初めての魔法
本日2話目になります。とりあえずしばらくはマイペースに頑張る事にしました。
「さて、昨日話した通り、属性には火、水、風、土、雷、光、闇の7属性がある。また、魔法の行使には3種類の方法がある。自身の詠唱によるもの、魔道具によるもの、魔法陣によるもの、この3つだ。」
「詠唱は昨日ラバートが狩りに使っていたもの、魔法陣は俺を召喚したものだな?魔道具ってのはどんなものなんだ?」
「詠唱、魔法陣はその通りだ。 魔道具とは道具に予め魔法を込めておき、魔力を流したり任意の発動キーにより魔法を解放するものだ。城にある照明等がこれにあたる」
「へぇ…あれが魔道具か」
俺は城のシャンデリアや壁に据えられていた照明を思い出す。今まで疑問に思っていなかったが確かに電気が無いのに明かりが点いていた。
「魔法を行使する方法にはそれぞれ長所、短所がある。詠唱する方法は臨機応変に対応出来るが、大規模な魔法の行使には向かない。魔道具による方法は魔力さえあれば誰でも同じ魔法を使えるが、応用がきかない。補助程度に考えるのが良いだろう。魔法陣による方法は大規模魔法に向いていること、但し陣の設置に時間が掛かるし設置した場所から動かせない。それぞれ状況に合わせて使い分けていく必要があるだろう」
ラバートはそれぞれの特徴について簡単に説明してくれた。
俺は一通り説明に納得するとラバートに続きを促す。
「ぬしにはまず詠唱による方法を教える。魔法にはイメージが非常に重要だ。起こしたい現象をしっかりとイメージし、魔力を込めながら詠唱することで発動する」
「イメージねぇ…詠唱はどんなのがあるんだ?」
「特に決まった詠唱はない。自身でイメージし易い詠唱にすれば良い」
決まった詠唱がないのか?俺が疑問に思っているとラバートが疑問を察したらしく
「そもそも魔獣も含め種族間等で言葉が違うのに全く同じ詠唱の筈がなかろう。それに翻訳の魔法で言葉が通じているが、我とぬしでは今現在でもお互い話している言葉は違うだろう?」
ラバートはやや呆れながらそう答えてくれる。
「!?おぉ…確かに、こうして話せてるからすっかり忘れてた」
「…だから言語の習得が必要だと、つい先ほど説明したばかりだろう。ぬしは獣人のことしか頭になかったのか?」
今度はあからさまに呆れ肩を落としながら言われた。
「…ぐっ、返す言葉もございません…」
正直、あの時は獣人とお話ししたいから、ってしか考えてなかった。
「はぁ…まぁ良い。まずは我の照明の様に各属性の球を作ってみよ」
ラバートは追及を諦めたのか俺に魔法を試すように促す。
俺も気持ちを切り替えてイメージに集中する。
ずっと身体強化をしていたせいか魔力の操作は既にかなりスムーズになっている。
魔力を手のひらの方に移動させ少しずつ放出しながら詠唱する。
『火球』
ボッ!
少しずつ放出したせいか最初は米粒程の大きさだったが、注ぐ魔力量を増やすと少しずつ大きくなってきている。
「成功だ!!」
「出来たようだな、そのまま他の属性も試してみよ」
俺は魔法を使えたことでテンションが上がる。ラバートに促され早速他の属性も試す。
結果だけを簡潔に言うと、全属性問題なく使えた。
「…ぬしはつくづく規格外だな。初歩の魔法とはいえ、イメージが非常に難しい風や雷まで容易く使うとは…」
ラバートは驚きと呆れで心底疲れたような声を出す。
自身の常識が悉く壊れた、と肩を落としている様は哀愁が漂っている。
「なんか…すまん」
俺はラバートの肩に手を置き思わず謝罪するのだった。
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