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第一章:初めての遺跡探索

【ここで少し登場人物紹介をば……非常に曖昧な説明です

【セプト・マーディアス  積極性はないがやりたいことはやるイメージです

【ナナ・リニデーナ  設定では10歳前後、無口ではなく人見知りです

【ヴィヴィ先生  先生です。好物は肉類以外全般。

【今回はこの三人でした】

「おはよう」

「おっ良い感じッス」

「…おはようございます…」

「ナナちゃんも発音がちゃんと出来てきたッスね!」

「何をしているのです?」

「お喋りの練習ですよ。ほら、二人ともすっかりお上手」

「×××××××××」(「もういいんだけどな」)

「あっ!今古代語で愚痴言ったッスね!?」

「……手伝いまでには、すましてくださいよ」




 朝の陽光は空中構造体ほど眩しくなく雲に遮られた優しい光が窓から這い寄るように入り込んでいた。

 ここらで取れる新鮮な野菜を使ったシャキシャキのサラダ、その野菜をじっくり煮込み仕入れた調味料を使った濃厚なスープとブレッド、毎日を充実した朝食で迎えることができる。

 むしろ缶詰などはほとんど見当たらず、あっても躊躇いなく食べられてしまっているようだった。

 放牧している住民は少ないが、少なからずベーコンやチーズ・ミルクも出回っている。本当に空中構造体では見られなかった明るい世界だ。

 ナナはあの時のように黙々と食事をたいらげ綺麗になった皿を木の良い香りがする調理場へと運んでいく。食事に使った木製の食器具たちを作ったのはなんと先生ことヴィヴィさんらしい。滑らかに磨かれており食器作りを十年は学んだろう職人の作品かと見まごうほどの出来栄えとなっていた。

 先生は自他共に認める万能学士であり、遺跡探掘から工芸作成までなんでもこなせる人物だ。それなのにこんな片田舎に小さなアトリエを開き自由淡々と日々を過ごしているのだ。

 朝食を片付けると丁度それぐらいにアトリエのドアが開かれる。やって来るのは手伝いの先輩にあたるモリだ。

 今日も彼と一緒に油で汚しながら機械の整備をするのだろう。

 今までには怪しげな真っ白の立方体やらを分解して先生が指示した通りに部品を磨いたり取り替えたりした、俺らにはわからないがどうやら先生には何の機械なのか区別がついているらしい。

 取替え用の部品はそこらに落ちているものでもない。隣の隣のまた隣、第七生活地区にある製鉄・加工所に発注しているのだ。そこは一方を巨大な山に面しており、ひっそりと農耕をする真逆で大掛かりに山に穴を開けているという。

 とにかく先生は他のため文化のため何のため一切合切関係なしに自分のやりたいことをやっているだけであり、それが現文明をはるかに凌駕している次元の出来事であろうと先生にとっては興味がないの一言に尽きるのである。

「さて、このぐらいでいいでしょう」

 先生がいつもより少し大掛かりな支度を終え、余っていた袋をこちらに投げて寄こす。

「なんですかコレ」

「今日は遺跡に行きます。手伝いなさい」

 かくして人生初めての遺跡探検へと赴くこととなった。

 まぁ以前住んでいた空中構造体も先生から言わせれば生きている遺跡とのことだが、浮いていない遺跡は初めてなので良しとする。

 アトリエの方はモリとナナを置いていくらしくナナは執拗について来たがっていたがモリはさっぱりとしていた。

「自分は一回行ったことがあるんッスよ」

「なら、俺より役に立つだろ?」

 モリはいやいやと首を振った。

「あんなとこ行っても、頭がパンクするだけ」

 ナナとモリには何か適当なお土産でも拾ってくることを約束した。ナナには何か小物になりそうなものでもあればいいだろうし、モリには機械関連の何かでも拝借すれば良いだろう。

 古代語といういわれにはまだ全然慣れていないが、これが役に立つというなら構わない。アトリエの前にはいつか見たような馬車が停まっていてそれに揺られていくこととなった。

