませんけど私学生なんです。普通に遅刻です。大遅刻です」
「そうだろうね。どうするの?学校行く?」
「いえ、もうそんな気分じゃないので行きません。代わりにドライブなんてどうですか?気晴らしにはいいらしいですよ」
「それは魅力的な提案だね」
僕はまだ寝ぼけている頭を覚醒させる。
「出かけるよ。準備して」
「はい」
僕達は二人して出かける準備を済ませて家を出る。車に乗り込みビリー・ホリデイのThe Best Of jazz foreverをかける。
「それで、今日はどんな風に一日を台無しにするんですか?」
少女は嬉しそうに僕に尋ねる。僕は「さあな」と答えて車を出す。
僕たちの目的地は決まってない。