変質者さんと家出少女6
少女の家に着いた時には時刻はもう二時を過ぎていた。
少女は車を降りて僕に向きなおりきれいなお辞儀をした。
「ありがとうございました。変質者さん。とても楽しかったです今日のことは一生忘れません」
顔を上げる少女の顔はやっぱりどこかさみしそうだった。
「それじゃあ。さようならです。」
振り返って家に入ろうとする少女を僕は呼び止めた。
「なんですか?」
僕はどうやら昨日彼女を見つけた時からどうも正常な判断ができなくなっていたらしい。昨日から今日にかけて僕の行動はおかしなことばかりだ。でも僕は不思議とそれが嫌じゃなかったんだよね。なんていうんだろう?頭より先に体が先に動いちゃうっていうのかな?後先考えないって言った方が正しいかもしれないけど、とにかく僕はこの少女を見つけた時からどうにかしていたんだ。
きっと僕は一目見たときにこの年端もいかない女の子に恋をしたんだろうね。
一目ぼれってやつさ。だから今の僕は少女のために何でもしてあげたかったし、なんだってできるような気がした。だから普段では考えもしないようなことを僕はここで言っちゃたんだ。
「学校に必要なものを一通りと衣類を持ってきて。今から君を誘拐する」
もちろん少女はすごく驚いた顔をしたよ。それから本人も気づいてないみたいだったけど涙を流したんだ。そして震え声で「わかりました」って言ったんだ。
それから自分の家に入って行って十分くらいで戻ってきたよ。少女の荷物は驚くほど少なかった。殺風景な少女の部屋を僕は容易に想像できたね。
車に乗り込むと少女は楽しげに言った。
「それで、どこに行くんですか?誘拐犯さん」
「どこかだよ」
僕たちは互いに笑って車を出した