 馬車の中はがらんどうで聞かずとも参加したメンバーは二人であることは想像に易かった。今回の遺跡とやらは山の中に入った家畜を追いかけた集落の住民が発見した斜面から口を開けている遺跡らしい。

 その説明通りの出入り口が見えることには意外に長い斜面を上り疲れ、馬車の不規則な揺れのせいで気分が上がらない自分がいるのだった。

 つまり頭がパンクどころではないわけで。

「それじゃあ行きましょう」




 中は薄ら暗い灰色の整えられた通路であった。味気のない風景を無視しながら奥へ進むと広いロビーと書かれた部屋へ出た。ちなみにロビーは古代語だ。

 椅子の骨組みだろうか、またあちらには塗装が削れたバーテーブルにも見える…受付カウンターと書かれた物。様々な朽ち果てた遺物がそこらじゅうに見える。

「動きませんね、階段があるはずですよ」

 閉じられ縦に置かれた柩のようなものを弄りながら先生はそう呟いて指示を出す、階段を探せと言われてもどこにあるか検討もつかない。

 きょろきょろと辺りを手当たり次第探していると、遠くできぃと金属が小さな悲鳴をあげた。

「来るなら言ってくれれば良かったのに」

「俺だってそっちがいると思って来てない。でっ、階段はここだ」

 誰だ。

 そこには短くもなければ長くもない目にもかからない黒髪を乱雑に切りそろえた男性が立っていた。どうやら先生と知り合いのようだし階段も見つけてくれている、おそらくいい人だろう。

 彼こそが遺跡探検ツアーの三人目の参加者である。

 名前はユウというらしくトレジャーハンターを生業にしている、要は探索のお手伝いが本職ということだ。こうして手当たり次第には遺跡に現れ探索しては去っていく、そんな彼だ。

 階段を下りながら彼の簡素な説明を先生から受け、また一層深い場所へと体を沈めていく。

 ちなみにメンバーはこれ以降増えることはなかった、まことに残念だ。

 中は複雑なようで直角に区切られた広いスペースだった。通路が縦横無尽に張り巡らされ、等間隔で何かしらの部屋があると言った感じだろう。

 ここが何の目的で使われていたかは知らないがそれが見当もつけれないのは確かなことだ。

 ユウさんはふらりとどこかへ消えていなくなっては背中のバックを膨らませて戻ってくる。先生はそれを白い目で見ているように見えるが、先生もまた他人を気にせずにふらりと部屋に入っていく。どっちもどっちだ。

 こちらはというとそこらじゅうにびっしりと言語が刻まれているのかと想像していたが一面つやつやのタイルばりの綺麗な廊下が続くだけなので、ふらりと消える二人を探すのにも疲れめんどくささが最骨頂になりかけていた。

 ふっと曲がり角に影が消えた気がした。

 だがまた周りには先生もユウさんもいない、でも膝程の大きさしかないように見えた影が消えたように見えたのだから、二人ではないのだろう。

 それでも追う気はない。

 興味もなく近くのドアを開け中の機械が動くかどうか確かめる。大きなディスプレイには酷いひびが入り込んでいて生きていてもそれが何かを映すことはなかった。

 もはや落胆も無い。こんな作業を何回繰り返したのかすらもう数えてはいない。

 そしてまた他のドアを見つけ、同じように入り込む。

 次の部屋は簡素でベッドの骨組みだけがぽつんと残されている寂しい部屋であった。

 生の気もなければ死を思わせるところもないおおよそ命というものからかけ離れた白い世界である。そんな部屋のど真ん中には手押し車のようなものが横たわり、タイルの上には額縁とずたずたになった紙が舞うこともなく落ちている。

 誰かの寝室だったのだろうか、それにしては簡素だが…。ここには何も調べれそうなものはない。そう思いすぐにとなりへと向かう。

 今度の部屋は誰かのオフィスだったのだろうか、機械類は死んでいて本棚らしきものが倒れて崩れていた。

 床に投げ出された本や書類ファイルに手を伸ばし内容を調べてみると、ここが何の施設なのかうっすらと理解できそうな気がした。

 本のほうは医学的な事が書いてあるらしいが、専門でもない自分にはさっぱりだ。だがおそらくこれらもオーバーテクノロジーというのだろう。適当に綺麗な状態の物を持ち帰るとする。

