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 01

 一ヶ月が経過した。


 アクセスができないのは相変わらず。

 携帯でみられるデータも、あれから全然更新された様子がない。

 ターゲットが移動したとしても、これでは全く追う手立てがないということだ。

 つまりは、自分もこのホームレスな世界に一人っきりで投げ込まれてしまったということになる。

 末松町の彼がいる近辺には一つ大きなまとまりがあって、かなり組織的な暮らしを営んでいた。その周辺に彼のような個人が数人、そのおこぼれをかすめるように細々と生活していた。

彼らにいったん睨まれると、しつこく暴力や嫌がらせを受け、しまいにはそこから追い出されてしまう。

 サンライズの場合には、先日水場でトラブルがあって以来、少し危ない立場に陥っている。

 その後すぐ、自販機周りでたまたま拾った千円を使ってコンビニで弁当を買い、彼らの溜まり場に詫びを入れにいったのだが、ボスはたまたま不在でサブが黙って受け取った。

 あれがちゃんとボスに渡ったかは、神のみぞ知る。

 他にもこまごまと要りようがあって、金も底をついてしまった。

 コンビニや売店もさすがに商売なので金を出す客にはにこやかに対応しているが、近頃あまり清潔にできないせいか、やはりちらりとみた目に何か冷たいものを感じる。

 水が使える場所は他にもあったが、どこも彼らの縄張りだった。

 以前、神社の境内でやはり体を洗っていた新参者を見たことがあったが、その晩には彼らに取り囲まれてリンチを受けていた。

 その後、その新参者の男を見ていない。

 始めのうちは、縄張りには含まれない公民館や図書館、病院などになにくわぬ顔して入り、トイレを使わせてもらっていたが、体が汚れ始めると、ますますそのような施設には入り辛くなってきた。そうなると悪循環だ。

 自販機だってそうだ。うかうかと釣銭探しなぞしていようものなら、すぐに連中に首根っこを押さえられてしまう。

 どうにかして、任務を完遂させなければこの迷宮からは抜けられそうもない。

 頭を抱えて座り込んでいたサンライズ、また、立ちあがった。

 この時間ならば、ヤツらも少しはおとなしい。今のうちに自販機回りをしなくては。


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