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修練の方針

これからは基本的に1日1話のペースになるかと思います。

魔法を教わるということへの高揚感からか、やたら朝早くに起きてしまった。


「遠足を楽しみにする小学生か…俺は」


思わず自分に突っ込みを入れる。

ベッドの上で上体を起こしたまま窓の外を見ると、夜明けが近いのかうっすらと空が色づき始めている。

ベッドから抜け出し窓の側に寄る、窓の外はテラスになっていたようだ。

窓を開けて外に出てみる。

昨日ラバートから話を聞いたところ、この大陸では四季の変化がほとんどないらしい。一年中温暖ですごし易い為、人間のほとんどはこの大陸に住んでいるとのこと。

ちなみに、一年は10ヶ月、一月35日、一週間は7日で火、水、風、土、雷、光、闇と属性で曜日が分かれているらしい。今日は3月15日でまだ春先。これからさらに暖かくなってくるとのこと。

まだ朝早いせいか少し肌寒いが、元の世界より澄んだ空気でとても心地良い。

テラスから下を覗くと、吹き抜けの中庭が広がっており片隅には井戸が見えた。


「へぇ…昨日はよく確認してなかったが、ロの字型の建物だったのか。井戸が使えるなら顔を洗いたいな。ラバートは起きてるだろうか…」


部屋に戻り窓を閉めると、1階に向かう。階段を下りたところで玄関からラバートが入ってきた。


「おはよう、ラバート。どこか出掛けてたのか?」


「おはよう。我に睡眠は必要ないのでぬしの朝食用に少し、狩りと木の実等の採集をしておった。ぬしはゆっくり休めたか?」


「あぁ、俺はお陰様でゆっくり休めたよ。でも木の実なんかは分かるがなんで狩りまで?昨日の肉もまだまだあるだろう?」


「確かにまだある。昨日ぬしが食べた量位なら、一日三回食べてもひと月は保つだろう。」


「ならなんで?」


「魔力を使うと不足分を補うためなのか通常より腹が減るのだよ、人によって個人差はあるが平均して10倍は食べるようになる。ぬしも今日から魔法の修練をして魔力を使うようになるのだ、昨日の肉の残りなどあっという間に無くなるだろう」


「10倍って…自分の体積の半分位食ってんじゃねぇか。そんだけカロリーを消費するってことか?」


「かろりー?は分からんが魔力を消費すると体力を非常に消耗する。魔力切れを起こすと疲労で半日倒れる程だ。」


「なる程な…」


「さて、納得したところで…そろそろ朝食にするか?」


「あぁ。 あ、そうだラバート、中庭の井戸って使えるか?朝食の前に顔を洗っておきたい。」


「ふむ、使える筈だ。ではさっさと済ませてくるが良い。その間に朝食の用意をしておこう。」


そう言うとラバートは厨房へ入っていく。


「ありがとう」


俺はラバートの背中に礼を告げ、井戸に向かい顔を洗うと、昨日夕飯を食べた食堂へ向かう。

食堂には大きな長テーブルが置かれ両サイドにそれぞれシンプルな作りの椅子が5脚ずつ並んでいる。上座の椅子は城の主人の為のものなのか他の椅子とは違いひじ掛けが付いた豪華な作りになっている。

天井には部屋の中央に大きなシャンデリア、手前と奥に小さなシャンデリアがぶら下がっている。

その大きな長テーブルの上には既に、何かの肉の串焼きと色々な木の実が並んでいた。

相変わらず肉は焼くだけ、木の実に至ってはそのままだったが、やはり美味かった。


飯を終えると早速修練を始めると言われ、連れ立って中庭に向かう。

城の外ではいつ魔獣に襲われるか分からない為、まずは安全な中庭で修練をするらしい。


「まず、修練を始めるにあたり方針を伝える。ぬしにはこの世界で生き抜く為、魔法だけでなくありとあらゆる技術を身に付けてもらう。」


「ありとあらゆる技術?」


「ふむ、昨日の話を聞く限りでは、ぬしの元の世界では命懸けの争いなどなかったのであろう?」


「あぁ」


「こちらの世界では命のやり取りは日常的に起こりうる。魔獣や盗賊もしかり、それ以外でも生きていく上で戦いは避けられん。故に、生き抜く為の技術が必要となろう。」


「なるほど…」


「具体的には接近戦が出来る様に格闘術や武器戦闘術、もちろん魔法の修練に、こちらの言語、文字の習得、野草や魔獣等の知識だな。」


「文字はまだ分かるが言語も勉強するのか?今だってラバートと話せてるじゃないか」


「ふむ…昨日言ったと思うが、何故かぬしに翻訳の魔法が効かんかった。今は我自身に翻訳の魔法を掛けているため我と話せているが、他のものとは相変わらず話せんままだ。…獣人とお話ししたいのであろう?」


「!?よし、やろう!すぐやろう!!」


「……現金な奴だな。まぁ、とりあえず待て。基本的には明るい時間に接近戦闘術や魔法、夜に言語や文字等の知識の勉強、狩りの時に野草や魔獣等の知識を教えていく。異存はないか?」


「わかった」


「では、まずはこれから基本的な魔法について指導していく。」


「宜しくお願いします!」


こうして遂に修練が始まるのだった。

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