 書類は大半がずたぼろになっていたのだが、読めるものだけを読むと誰かの名前と身体的な特徴が書き込まれていた。

「オーレン・マグラー……31歳…」

「誰です? それ」

 気づけば先生が戻ってきていた。

 今まで静かだった故にふいに呟いた独り言に返されると肝が冷える。

「この紙に色々書いてあるんですよ、体の悪いところとか」

「そうですか。やはりここはそういうところなのですね」

「診療所ですか?」

「……地下シェルターの医療ブース」

「すみません、もう一度」

「……病院」

「あぁ」

 先生は呆れながら書類をまとめ持って帰るように指示をした。そして先生曰くここがシェルターブースならばどこか他の居住ブースであるシェルターに通じているのだと言う。それはそうだ、わざわざ地下にこもるぐらいだ、医者に見てもらうためだけに地下から出たりはしないだろう。

 そう、遺跡とは基本どこの誰かが創り上げたシェルターなのである。

 この部屋はそこに務めていた医者であろう人物のもの、前の部屋は病室である。先生もこのタイプは初めてらしく様々な考察を述べていた。

 例えば前に調べた居住ブースの遺跡とは繋がっているのだろうけど遠すぎるので何か移動手段があったのではないかとか、これだけ綺麗なのはまだ生きている何らかの仕組みがあるのではないかとか、もしも医療機器を発見できればその技術を復元することもできるのではないかなどなど。

 先生の後をついていくとめぼしい医療機器は簡単に見つかった。錆ついたナイフのような物やガラスの管、やけに大きい機械なども見つける事ができた。これらは誰が運ぶことになるのだろう。

 小物で軽く持ち運べそうなものを選び荷物に詰め込み、今日の探索を終える。中では陽が見れず古い時計はどれもこれも壊れているが、先生は大体察しをつけているらしく丁度陽が沈むのを綺麗に見える時間に遺跡を出ることができた。

 オレンジの陽光が草原を照らしている。夕日は数回見たつもりだったがこれほど綺麗な景色は初めてだ。

「燃えている…ようでしょう?」

 先生は夕日を目で指すように言った。

「毎日、こんなに綺麗だったら素敵なんですけどね」

「時折見れるから綺麗なんですよ」

 遺跡の出口から大きい機械を引きずってユウさんが出てくる。ガリガリと鳴っていたタイルを抜け土にめり込ませながらベッドのようなソレを持ってきた。

「まぁそうですけど……。燃えているって比喩、ぴったりですね」

 息も切らせずユウは機械を乱暴に置き先生に指摘される。彼も生徒であったりしたのだろうか。

「なんでまた似合わない敬語なんだ?」

 叱られ終えたユウがこっちにやって来る。

 肩に手をやり酷使した肉体をいたわっている彼もこの光景は見慣れているのだろうか。

「それしか教えてないからですよ」

「君の影響じゃないんだ」

「………」

「はははっ、ごめんごめん」

 いや、生徒よりもっと親しかったのかもしれない。例えば幼馴染で遺跡で遊んでいたとか、それほどに親しみと時間を感じさせてくれる。

 運び出された大きい機械は後日彼がアトリエに運んでくれるとのこと、送料込みだそうだ。

 そういえば、これからはこんな丁寧な話し方じゃなくてもっと使いやすい言葉を教えてくれるらしい。

 なんとか初めての遺跡探索を終えることはできた。二人へのお土産は比較的綺麗だった白い服…これはたまに先生が着ている者によく似ている…それと平べったく硬いのだが重くないよくわからないものにしておいた。

 ナナはそれを洗って喜んで来てくれたし、モリは「なんとか直してみるッス!」と意気込んでいた。

 そして俺には回収物の錆落としや修復という作業が待っていた。





 それから数日、また変わらない機械の修復と調査で日が過ぎていった。

 大量に回収された機械を直すために使うパーツがついに数種類尽きてしまった。原因はこの前の遺跡探索による回収とお土産を直すために勝手にモリがパーツをくすねいくつか使い物にならないパーツを出してしまったせいである。主に後者である。

