お、おう…
神殿の前で真剣に祈っている少女と女がいましたが…
一人の少女が、神殿の前で祈りを奉げている。
美しい少女。年の頃なら十五、六。
長い髪、白い肌、華奢な身体。
大きな瞳に 影を落とす長い睫。
結んだ唇は桜色。
先ほどからもう10分も微動だにせず。
それを見ていた人々は思う。
「おお、なんと清らかな少女だろう。きっと世界の平和を祈ってい
るに違いない」
「美しい少女。神様のお使いに違いない。なんとありがたいことだ」
片や、こちらでも一人の女。神殿の前でお祈りを。
先ほどの少女とは距離を置いている。
ただ、二人には違う点がある。
その女はブサイクだった。年もとってる。
パサパサの髪、色黒の肌、ふくよか過ぎる体。
その小さい目に まばらな睫。
だらしない口元はへの字に曲がっている。
先ほどから熱心に祈りを奉げているのは同じ。
それを見ていた人々は思う。
「あいつは何を企んでいるのだ? もしかしたらこの世の滅亡
を?」
「おい、今、ニヤッと笑ったぞ? あれは間違いなく悪魔の手先だ」
実は…心の読める能力者なら真実が分ったかもしれないのに…
美少女「あ~あ、クソめんどくせえ!これをやったら小遣いくれる
っていうからやってるけど、ホントめんどくせえ!もうそろそろい
いかな? 腹も減ったしな。ていうか、クソもしたくなってきた
わww」
ブサイク「この世の中が平和で、正しいものでありますように。神
様、もし私の命がお入り用でしたらどうにでもなさってください。
この世の平和の為に」
30分後、美少女は皆から手を合わされ、あがめられ、ブサイク女
は皆から言いがかりをつけられ袋叩きにあった。
それを見ていた神様、
「お、おう…なんというコトだ。しかし、庶民の感覚も分らないで
もない。確かにワシでもそう思っちゃうからの。スマン、汝ら…」
神様が人々に与えた感覚、【美は正義、醜は悪】はいつでも正し
いとは限らないのだ。
やっぱり、コメントは「お、おう…」です…