目が覚めたら...骸骨!!
初投稿処女作です。どうぞ。
突然の寒さに目を覚ました俺が最初に目にしたのは天井ではなく、俺を上から見下ろす黒いローブを纏った骸骨だった。
「!?...うわぁっ!!」
なんだ、なんでこんなところに骸骨が!?驚きの余りガバっと上体を起こし骸骨から距離をとるように後ずさる、が少し下がったところで背中に壁がぶつかり動きを止める。
突然のことにパニックに陥っている俺を身動ぎひとつせずに見つめてくる骸骨。
腰がぬけて立ち上がれないが、距離を置いたことで周りの様子が見えてくる。
「ど、何処だよここ...」
土がむき出しになった床に石造りの壁に囲まれた8畳程の広さの1室、暗いため天井が見えないが2m以上はあるだろう。
床で淡い光を放っている大きな円陣|(所々に模様が刻まれさながら魔法陣の様に見える。)が暗い部屋の周囲を照らしている。
「何がどうなってるんだ...夢なのか?」
頬を思い切りつねる...超痛い。涙目になりながら状況を理解しようと、俺は少し顔を伏せ自分の記憶を探る。
目標としていた大学に合格し、田舎を出て晴れて一人暮らしを始めた初日である。色々買い込みようやく荷解きも終わったので軽く休憩しようと、うたた寝を始めたところまでは覚えている。
で、目を覚ましたらこの状況...正直理解出来ない。
しばし思考に没頭していたが、カタカタという音と衣擦れのような音で現実に戻る。
顔を起こすと骸骨がこちらに歩み寄ってきていた。
「ひぃっ!?」
俺は後ずさろうとするが、壁があり下がれないのを思い出す。俺は涙と鼻水を垂れ流しハイハイの要領で四つん這いになりながら必死に距離を置こうと逃げ出すが、立って歩く骸骨とハイハイの俺ではそもそもスピードが違う...あっという間に部屋の隅に追い込まれてしまった。
「何かの冗談だろ...だいたいなんで骸骨が動き回るんだよ意味わかんないまま人生終了か?」
骸骨に追い詰められた俺がへたり込みながら逃げるのを諦めてぐちゃぐちゃになった顔で骸骨を見据えると骸骨は俺の顔を覗き込むようにしながらしゃがみこみ
「#$%&」
カタカタと顎を揺らしながら何か言葉の様なものを発する。
「はっ!?なんか喋った!!」
俺が骸骨が喋った事に驚いていると
「#$%&!?#$%?」
また骸骨がカタカタと何かを話す。
「何喋ってるのかわかんねぇって...」
俺は襲われないこと、俺に話し掛けようとしていることから少し警戒を緩め、涙と鼻水を服の袖で拭いながら言葉を返した。言葉が通じていない事を悟ったのか顎に手をやりながら何か思案している様子の骸骨。
骸骨が押し黙ってしまったので俺は再度周囲に目をやる。先ほどまで淡い光を放っていた円陣が徐々に光を失っていく。
「お、おい、おい!なんか光消えてくぞ!」
円陣を指しながら声をあげる俺に骸骨は一時思考を中断し俺を窺う、とうとう円陣の光が消失し部屋が真っ暗になった。
「うわぁ...何も見えねぇ!?」
再びパニック状態に陥る俺の様子から何かを察してくれたのか
「#$%&」
カタカタと何かを呟く、すると骸骨の手の上に野球ボール程の光が現れる。骸骨はそれをそっと押し上げる様に上に放る。
「おぉ!!」
俺は突然現れた光に驚きながらも明るくなったことに安堵する。そしてそのまま光を見てあれは何かと思案する。
「もしかして、魔法ってやつか?さっきまで光ってた円陣で異世界に召喚されてきたとか?」
俺がぶつぶつ独り言を話しながら考えていると。
「#$%&#$%&」
カタカタとまた何か呟きだす骸骨。
「#$%&?」
今度は何か話し掛けてきているようだが...
「相変わらず何言ってんのかわかんねぇ...」
「#$%&」
カタカタとまた何か呟く。
「今度はどうじゃ!」
なんと骸骨が日本語で話しかけてきた。
「!?...おぉ!!日本語!」
「日本語?それがぬしの言葉か?ふむ...まずは立てるか?」
骸骨は立ち上がりながら俺に話し掛け、手を伸ばす。
「?日本語喋ってるじゃないか。なんでさっきまで変な言葉遣ってたんだ?...よっと!」
言葉を返しながら手を掴み立ち上がらせてもらう。さっきまで腰が抜けていたせいか若干足がふらついたが立ち上がることが出来た。
「ふむ...翻訳の魔法を使っているからな。初めはぬしに掛けたのだが何故か通じんかったから我に掛けてみたのだ。」
立ち上がった俺を確認し、手を離しながら話を続ける。
「やっぱり魔法かぁ...」
「話をする前に場所を移そう、ついてこい」
そう俺に声を掛けると骸骨は部屋を出て行く。俺は慌てて骸骨の後を追うのだった。
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