 お土産を持ってきたのは俺だが誰もそこまでやれとは言っていない、故にモリの情熱は何に掻き立てられたのだろうか。

 それはそのお土産に張り付いていたシールとやらのせいである。

 先生曰くシールとはものが書かれた絵をはりつけれるようにしたものであるという、ということはそこにある絵は昔あったものなのだろうと言う。そしてそのシールは非常によくわからない形を模していた。

 前と思しき部位で何かが回転しており、それは鳥のように奇妙な形をしている翼を広げて腹にガラスのドームを持っているらしかった。

 つまりはその奇妙な物体にモリが食いついてしまったというわけで、第七生活地区から届けられた貴重な代替品達を独学という名の当てずっぽうで食い散らかしてしまったのだ。

「……私が復元しておきます」

「…………すみませんッス」

 怒りに静まった先生によってそれは取り上げられた。

 モリは当分俺の分までの清掃を任せられることとなり、俺はナナと先生と共に第七生活地区へ向かうこととなった。

 お出かけである。

 まぁ大体が初めてのことだから心の中では盛り上がっている。ナナもほとんど口には出していないがお気に入りの白衣を来て馬車を待っていた。

「お揃いですね」

「うん」

「可愛らしいです、その毛は染めたのですか」

 先生が優しくナナの紫髪を優しく撫でる。嬉しそうにしたナナの笑顔を見て先生も微笑む。

 そうしてナナがふるふると首を横に振る、その色は天然だ。

「まぁ、セプトも白いですからね」

「白ってダメなんですか?」

「老人の色です」

 空気が少し固まった。

 そしてその後にぽつりと「敬語のままでよかった気もします」と聞こえた気がした。気にしないでください。

 馬車に揺られるのは良いが、どうやら今回は荷物と一緒らしい。上手く三人がそれぞれ収まる場所を見つけたらしく、楽をしようと体を動かす。ナナは隙間から外に顔を出し先生か俺に危ないからと注意される。先生は勝手に荷物の箱を開けようとする。俺は揺られ気持ち悪くなり意識朦朧とする。

 すなわちさんざんな馬車の旅であった。

 景色も見れずただただ木や自然の曇った臭いと共に閉じ込められ、揺れるたびに木箱へ頭をぶつける。

 そんな旅が最高なものか。

「一人なら横になれそうなものでしたが…」

 おそらく横になったとしても上にそびえ立つ木箱の恐怖に怯えることとなるであろう。勿論床は堅いし、直に石ころを踏んだ衝撃も伝わる、誰もが後悔をしたことだろう。

 ナナは最終的に先生の膝の上に収まりちゃっかり柔らかい寝床を手にしていた。

 第七生活地区はかなり遠くにあるらしく、長時間馬車で揺られた後、夜に野宿をすることになった。アトリエから見える山といえば一つや二つ小さいのがあるだけだが、それよりはるかに大きい山へくっついているのが第七生活地区ということらしい。

 野宿は物流が通る道を外れた場所に焚き火を焚いてする。馬車屋のおじさんがガハハと木組みの鍋掛けを組み立てながらナナと俺が木箱から野菜を取り出し先生が近くの水源に目星を付ける。

 そして星が綺麗だと話し合いながらスープとカサカサのパンを食い千切り、革袋に入れられた水を喉に流す。

 どうせ寝るのは馬車の堅い床板の上だ、柔らかい土の感触を感じながら肌寒い中火を囲んだ。

 数日すれば、第七生活地区であろう。

 『はじめての』と『初めての』どっちがいいのかまだぼんやりしています。

 今更で存じてるよという人も居るでしょうがタイトルのセブンスというのはナナとセプト…まぁどっちも7という意味ですがそれらの空ということです。

 時期が時期なのですが、ついに引越しの話まで出てきました…、肩のコリを溶かすように眠りたいなぁ。

 それではまた次章お会いしましょう、卯月木目丸でした。

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