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初めての狩りと採集

修正しました。是非確認してみてください。

俺とラバートは揃って城を出る。

日没までは2~3時間くらいだろうか、まだ明るいが日が傾き始めている。


「さて、今日は狩りと採集を行う。狩りはマサト主体で行うようにする。採集については適宜我が教えていく。ここまでで何か質問はあるか?」


城を出たところで、ラバートから今日の狩りについての説明が入る。

狩りは俺が主体か…まぁ、一応魔法も使えるようになったし大丈夫かな。


「いや、特には無いな。念のため確認しておくが、サポートは期待しても良いんだよな?」


「勿論だ。これは修行の一環でもあるのだから、頼り過ぎは禁物だぞ。あと、くれぐれも無茶はせぬように。まだ死にたくはあるまい?」


「あぁ、分かってるって」


ラバートに釘を刺されるも、俺自身ラバートに頼りきりになる気は無い。

あくまでいざという時の為の確認だ。いくら平和ボケしてる現代日本人とはいえ、危機管理は重要だもんな。

俺はしっかりと頷いてラバートに返事する。


「ふむ、では先ずは身体強化を掛けて、それから探索魔法で獲物を探してみよ」


「ん?身体強化なら初めて使った時から切らしてないぞ?」


魔法を使っていた時でさえ残りの魔力は常に循環させていた。

おかげで、今ではほぼ意識せずに身体強化を保つことが出来ている。

魔力操作も随分とスムーズになった。


「何!?…マサトの魔力量から考えても精々2~3時間が限度の筈だが?」


ラバートが心底驚いた様に声を上げる。


「何言ってるんだ?そもそも身体を循環するだけで、発散する訳じゃないんだから魔力消費しないだろ?」


「……え!?」


俺の発言を聞いてラバートが固まる。

ん?何かおかしいのかな?どうにも要領を得ないが、俺1人で考えても仕方ない。正気に戻す為、俺はラバートの肩を少し強目に揺する。

ラバートは、ハッ!?と正気に戻ると俺に詰め寄る。


「何故魔力を消費せんのだ?我らが身体強化を用いた場合、個人差はあれど循環ロスが生じて、少しづつ消費していくものだが…。マサトは一体どんなイメージで強化しておるのだ!!?」


一気に捲し立てられて俺はちょっと腰が引けてしまう。


「まぁまぁ、ちょっと落ち着け。説明するから」


俺が宥めると、ようやく落ち着きを取り戻すラバート。

俺はそれを確認すると説明を始める。


「そうだな…まずは、血について説明しておこうか。血は分かるよな?動物の身体には身体の隅々に血を送り出す為の血管って物が張り巡らされている。血は血管を通って絶えず循環し続けている。怪我をしたときに血が出るのは、この血管が破れてそこから血が溢れるからだ。…で話を戻して、俺の身体強化のイメージだが、この血の流れをイメージしている。ここからは俺の推測になるが、怪我をして、血管が傷付かなければ血が流れないように、俺の魔力も身体を循環させる分には消費しないんじゃないかな?」


「な、なんと…」


俺の取った手法を聞いて、絶句するラバート。

だが、今回の目的はあくまで狩りと採集だ。

ジッとしてても始まらないので、ラバートに行動するよう促す。


「ラバート、そろそろ狩りを始めないか?日が暮れちまうぞ?」


「あ、あぁ…」


まだ若干ボーっとしているが反応はしたし、大丈夫だろう。

俺は探索の詠唱を始める。


探索(サーチ)


俺は地面に掌をつけ、周囲に魔法の感知網を張り巡らせる。

俺にとってこれが初めての探索魔法なので、昨日のラバートに倣い土属性を選んだ。

具体例があってイメージし易い事、昼に自分が食べた量を考えて、なるべく大きな獲物を狙う為だ。

詠唱が終わり半径200m程の範囲内の把握が出来た頃にはラバートの様子も元に戻っていた。


「さて、近くに獲物は…大きいのが3匹ってところかな?」


正面方向100m位先に1体、右手150m位先に1体、城の向こう側、感知範囲ギリギリの距離に1体。他には小動物があちこちにいるようだ。

俺は一番近い正面の獲物を狙うことにする。

1ヵ所に留まり、やたら激しい動きをしていることから何かと戦っているのかもしれない。これなら気付かれずに接近出来るだろうと判断したからだ。


「くどいようだが、くれぐれも油断せぬようにな?」


ラバートの忠告に頷くと、反応がある場所を目指して頭上と足元に注意しながら藪を掻き分けつつ、慎重に進む。

やがて20m程離れた場所で木に向かって体当たりを繰り返す、大きなイノシシの様な生き物が見えた。

体当たりする毎に、木が小さく揺れている。

俺は草むらの陰にしゃがみ込むとラバートにあの生き物と、行動について尋ねる。


「あれはイノシシで良いのか?ってか、何で木に体当たりしてるんだ?」


「ふむ、あれはデビルボアだな。おそらく木に生っている果物を落そうとしているのだろう…」


あぁ…なるほどね。確かに枝にはリンゴの様な見た目の果物が生っている。

おっ!?朝食で食べた果物だな。リンゴの見た目と食感で桃の様な味がするあの果物は実に旨かった。

…っと、そうじゃなかった。先ずは狩りだよ、狩り!

