接近格闘訓練開始!!
俺は目を覚ますと、食堂に向かう。
食堂には全員が揃っていた。
メイは俺の姿を確認すると、ぴょんっと椅子から飛び降り、走りながら俺に飛びついてくる。
「"#$%&&%$#(お兄ちゃん!!)」
「おっとっと…おはよう、メイ」
俺は後ろに数歩踏鞴を踏んで下がりながら、抱きとめて頭を撫でてやる。
「「「おはよう」」」
「あぁ、皆もおはよう」
「"#$%&'&%$#"#$%&'(お姉ちゃんたちがいじわるいうの…)」
皆に挨拶をすると、メイが俺を見上げながら訴えてくる。
「ん?意地悪って何言われたんだ?」
「"#$%&''&%$#"#$%&'''&%$#"(んとね…お兄ちゃんにベタベタしちゃダメとか…いっしょにねちゃダメとか…)」
俺がラバートとサーラに視線を送ると、ぷいっと視線を逸らす。
どうやら自分で説明しろ、と言う事らしい…。
俺はしゃがんでメイと目線を合わせると、言い聞かせるように話す。
「メイ、あのな…昨日一緒に寝た時にちょっと調子に乗りすぎて、メイを気絶させちゃっただろ?だから、昨日ラバート達とメイと一緒に寝ないって約束したんだよ…ごめんな?」
「"#$%&'(う~…)」
メイは頬を膨らませながら、ラバートとサーラを睨みつける。
対するラバート達は勝ち誇った顔を見せている…コイツら、大人気ないな……。
ヒューイはただ黙ってその様子を見ている。
一瞬、口元が僅かにニヤついている様に見えたが気のせいだろう…。
「……な、なぁ…そろそろ飯にしないか?」
重苦しい空気を変えようと、俺はラバート達に提案する。
「うむ、そうだな…では朝食にしよう。昨日のスープの残りを温めてくるから少し待っているといい」
そう言ってラバートは厨房に向かう。
俺はメイを抱き上げて、椅子に腰を落ち着ける。
メイはまだ不機嫌そうに頬を膨らませていたが、膨らんだ頬の空気を指でつついて抜いてやると、途端に機嫌を直し「きゃっきゃ」と楽しそうに笑い出す。
おぉ…!?こっちの世界でも通用するんだな…。
メイはこの遊びが気に入ったらしく、何度もせがまれてしまった。
サーラとヒューイはその様子を微笑ましげに見ていた。
「お待たせ…何やら楽しそうな声が聞こえていたが?」
いつの間にか結構な時間が経っていた様だ。
ラバートが、温めたスープを大鍋ごと持って食堂に戻ってきた。
サーラが手伝いの為か食堂に向かい、残っていたパンとチーズ、今日新しく作ったらしいサラダを次々と運んでくる。
あっという間に食卓には昨日同様、豪勢なラインナップの食事が並ぶ。
今朝はステーキでは無く、時折漫画に出てくるクリスマスの七面鳥みたいな、鳥の丸焼きだった。
味付けの際にハーブの様な香辛料を使用したのだろう。
ほのかに香るハーブが、食欲をそそる。
「おぉ…実に美味そうだ!!」
「#$%&''&%$#"(おいしそうなの♪)」
俺とメイの評価に、嬉しそうに笑みを浮かべながらラバートが食事を促す。
「うむ…では、皆で食べよう」
メイは今回も俺の膝の上で食べるらしい。
俺は添えられていたナイフを使い、鳥の丸焼きから少しづつ肉を削ぎ落とす様に皿に取り分けると、メイに食べさせてやる。
「ほら…メイ、あ~ん♪」
「#$%&'&%$#"(あ~ん、なの♪)」
メイは美味しそうに微笑むと、モグモグと一生懸命に口を動かす。
今度は自分でも食べてみる。
うん、実に美味い♪
俺達が美味そうに食べ進めるのを見たラバートは、満足そうに1つ頷くと、今日の予定を話始める。
「よし。では、食べながら聞いてくれ。今日の予定についてだ。マサト、ぬしはヒューイから接近格闘訓練の指導を受けるように。続いて、メイ…ぬしは我やサーラと魔法の使い方の勉強だ。各々問題はないか?」
「あぁ!ついに接近格闘訓練か…ヒューイ、お手柔らかに頼む」
「ククク…手心抜きでいくから覚悟しておけよ♪」
ほとんど表情に変化が無いはずなのだが、ヒューイが黒い笑みを浮かべているように見えてしまう…。
「うむ、是非そうしてやってくれ!」
……俺、死なないよな…。
「"#$%&''&%$#(メイ、がんばるの♪)」
「えぇ、メイには優しく教えてあげるわね♪」
「#$%&''&(うん♪)」
……贔屓だ。俺にも優しくして欲しい…クスン…。
そんなやり取りを交えつつ、俺達は平和な朝食を終えた。
皆揃って中庭に出ると、それぞれの組み合わせに別れる。
ラバート達は手前に集まり魔力に関する初歩の講義を始めたので、俺とヒューイは奥の方に向かうことにする。
「さて、基本の方針だが…本来なら重い荷物を背負って城の外周を走り、体力を付けさせるつもりだったんだが…マサトは延々と身体強化出来てしまう。…そこで、初めから実践方式で行く。大怪我をしない様に木を削って作った木剣を用意した。重さについても、実際のショートソードとほぼ同様になるように加工済みだ。それを使って俺に打ちかかってこい。勿論こちらも反撃をするからな…」
そう言って俺に木剣を投げてよこす。
身体強化のおかげか、思っていたよりも全然軽い。
「よし、いくぞ!!」
俺は、1つ気合を入れてヒューイに打ちかかるのだった。