俺は逸れていた思考を戻しラバートに確認する。


「デビルボア?」


ネーミングセンス最悪だな…と思うが、それはまあ良い。


「あぁ、一見すると図体が大きいだけのイノシシだが、突進中に、難無く方向転換してくる厄介な魔獣だ。獰猛さも相まって、大きなイノシシと勘違いした猟師が返り討ちに遭い、死亡する事も珍しくない」


何それ?突進を避けられないって事か?

大きさなんて曖昧だし、見た目がほぼ変わらないのは確かに厄介だな。

よし、ここは遠距離魔法一択だな。

ただのハンドガンのイメージでは殺しきれないかもしれない…ここは、スナイパーライフルのイメージにして、物陰から狙撃しよう。

俺は地面に身体を伏せライフルを構えた兵士をイメージする。

属性は雷。狙いは眼球だ。視神経から脳内を焼き切るイメージを込める。


「……行け!『狙撃雷弾(スナイプサンダー)』」


バヂィ!!


「ブギィ!!」


着弾時の閃光と激しいスパーク音、それとデビルボアが発した断末魔の悲鳴の後、一時の間を置いて、デビルボアが横倒しになる。

動かなくなったデビルボアに近づき様子を窺うと、どうやらイメージ通りに、目を直撃した様だ。

被弾した方の目は完全に焼け潰れ、眼窩が剥き出しになってしまっている。

あまり見ていたい光景ではないのでさっさとしまおう。

俺は昨日ラバートが使った魔法をイメージして詠唱する。


闇箱(ダークボックス)


デビルボアはゆっくりと、闇に飲み込まれていく。デビルボアの身体を全て飲み込むと闇は小さくなり消えていった。


「ふむ、見事だ。我が使ったところを一度見ただけで、こうも簡単に模倣・再現して見せるとは…。つくづく規格外な奴だ…」


狩りの様子を見届けていたラバートは、俺の傍に寄ると俺の肩をポンポンと叩きながらそう褒めてくれる。


「まぁ、何とかなったな。肉はこれで十分か?」


俺は照れ隠しに視線を逸らしながら、ラバートに確認する。


「ふむ、しばらくは大丈夫だろう。あとは帰りながら採集をして行こう」


「あぁ、何が食えて、何が食えないのか教えてくれ。だが、先ずはデビルボアが狙ってたあの果物を採ろう」


「ふむ…よかろう」


俺はラバートの返事を聞き木によじ登ると、枝に生った果物を捥いではラバートに向けてそっと落とす。

ラバートはローブを脱ぎ、広げた状態でそれをキャッチしていく。

……余りにもシュールな光景に力が抜ける。思わず落ちそうになったが、咄嗟に枝に抱き着き難を逃れる。

木から降りた後、ラバートに「何をしておるのだ…」と呆れられてしまった。

果物は確保したのでゆっくり城に向かいながら散策を続ける。

すると、5分ほど歩いたところで、木の根元に松茸の様なキノコが生えているのを発見し、ラバートに確認する。


「あのキノコはどうだ?」


「ダメだ、あれには毒がある。通常死ぬほどではないが、加工することで強力な毒性を持った薬を作ることが出来る。体内に毒が残らず、眠ったように死ぬことからよく暗殺に用いられていた。今では生えているのが珍しい位なのだが…よく見つけたな」


暗殺って…物騒過ぎるだろ…

愕然とする俺に気付かずラバートは近くに生えていた、毒々しい色のキノコを採集する。


「このキノコは一見毒々しい外見だが、問題なく食べられる。覚えておくと良い」


いや、見た目が毒々しくて正直食べたくない。

しかし、ラバートは俺の様子に構わず、大き目のキノコを20個程採集する。


その後も周囲を歩き回るが、元の世界で言うところのシイタケ・しめじ・エリンギの様な見た目のキノコを幾つか発見し、ラバートに確認するが、いずれも毒キノコだと言われてしまった……

俺、いつか食中毒で倒れそうだな…それ以前にキノコが嫌いになりそうだ…。

そんなことを考えつつ、森を抜けて城に帰るのだった。

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